9月に入ると、朝晩の空気がふっと涼しく感じられるようになります。カレンダーには「白露」「秋分」といった言葉が並びますが、これらが何を意味するのかまではご存じない方も多いのではないでしょうか。
9月の二十四節気は、「白露(はくろ)」と「秋分(しゅうぶん)」の2つ。どちらも、夏の名残から本格的な秋へと季節が移っていく節目を表しています。
この記事では、9月の二十四節気の意味と2026年の日付、七十二候による季節の移ろい、そして秋分の日とお彼岸のつながりまでをまとめました。
9月の二十四節気は「白露」と「秋分」の2つ
9月に訪れる二十四節気は、白露と秋分の2つです。白露で秋の気配が目に見えはじめ、秋分で昼と夜の長さがほぼ等しくなります。この2つを通り過ぎると、季節は一気に秋へと傾いていきます。
カレンダーの上では、9月は3つの節気にまたがる月です。月初めの6日間はまだ8月から続く「処暑」の期間で、7日に白露へ切り替わります。さらに秋分の期間は10月7日まで残るため、9月のうちに始まって9月のうちに終わる節気は白露だけです。
白露は9月の前半、秋分は後半に位置します。前半は残暑と朝夕の涼しさが入れ替わる時期、後半は日の長さが目に見えて縮む時期です。9月の体感が月初と月末で大きく変わるのは、この2つの節気の性格の差がそのまま出ているためです。
2026年の白露・秋分はいつ?
2026年の日付は次のとおりです。二十四節気は太陽の位置をもとに決まるため、年によって1日ほど前後します。
| 節気 | 読み方 | 2026年の日付 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 白露 | はくろ | 9月7日 | 9月7日〜9月22日 |
| 秋分 | しゅうぶん | 9月23日 | 9月23日〜10月7日 |
なお「白露」「秋分」という言葉には、その日一日を指す使い方と、次の節気までの約15日間を指す使い方の両方があります。「白露の候」のような時候の挨拶で使うときは、期間としてとらえるのが一般的です。
日付が動くのは、二十四節気が日付ではなく太陽の位置で決まるためです。天球上の太陽の通り道を角度で表したものを黄経といい、白露は黄経165度、秋分は180度に太陽が達した瞬間を指します。その瞬間を含む日が、暦の上での白露・秋分の日になります。
2026年でいえば、白露から秋分までが16日間、秋分から次の寒露(10月8日)までが15日間です。
そもそも二十四節気とは?
二十四節気とは、1年を太陽の動きにあわせて24等分し、それぞれに季節を表す名前を付けた暦のことです。古代中国で生まれ、日本には飛鳥時代ごろに伝わったとされています。
春分・夏至・秋分・冬至の4つをまず基準に置き、その間を細かく割っていく仕組みです。月の満ち欠けをもとにした旧暦では季節が年々ずれてしまうため、それを補う目印として使われてきました。
24等分のしかたには、2つの方式があります。1年の日数を単純に24で割る平気法と、太陽の位置を角度で24等分する定気法で、日本では江戸時代末の天保暦(1844年)以降は定気法が使われています。
平気法なら節気は必ず等間隔で並びますが、定気法では地球の公転速度の差が日付にそのまま出ます。いまのカレンダーで節気の間隔がそろわないのは、この違いによるものです。

暦の上の秋と、体感の秋がずれるのはこのためなんですね。
ちなみに8月の二十四節気は「立秋」と「処暑」。暦の上ではすでに秋が始まっています。


白露(はくろ)とは|草に白い露が結ぶ頃
白露は、9月上旬から中旬にかけての節気です。大気が冷えはじめ、草花に朝露が宿るようになる時期を表しています。
暦の上で秋が始まる立秋は、2026年でいえば8月7日。白露はそのちょうど1か月後にあたり、秋の6つの節気のうち3番目です。それでも実際には残暑が続き、日中の体感は夏のままという日も少なくありません。
露が結ぶのは、夜のあいだに地表の熱が空へ逃げて空気が冷え、含みきれなくなった水蒸気が水滴に変わるためです。雲の少ない晴れた夜ほど朝の露は見つけやすく、日中との気温差が大きい日ほど量も増えます。


白露の意味と読み方
読み方は「はくろ」です。「しらつゆ」と読まれることもありますが、二十四節気の名称としては「はくろ」が正しい読みになります。
名前の由来は、そのまま「白い露」。昼夜の気温差が大きくなると空気中の水蒸気が冷やされ、草の葉に水滴となって現れます。その露が朝日を受けて白く光って見えることから、この名が付けられました。
時候の挨拶で「白露の候」と書くときも、読みは「はくろのこう」です。「しらつゆ」は和歌などで露そのものを指す言い方で、節気の名称としての読みとは区別されます。
露の字を持つ節気は、もうひとつあります。10月8日から始まる「寒露(かんろ)」で、白露が露の現れはじめる頃、寒露が露に冷たさが加わる頃という並びです。
白露の七十二候(草露白・鶺鴒鳴・玄鳥去)
二十四節気をさらに3つずつに分けたものが七十二候です。白露の期間は次の3つの候に分かれます。
| 候 | 名称 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 初候 | 草露白 | くさのつゆしろし | 草に降りた露が白く光る |
| 次候 | 鶺鴒鳴 | せきれいなく | セキレイが鳴きはじめる |
| 末候 | 玄鳥去 | つばめさる | ツバメが南へ帰っていく |
春に日本へやってきたツバメが去っていく——。「玄鳥去」には、夏の終わりを見送るような静かな余韻があります。
候は初候・次候・末候の3段階で、節気1つをおよそ5日ずつに区切ります。二十四節気が季節の見出しだとすれば、七十二候はその中の小見出しにあたる単位です。
表の3つは、あくまで暦の上での目安です。露が降りる朝や鳥の姿を見かける時期は地域や標高で前後するので、住んでいる場所の空気と照らし合わせて読むと、暦とのずれそのものが季節の記録になります。
白露の頃の暮らし・旬
白露の時期は、秋の味覚が出そろいはじめる頃でもあります。梨やぶどう、いちじくといった果物が旬を迎え、さんまも店頭に並びます。
野の草花では、秋の七草が見頃です。萩・薄・葛・撫子・女郎花・藤袴・桔梗の7種を指し、春の七草のように食べるものではなく、眺めて楽しむ草花とされています。
暮らしのほうでは、寝具を切り替えるタイミングにあたります。タオルケット1枚では明け方に寒く感じる日が出てくるので、薄手の掛け布団を1枚出しておくと、その日の予報に合わせて調整しやすくなります。
洗濯物も、朝いちばんに干すと露で湿った空気を含んでしまうことがあります。日が高くなってから外に出すか、午前中だけ室内に置いておくと、生乾きのにおいを防げます。
白露についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事でも解説しています。


秋分(しゅうぶん)とは|昼と夜の長さがほぼ等しくなる日
秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。この日を境に夜のほうが長くなり、季節は本格的な秋へと進んでいきます。
秋分に入るのは9月23日(水)で、そこから10月7日までが秋分の期間です(2026年)。春分と半年の向かい合わせに位置し、1年を昼夜のバランスで区切る大きな目印のひとつになっています。
この日の日の出・日の入りの位置は、方角を確かめる目印としても使えます。朝いちばんに光が差し込む窓と、夕方に日が落ちていく方向を見ておくと、住まいの向きを体感で把握できます。
秋分の意味と読み方
読み方は「しゅうぶん」。二十四節気の中でも、春分・夏至・冬至と並ぶ大きな節目にあたります。
ただし「昼と夜がぴったり同じ長さ」というわけではありません。実際には昼のほうが十数分ほど長くなります。日の出・日の入りを太陽の中心ではなく上端が地平線にかかる瞬間で計測することや、大気による光の屈折が理由です。
昼夜がそろう日を正確に知りたいときは、住んでいる地域の日の出・日の入り時刻を見比べるのが確実です。緯度によって数日ずれるため、全国一律の日付にはなりません。
ポイント:秋分は「昼と夜がほぼ等しくなる日」。厳密には昼のほうがわずかに長く、完全に同じ長さになる日は秋分の数日後にあたります。
秋分の日が年によって変わる理由
秋分の日は「9月23日」と覚えている方が多いかもしれませんが、実は固定されていません。9月22日になる年も9月24日になる年もあります。
理由は、地球が太陽を一周するのにかかる時間が約365.2422日と、365日ぴったりではないためです。このずれが積み重なることで、秋分の瞬間が訪れる日付が前後します。
秋分の日は、国立天文台が前年2月に発表する「暦要項」によって正式に決まります。国民の祝日の中で、日付が天文観測にもとづいて決められるのは春分の日と秋分の日だけです。
暦要項は、翌年分をまとめて2月の最初の官報に掲載する形をとっています。この掲載の形になったのは昭和39年(1964年)の暦要項からで、2026年分は2025年2月3日に発表されました。
祝日を定める法律の条文にも、具体的な月日は書かれていません。日付にあたる欄にあるのは「秋分日」という語だけです。日付を法律で固定せず毎年の計算結果に委ねているため、翌年の秋分の日が正式に確定するのは前年2月ということになります。
秋分の七十二候(雷乃収声・蟄虫坏戸・水始涸)
秋分の期間も、3つの候に分かれています。夏を象徴するものが静かに退場していく様子が並びます。
| 候 | 名称 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 初候 | 雷乃収声 | かみなりすなわちこえをおさむ | 夏の雷が鳴らなくなる |
| 次候 | 蟄虫坏戸 | むしかくれてとをふさぐ | 虫が土にもぐり冬支度を始める |
| 末候 | 水始涸 | みずはじめてかるる | 田の水を抜き、稲刈りの準備が整う |
「水始涸」は、実りの季節を迎えた田んぼの風景そのものです。水を落として乾かすことで、稲刈りがしやすくなります。
表の並びを追うと、夏の気配が一つずつ引いていく順序になっているのが分かります。いずれも人が田畑で目にしてきた変化で、収穫へ向けた段取りと結びついた区切りでした。
秋分の日とお彼岸の関係
9月の暦を語るうえで欠かせないのが、秋分の日とお彼岸のつながりです。秋のお彼岸は、秋分の日を中心にした7日間を指します。
お彼岸は二十四節気そのものではなく、雑節(ざっせつ)と呼ばれる暦の目印のひとつです。節分や八十八夜と同じ仲間で、国立天文台の暦要項でも二十四節気と並べて日付が公表されています。
秋分の日が動けば、彼岸入りと彼岸明けもそのぶん動きます。お墓参りの予定を立てるときは、まず秋分の日を確かめ、そこから前後3日を数えると数え間違いがありません。


秋の彼岸の期間(2026年は9月20日〜9月26日)
お彼岸は、秋分の日の3日前から3日後までの計7日間です。2026年の秋分の日は9月23日なので、期間は次のようになります。
- 彼岸入り:9月20日(日)
- 中日(ちゅうにち):9月23日(水・秋分の日)
- 彼岸明け:9月26日(土)
初日を「彼岸入り」、秋分の日を「中日」、最終日を「彼岸明け」と呼びます。春分の日を中心とした春のお彼岸と、同じ考え方です。
2026年は、この一週間に大型連休が重なります。9月21日(月)が敬老の日、9月23日(水)が秋分の日で、あいだの9月22日(火)も休みになるためです。
結果として9月19日(土)から23日(水)までが5連休となり、彼岸入りの20日から中日の23日までがまるごと休みに入ります。霊園や寺院が混み合いやすい日程なので、24日(木)以降の平日に回すという組み方もできます。
おはぎ・お墓参りの習わし
お彼岸には、ご先祖のお墓参りをする習わしがあります。太陽が真西に沈む秋分の日は、西方にあるとされる極楽浄土との距離がもっとも近づく日と考えられてきました。
お供えの定番といえば、おはぎです。小豆の赤い色には、災いを遠ざける意味が込められてきました。
お墓参りそのものは、掃除・お供え・合掌の順に進めるのが一般的です。供えた食べ物を長く置くと傷んだり動物に荒らされたりするため、その日のうちに下げて持ち帰ります。
おはぎとぼたもちの違い:じつは同じ食べ物で、呼び名が季節で変わります。秋は萩の花にちなんで「おはぎ」、春は牡丹の花にちなんで「ぼたもち」。それぞれの季節に咲く花が名前の由来です。
9月の二十四節気を暮らしに取り入れるヒント
節気の名前を知っておくと、手紙のひと言や食卓の献立に季節感を添えられます。難しく構えず、使いやすいところから取り入れてみてください。
使い道は、大きく2つに分けられます。言葉として使う方法では、手紙やメールの書き出しに節気の名前をそのまま置きます。段取りに反映させる方法では、旬の食材や衣類の入れ替えを節気の日を目安に動かします。
どちらも、白露と秋分の日付さえ押さえておけば始められます。9月7日と9月23日にカレンダーの印を入れておくだけで、切り替えの日を逃しにくくなります。
季節の挨拶(白露の候・秋分の候)
手紙やメールの書き出しに使う時候の挨拶は、節気の名前をそのまま使えます。
- 白露の候(9月7日〜9月22日ごろ):白露の候、朝夕はしのぎやすくなってまいりました
- 秋分の候(9月23日〜10月7日ごろ):秋分の候、日ごとに秋の深まりを感じるこの頃です
使う時期を外すと違和感が出るため、送る日が節気のどの期間にあたるかを確認してから選ぶと安心です。
判断の基準になるのは、相手に届く日です。到着が9月22日までなら「白露の候」、23日以降なら「秋分の候」にあたります。到着日が読めないときは、節気をまたぐ前後だけ「初秋の候」のように期間の広い言い方へ寄せると外しません。
白露・秋分の頃に使える季語そのものを探している方は、月別の一覧もあわせてどうぞ。


旬の食べ物・秋の七草
9月は、食材の入れ替わりがはっきり見えてくる時期です。旬のものを一品加えるだけでも、季節を感じられます。
| 分類 | 旬のもの |
|---|---|
| 果物 | 梨、ぶどう、いちじく、栗 |
| 野菜 | さつまいも、かぼちゃ、里芋、きのこ類 |
| 魚 | さんま、いわし、戻りがつお |
| 花 | 秋の七草、彼岸花、金木犀 |
旬の中心は、月の前半と後半で移ります。白露の頃は梨やぶどうといった果物が主役で、秋分を過ぎるあたりからはいも類やきのこが売り場で目立つようになります。
なかでもさつまいもは、ほくほく系からねっとり系まで食感の幅が広い野菜です。甘さを立たせたい焼きいもと、形を残したい揚げ物とでは向く品種が変わるので、売り場で品種名を見比べておくと、目的に合う一本にたどり着けます。




9月の行事全体を見渡したい方は、こちらもあわせてどうぞ。


9月の二十四節気に関するよくある質問
- 9月の二十四節気は全部でいくつありますか?
-
白露と秋分の2つです。二十四節気は約15日ごとに切り替わるため、どの月もおおむね2つずつ含まれます。「二十四節気で白露・秋分といえば共に何月にあるか」という形で問われることもありますが、答えはどちらも9月です。
- 白露と秋分、どちらが先に来ますか?
-
白露が先です。9月7日ごろに白露、そのあと9月23日ごろに秋分を迎えます。順番を覚えにくいときは、露が「現れる」白露のあとに、昼夜が「分かれる」秋分が来ると結び付けておくと迷いません。
- 秋分の日は毎年9月23日ではないのですか?
-
固定ではありません。地球の公転周期のずれにより、9月22日や9月24日になる年もあります。正式な日付は前年2月に国立天文台が発表します。数年先の予定を組むときは、印刷物のカレンダーではなく発表済みの暦要項で確かめるほうが確実です。
- 「白露の候」はいつまで使えますか?
-
白露の期間である9月22日ごろまでです。秋分を過ぎたら「秋分の候」に切り替えます。口頭のあいさつでは使わず、手紙やメールの書き出しに限って使う言い回しです。
- 9月の七十二候はいくつありますか?
-
白露に3つ、秋分に3つの計6つです。ただし節気の区切りと月の区切りは完全には一致しません。候はおよそ5日ごとに切り替わるので、9月のあいだに季節の小見出しが6回入れ替わる計算になります。
まとめ
9月の二十四節気は「白露」と「秋分」。夏の名残が薄れ、秋がはっきりと姿を見せる15日間ずつの節目です。
白露では草に露が結び、ツバメが南へ帰っていきます。秋分では昼と夜の長さがほぼ等しくなり、お彼岸を迎えます。どちらも、季節の移ろいを目と体で感じられる時期です。
2026年の日付と要点を並べておきます。
- 白露は9月7日(月)。期間は9月22日まで
- 秋分は9月23日(水)。期間は10月7日まで
- 日付は太陽の黄経(白露165度・秋分180度)で決まり、前年2月の暦要項で確定する
- 秋のお彼岸は9月20日(日)から9月26日(土)まで。中日が秋分の日
- 時候の挨拶は9月22日までが「白露の候」、23日からが「秋分の候」
2026年の白露は9月7日、秋分は9月23日。秋のお彼岸は9月20日から9月26日までの7日間です。暦の言葉を知っておくと、いつもの9月が少しだけ豊かに感じられます。




















