朝の冷え込みが厳しくなり、年末の準備が始まる12月。俳句や手紙に季節の言葉を添えたいとき、「12月らしい季語はどれだろう」「年の暮の言葉はいつから使えるのだろう」と迷う方は多いのではないでしょうか。12月は冬の真ん中にあたり、冬至と年越しという大きな節目を抱えた月です。
この記事では、12月に使える季語を「時候」「天文・地理」「行事・暮らし」「動植物」の4つに分け、代表的な60語を読み方・意味・区分つきで一覧にしました。月の前半と後半の使い分けや、季節を取り違えやすい言葉、有名な俳句もあわせて紹介します。
先に要点です。12月はどの日も冬の季語を使います。2026年は12月1日〜6日が初冬、12月7日の大雪からが仲冬です。年の暮の言葉は大晦日まで使え、元日からは「新年」の季語に切り替わります。
12月の季語とは?大雪を境に「初冬」から「仲冬」へ
12月の季語は、月のはじめから終わりまで「冬」の言葉です。11月のように秋と冬が入れ替わることはありません。ただし冬のなかにも初冬・仲冬・晩冬の3つの区分があり、12月はその途中で初冬から仲冬へ移ります。さらに月末には、冬の部とは別に立てられた「新年」の季語が控えています。
| 区分 | 二十四節気 | 2026年のおおよその期間 |
|---|---|---|
| 初冬(しょとう) | 立冬・小雪 | 11月7日〜12月6日 |
| 仲冬(ちゅうとう) | 大雪・冬至 | 12月7日〜2027年1月4日 |
| 晩冬(ばんとう) | 小寒・大寒 | 2027年1月5日〜2月3日 |
表のとおり、12月は1日から6日までが初冬の終わり、7日以降が仲冬です。月の8割近くが仲冬にあたるので、12月の句には仲冬の季語と、冬のあいだ通して使える「三冬(さんとう)」の季語を選んでおけばまず困りません。気をつけたいのは、月の最初の数日と、大晦日から元日へまたがる月末の2か所です。
12月1日〜大雪の前日は初冬|11月から続く冬の言葉
2026年の12月1日から6日までは、暦の上では初冬の終わりです。11月に使った「小春」「木枯し」「時雨」「冬紅葉」などの初冬の季語が、まだそのまま使えます。12月に入ってすぐの穏やかな晴れの日なら、「小春日和」を置いても季節はずれにはなりません。
反対に、冬至や年の暮のような仲冬の言葉をこの数日に使うと、少し先走った印象になります。月初めの句では、「落葉」「枯野」「蜜柑」のような三冬の季語を中心に選ぶのが無難です。三冬の季語は初冬・仲冬・晩冬のどこに置いてもよいので、区分の境目で迷ったときの逃げ道になります。
大雪(2026年は12月7日)からは仲冬
大雪(たいせつ)は、山だけでなく平地にも雪が降りはじめるころを表す節気です。2026年は12月7日(月)にあたり、この日から冬は仲冬に入ります。仲冬は冬の盛りへ向かう時期で、寒さそのものを言う「寒し」、空から降る「霰」「霙」、冷たく吹きつける「北風」など、冬の厳しさを前に出した言葉がよく合います。
とはいえ、12月上旬の東京や大阪で雪が積もることはまれです。大雪という名は、雪国や山の景色を基準にした呼び名と考えるとわかりやすいでしょう。暮らしている土地で雪が降らなくても、仲冬の季語は使えます。体感より暦を基準に区分を決めるのは、ほかの季節と同じです。

冬至(12月22日)から年の暮へ|大晦日までが「冬」、元日からは「新年」
2026年の冬至は12月22日(火)です。一年で昼がいちばん短い日で、「冬至」そのものも仲冬の季語になります。冬至を過ぎると、年の暮・年の瀬・数え日といった年末の言葉が句の中心になっていきます。これらはすべて冬の部に入る季語で、大晦日の夜まで使えます。
歳時記は、春・夏・秋・冬に「新年」を加えた5つの部立てで季語を分けているものが多く、正月の言葉は冬とは別の部にまとめられています。そのため、大晦日の「除夜の鐘」は冬、元日の「初日」「去年今年(こぞことし)」は新年の季語です。同じ一夜の出来事でも、年が改まる瞬間を境に季節が入れ替わる点は覚えておきましょう。

時候の季語|師走・霜月・冬至・年の暮・数え日など17語
時候の季語は、季節の移り変わりそのものを表す言葉です。12月の時候は「冬の深まりを言う言葉」と「年の終わりを言う言葉」の2つに分かれます。前者は月のどこでも使いやすく、後者は月の後半になるほどしっくりきます。11月が秋と冬の切り替えに気を配る月だったのに対し、12月は年末へ向かう時間の流れを言葉でどう表すかが選び方の軸になります。
月の名前の季語が多いのも12月の特徴です。新暦の「十二月」に加え、「師走」「極月」「霜月」と、12月ごろを指す呼び名が4つもそろっています。それぞれ成り立ちが違うので、下の表とあとの説明で整理しておきましょう。
冬の深まりを表す言葉(仲冬・三冬)
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 十二月 | じゅうにがつ | 仲冬 | 新暦の12月。一年の最後の月 |
| 師走 | しわす | 仲冬 | 12月の異称。年末のあわただしさも含む |
| 極月 | ごくげつ | 仲冬 | 12月の異称。年の極まる月の意。「ごくづき」とも |
| 霜月 | しもつき | 仲冬 | 旧暦11月の呼び名。新暦ではおおむね12月ごろ |
| 大雪 | たいせつ | 仲冬 | 二十四節気のひとつ。2026年は12月7日 |
| 冬至 | とうじ | 仲冬 | 一年で昼が最も短い日。2026年は12月22日 |
| 寒し | さむし | 三冬 | 冬の寒さそのもの。「寒さ」とも |
「霜月」は、11月の季語ではなく12月の季語として使うのが歳時記の考え方です。霜月はもともと旧暦11月の呼び名で、旧暦11月は新暦のおおむね12月ごろにあたります。手紙の挨拶では新暦11月に「霜月の候」と書くのが一般的ですが、俳句では季節感の合う12月の句に用いるのが自然です。一方の「師走」は、新暦12月の呼び名として広く定着しており、歳時記でも仲冬に置かれています。
年の瀬を表す言葉(年末)
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 年の暮 | としのくれ | 仲冬 | 一年の終わりのころ。「歳末」「年末」とも |
| 年の瀬 | としのせ | 仲冬 | 年の暮れの、押し詰まったあわただしい時期 |
| 歳晩 | さいばん | 仲冬 | 年の暮れ。漢語らしい引き締まった響きの言葉 |
| 年の内 | としのうち | 仲冬 | 年が明けるまでの、残りわずかな日々 |
| 数え日 | かぞえび | 仲冬 | 年内の残りの日数を指折り数えるほど押し詰まったころ |
| 行く年 | ゆくとし | 仲冬 | 過ぎ去ろうとしている今年 |
| 年惜しむ | としおしむ | 仲冬 | 去りゆく一年を惜しむ気持ち |
| 小晦日 | こつごもり | 仲冬 | 大晦日の前日。12月30日 |
| 大晦日 | おおみそか | 仲冬 | 一年の最後の日。12月31日。「大年(おおとし)」とも |
| 除夜 | じょや | 仲冬 | 大晦日の夜 |
年末の言葉は、時期の幅で使い分けると句がぶれません。「年の暮」「年の瀬」は12月の後半全体に使えますが、「数え日」は残りが数日になったころ、「小晦日」は30日、「大晦日」「除夜」は31日と、日付がだんだん絞られていきます。たとえば12月28日の大掃除の句なら「年の瀬」、31日の夜の句なら「除夜」というように、詠む日に合った言葉を選びましょう。
「行く年」「年惜しむ」は、11月の季語で紹介した「行く秋」「秋惜しむ」と同じ型の言葉です。季節の名に「行く」「惜しむ」を添えて終わりを言う型が、ここでは季節ではなく一年そのものに使われています。
天文・地理の季語|初雪・霰・北風・冬晴・冬銀河など11語
空と大地の季語では、12月は「降るもの」「吹くもの」「冴えるもの」が主役です。雨は冷たさを増して霰や霙に変わり、北からの乾いた風が吹きつけます。その一方で、晴れた日の空は澄みわたり、夜には冬の星がくっきりと見えるようになります。厳しさと澄んだ美しさの両方が、12月の天文の言葉には含まれています。
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 初雪 | はつゆき | 冬 | その冬に初めて降る雪。初冬・仲冬のどちらに置くかは歳時記で分かれる |
| 霰 | あられ | 三冬 | 雪の粒に水滴が凍りついてできる、白く小さな氷の粒 |
| 霙 | みぞれ | 三冬 | 雪がとけかけて雨とまじって降るもの |
| 冬の雨 | ふゆのあめ | 三冬 | 冬に降る冷たい雨。「寒の雨」は晩冬 |
| 北風 | きたかぜ | 三冬 | 冬に北から吹く冷たい風。「北風(きた)」とも読む |
| 空風 | からかぜ | 三冬 | 雨や雪を伴わずに吹く乾いた強い北風。「からっ風」とも |
| 冬晴 | ふゆばれ | 三冬 | 冬のよく晴れわたった天気 |
| 冬の星 | ふゆのほし | 三冬 | 冴えた夜空に鋭く光る冬の星 |
| 冬銀河 | ふゆぎんが | 三冬 | 冬の夜空に見える天の川 |
| 霜柱 | しもばしら | 三冬 | 土の中の水分が凍り、細い氷の柱となって地面を押し上げたもの |
| 冬の海 | ふゆのうみ | 三冬 | 荒れて鉛色になることの多い冬の海 |
「冬銀河」は、季語の季節を取り違えやすい言葉のひとつです。単に「天の川」と書くと、秋の季語になります。天の川は夏から秋にかけて夜空の高いところに見えるため、歳時記では秋に置かれているのです。冬の夜空に見える淡い天の川を詠むときは、「冬銀河」「冬の天の川」と冬であることを言葉に入れて区別します。
風の季語では、「空風」が関東の冬を代表する言葉です。日本海側に雪を降らせた北西の季節風が、山を越えて乾いた風となり、関東平野に吹き下ろします。群馬の「上州のからっ風」はとくに知られています。同じ冬の風でも、木の葉を落とす初冬の「木枯し」とは時期と吹き方が違うので、12月の乾いた晴天には空風や北風を選ぶと景色がはっきりします。

行事・暮らしの季語|柚子湯・煤払・クリスマス・除夜の鐘など17語
人の営みに結びついた季語では、12月は「年を越す準備」と「冬を暖かく過ごす工夫」の言葉が並びます。正月を迎えるための掃除や買い物、冬至の習わし、クリスマス、年越しの夜の過ごし方まで、行事の言葉が一年でいちばん多く集まる月といってよいでしょう。日付の決まった行事は、正月事始の13日、羽子板市の17日〜19日、冬至の22日、クリスマスの25日、大晦日の31日と、月の後半に集中しています。ここでは年末の行事と年用意、日々の冬の暮らしの2つに分けて紹介します。
年末の行事と年用意
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 正月事始 | しょうがつことはじめ | 仲冬 | 12月13日ごろ、正月を迎える準備に取りかかること |
| 煤払 | すすはらい | 仲冬 | 年末に家じゅうの煤やほこりを払う大掃除。「煤掃(すすはき)」とも |
| 歳の市 | としのいち | 仲冬 | 年末に正月用品や飾りを売る市 |
| 羽子板市 | はごいたいち | 仲冬 | 年末に羽子板を売る市。浅草寺のものが名高い |
| 餅搗 | もちつき | 仲冬 | 正月用の餅をつくこと |
| 柚子湯 | ゆずゆ | 仲冬 | 冬至の日に柚子を浮かべて入る風呂 |
| 冬至南瓜 | とうじかぼちゃ | 仲冬 | 冬至の日に食べる南瓜 |
| クリスマス | くりすます | 仲冬 | 12月25日のキリストの降誕祭。前夜は「聖夜」 |
| 年忘れ | としわすれ | 仲冬 | 一年の苦労を忘れるために催す宴。忘年会 |
| 古暦 | ふるごよみ | 仲冬 | 残りが少なくなった今年の暦 |
| 年越蕎麦 | としこしそば | 仲冬 | 大晦日の夜に食べる蕎麦 |
| 除夜の鐘 | じょやのかね | 仲冬 | 大晦日の夜に寺でつく鐘 |
一覧のなかで覚えておきたいのが、冬至まわりの書き分けです。果物の「柚子」と野菜の「南瓜」は、それだけで書くと秋の季語になります。冬至の習わしとして詠むときは、「柚子湯」「冬至南瓜」と言葉をつなげることで、仲冬の季語になります。同じ柚子でも、木になる実を詠むか、湯船に浮かぶ姿を詠むかで季節が変わるわけです。
「正月事始」と「煤払」は、もともと結びつきの深い言葉です。江戸時代には、江戸城の煤払いが12月13日に行われ、この日を正月準備の始まりとする習わしが広まりました。いまでも京都の祇園などでは、12月13日に事始めの挨拶まわりが行われています。「羽子板市」は、東京の浅草寺で毎年12月17日〜19日に開かれる市がよく知られています。

冬の暮らしの言葉
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 炬燵 | こたつ | 三冬 | 足や体を温める暖房具。「置炬燵」「掘炬燵」とも |
| 手袋 | てぶくろ | 三冬 | 寒さから手を守るために着けるもの |
| 日向ぼこ | ひなたぼこ | 三冬 | 冬の日だまりで体を温めること。「日向ぼっこ」とも |
| 寄鍋 | よせなべ | 三冬 | 魚介や野菜をあれこれ入れて煮ながら食べる鍋料理 |
| 風邪 | かぜ | 三冬 | 冬にひきやすい病として詠まれてきた言葉 |
暮らしの季語は、どれも冬のあいだ通して使える三冬の言葉です。12月の句に置くなら、年末の行事の言葉と組み合わせるより、一句に季語をひとつだけ使うほうがすっきりまとまります。たとえば「炬燵」と「年の暮」を同じ句に入れると、季語が2つ重なる「季重なり」になり、どちらが主役かがぼやけてしまうからです。
「クリスマス」のように外国から入った行事も、日本の暮らしに根づいたことで季語として歳時記に載っています。「聖夜」「クリスマスツリー」「サンタクロース」なども同じ仲冬の仲間です。カタカナの季語でも、使い方は和語の季語と変わりません。

動植物の季語|枇杷の花・千両・冬木立・鶴・鮟鱇など15語
12月の動植物の季語は、「葉を落とした木」「寒さのなかの赤い実と小さな花」「冬の水辺の鳥」「冬においしくなる魚」が軸になります。11月に散った葉の名残はもう少なく、木々は枝だけの姿になっていきます。そのぶん、千両や南天の赤い実や、冬に咲く数少ない花が目を引くようになり、季語としても大切にされてきました。
食卓にのぼる冬の魚も、12月の季語の大きなまとまりです。鍋の季節に合わせて身が締まり、脂がのる魚が多く、河豚や鮟鱇はその代表格になっています。暮らしの「寄鍋」と組み合わせたくなりますが、一句に季語はひとつが基本なので、どちらか一方を選んで詠みましょう。
植物の季語
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 枇杷の花 | びわのはな | 初冬 | 冬に枝先へ咲く、白くて香りのよい小花 |
| ポインセチア | ぽいんせちあ | 仲冬 | 赤い苞(ほう)が花のように見える鉢植え。クリスマスの花 |
| 冬木立 | ふゆこだち | 三冬 | 葉を落として立ち並ぶ冬の木々 |
| 枯木 | かれき | 三冬 | 葉が落ちて枯れたように見える冬の木 |
| 千両 | せんりょう | 三冬 | 葉の上に赤い実を房のようにつける常緑の小低木 |
| 万両 | まんりょう | 三冬 | 葉の下に赤い実を垂れ下げる常緑の小低木 |
| 南天の実 | なんてんのみ | 三冬 | 冬に赤く熟す南天の実 |
| 葱 | ねぎ | 三冬 | 冬に甘みが増す野菜 |
| 白菜 | はくさい | 三冬 | 鍋物や漬物に欠かせない冬の野菜 |
「千両」と「万両」は、どちらも冬に赤い実をつけ、正月の縁起物として飾られる木です。見分け方は実のつき方で、千両は葉の上に実が上向きにつき、万両は葉の下に実が垂れ下がります。名前の格は万両のほうが上ですが、どちらも冬の季語なので、12月の庭や生け花の句に使えます。
「枇杷の花」は、実の季語とは季節が大きく離れている言葉です。初夏に実る「枇杷」は夏の季語ですが、花は冬に咲くため冬の季語になります。葉の陰に隠れるように咲く地味な花で、近づくとほのかに甘い香りがします。目立たないぶん、見つけたときの小さな驚きを句にしやすい季語です。

動物の季語
| 季語 | 読み方 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 鶴 | つる | 三冬 | 冬に北から渡ってきて越冬する大型の鳥 |
| 千鳥 | ちどり | 三冬 | 水辺の小鳥。群れで鳴き交わす姿が冬の浜の景物とされる |
| 鳰 | かいつぶり | 三冬 | 水に潜って魚をとる小さな水鳥。「におどり」とも |
| 鯨 | くじら | 三冬 | 海にすむ大型の哺乳類 |
| 河豚 | ふぐ | 三冬 | 冬が旬の魚。「ふく」とも呼ぶ |
| 鮟鱇 | あんこう | 三冬 | 深海にすむ魚。冬の鍋料理で知られる |
「鶴」は、冬の季語を代表する鳥です。鹿児島県の出水平野には、毎年秋から冬にかけてナベヅルやマナヅルが大陸から渡ってきて、1万羽を超える群れで冬を越します。なお、春に北へ帰っていく姿は「鶴帰る」「引鶴(ひきづる)」という春の季語になり、同じ鶴でも動きによって季節が変わります。
「鳰」はかいつぶりの古い呼び名で、琵琶湖の古名「鳰の海(におのうみ)」にもその名が残っています。水にすっと潜っては、思いがけない場所にひょいと浮かび上がるしぐさが特徴です。鴨のように群れで浮かぶ鳥とは違う、小さな鳥の動きを詠みたいときに合います。
12月の季語を使った有名な俳句
年の暮や冬木立を詠んだ、作者と出典のはっきりした名句を紹介します。12月の季語は年末の言葉が多いぶん、一年をふり返る思いや、暮らしの手ざわりが句に表れやすいのが特徴です。季語が句のなかでどう働いているかを見ると、言葉選びの参考になります。
松尾芭蕉の句
年暮れぬ 笠着て草鞋 はきながら
(としくれぬ かさきてわらじ はきながら)
季語は「年暮れぬ(年の暮)」で仲冬。紀行文『野ざらし紀行』の旅の途中で年の暮を迎えたときの句です。笠をかぶり草鞋をはいた旅姿のまま、一年が終わってしまった。家で年を越す人々の暮らしとは違う、旅に生きる身の感慨が、身なりの描写だけで伝わってきます。
与謝蕪村の句
斧入れて 香におどろくや 冬木立
(おのいれて かにおどろくや ふゆこだち)
季語は「冬木立」で三冬。葉を落とし、枯れたように静まりかえった冬の木に斧を打ちこむと、思いがけず生木の香りが立ちのぼった。見た目には枯れていても、木の内側には命が通っている。その発見の驚きを、香りという一点でとらえた句です。
小林一茶の句
ともかくも あなた任せの 年の暮
(ともかくも あなたまかせの としのくれ)
季語は「年の暮」で仲冬。一茶の句文集『おらが春』の結びに置かれた句です。「あなた」は阿弥陀仏を指し、あれこれ思い悩んでも、最後は仏にすべてをお任せして年を送るほかない、という心境を詠んでいます。年の暮という季語が、一年の終わりと人生のままならなさを重ね合わせる役目を果たしています。
3句とも、季語はひとつだけです。芭蕉は旅姿、蕪村は斧と香り、一茶は「あなた任せ」というつぶやきと、季語以外の部分には具体的な物や言葉が置かれています。自分で詠むときも、まず12月の季語をひとつ決め、その季語のそばにある物・音・におい・手ざわりをひとつ添えると、句の景色がはっきりします。
よくある質問
- 12月の季語は冬の季語だけですか?
-
はい、12月は1日から31日まですべて冬です。2026年は12月1日〜6日が初冬、12月7日の大雪以降が仲冬にあたります。冬のあいだ通して使える三冬の季語は、どの日に使っても問題ありません。
- 「師走」と「霜月」は、どちらが12月の季語ですか?
-
俳句ではどちらも12月の句に使える仲冬の季語です。師走は新暦12月の呼び名として定着しています。霜月はもともと旧暦11月の呼び名ですが、旧暦11月が新暦のおおむね12月ごろにあたるため、季節感としては12月の言葉になります。
- クリスマスは季語になりますか?
-
なります。クリスマスは仲冬の季語として歳時記に載っており、「聖夜」「クリスマスツリー」なども同じ扱いです。外来の行事でも、暮らしに定着した言葉は季語として使われています。
- 大晦日と元日の季語は、同じ季節ですか?
-
違います。大晦日・除夜・年越蕎麦は冬の季語で、元日・初日・去年今年は「新年」の季語です。多くの歳時記は新年を冬とは別の部に立てているので、年が改まった瞬間から新年の言葉に切り替えます。
- 「雪」は12月の季語として使えますか?
-
雪は冬の季語なので12月の句にも使えます。ただし、歳時記では雪を晩冬に分類しているものが多く見られます。12月にその冬はじめての雪を詠むなら、「初雪」を選ぶと冬の入り口らしさがより伝わります。
まとめ:12月の季語で冬の深まりと年の瀬を詠もう
12月は、どの日も冬の季語を使う月です。2026年は12月7日の大雪を境に、1日〜6日は初冬、7日以降は仲冬の言葉になります。冬至を過ぎると「年の暮」「数え日」「除夜」と年末の言葉が中心になり、大晦日の夜までが冬、元日からは新年の季語です。
この記事で紹介した60語は、時候17語・天文地理11語・行事暮らし17語・動植物15語という内訳でした。柚子と柚子湯、天の川と冬銀河、枇杷と枇杷の花のように、言葉を少し足すだけで季節が入れ替わる組み合わせが多いのが、12月の季語の面白いところです。
迷ったときの目安は3つ。ひとつ、大雪(2026年は12月7日)より前の数日は初冬なので、仲冬の言葉は控えめにする。ふたつ、柚子・南瓜は単独だと秋、冬至の習わしなら「柚子湯」「冬至南瓜」。みっつ、大晦日までは冬、元日からは新年の季語。この3点を押さえれば、季節のずれた句にはなりません。
ひとつ前の月、秋から冬へ切り替わる11月の季語一覧はこちらでまとめています。

年賀状の準備や大掃除の合間に、ふと目に入ったものにいちばん近い季語をひとつ選んでみてください。冬晴の空、赤い千両の実、湯気の立つ柚子湯。慌ただしい12月だからこそ、季節の言葉に目を留める時間が一年の締めくくりを豊かにしてくれます。
