朝晩の風がすっと涼しくなるころ、「そろそろお彼岸だね」という声を耳にします。けれど、いざ予定を立てようとすると迷うものです。
今年はいつからいつまでなのか。お墓参りは何日に行けばいいのか。そもそも、お彼岸には何をする日なのか。
この記事では、2027年の秋のお彼岸の日程を最初にお伝えしたうえで、意味や由来、当日にすること、おはぎを供える理由、お墓参りのマナーまでをまとめてご紹介します。読み終えるころには、予定も気持ちもすっきり整っているはずです。
2027年の秋のお彼岸はいつ?彼岸入り・中日・彼岸明けの日程
2027年の秋のお彼岸は、9月20日(月)から9月26日(日)までの7日間です。中日にあたる秋分の日は9月23日(木)になります。
お彼岸は毎年、秋分の日を真ん中に置いて前後3日ずつ、合わせて7日間と決まっています。初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」と呼び、中日をはさんで前半と後半に分かれる形です。
秋分の日が何曜日に来るかで、休みの並び方は毎年変わります。日曜日に重なった年は翌日の月曜日が振替休日となる一方、土曜日に重なった年には振り替えがなく、休みは1日も増えません。帰省を伴うお墓参りでは、この並びしだいで動ける日数が違ってきます。
2027年秋のお彼岸カレンダー
| 日付 | 曜日 | 呼び方・その日の出来事 |
|---|---|---|
| 9月20日 | 月 | 彼岸入り・敬老の日(祝日) |
| 9月21日 | 火 | — |
| 9月22日 | 水 | — |
| 9月23日 | 木 | 中日(秋分の日・祝日) |
| 9月24日 | 金 | — |
| 9月25日 | 土 | — |
| 9月26日 | 日 | 彼岸明け |
2027年は彼岸入りが敬老の日。18日からの3連休と重なる年
2027年は、彼岸入りの9月20日(月)が敬老の日にあたり、前の週末とつながって9月18日(土)から20日(月)までが3連休になります。中日の秋分の日は9月23日(木)で、その前後の21日・22日と24日は平日です。
遠方の実家へ帰省してお墓参りをするなら、彼岸入りと重なるこの3連休か、彼岸明けを含む25日(土)・26日(日)の週末が動きやすい日程です。3連休は高速道路や新幹線の混雑も見込まれますので、宿や交通の手配は早めがおすすめです。
2027年秋のお彼岸は9月20日(月)〜26日(日)。中日は9月23日(木・秋分の日)で、彼岸入りの20日は敬老の日と重なります。
秋のお彼岸とは?「彼岸」の意味と由来
お彼岸は、ご先祖を供養し、自分自身の生き方を見つめ直す仏教由来の期間です。春と秋の年2回あり、日本独自の行事として定着してきました。
彼岸を暦の節目とみる感覚は、平安時代の物語にも表れています。『源氏物語』の「行幸(みゆき)」の巻では、玉鬘(たまかずら)が成人の儀にあたる裳着(もぎ)を行う日取りを、春の彼岸の初日にあたる縁起のよい日として決めています。
お墓参りの習慣ばかりが知られていますが、もともとは「向こう岸へ渡る」という仏教の考え方が出発点になっています。
彼岸と此岸(しがん)が指すもの
仏教では、迷いや悩みを抱えたまま生きるこの世を「此岸(しがん)」、悟りの境地であるあの世を「彼岸(ひがん)」と呼びます。川をはさんだ、こちら側と向こう岸というイメージです。
「彼岸」という言葉は、サンスクリット語の「パーラミター」を漢訳した「到彼岸(とうひがん)」に由来するとされます。向こう岸へ至る、つまり悟りに近づくための修行を意味する言葉でした。
そこから転じて、彼岸の期間は仏道に心を寄せ、ご先祖に感謝を向ける日々として受け継がれてきました。
なぜ秋分の日が中日になるのか
秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西へ沈む日です。昼と夜の長さがほぼ等しくなる日としても知られています。
仏教には、極楽浄土は西の彼方にあるという西方浄土(さいほうじょうど)の考え方があります。太陽が真西に沈むこの日は、あの世とこの世がもっとも近づく日と考えられ、ご先祖を偲ぶのにふさわしい日とされてきました。
暦のうえでの節目と、仏教の教えが結びついた行事。それが日本のお彼岸というわけです。
秋分そのものの意味や、その前にくる白露については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

春のお彼岸との違い
春と秋のお彼岸は、供養の意味合いに違いはありません。中日となる日と、供える和菓子の呼び名が変わるのが主な違いです。
| 項目 | 春のお彼岸 | 秋のお彼岸 |
|---|---|---|
| 中日 | 春分の日 | 秋分の日 |
| 2027年の期間 | 3月18日(木)〜24日(水) | 9月20日(月)〜26日(日) |
| 供える和菓子 | ぼたもち | おはぎ |
| 名前の由来となる花 | 牡丹(ぼたん) | 萩(はぎ) |
言葉の上でも、春と秋ははっきり分けて扱われます。俳句の季語では「彼岸」とだけ書くと春の彼岸を指すため、秋の彼岸を詠む句には「秋彼岸」や「後の彼岸」が使われます。
春のお彼岸の中日である春分の日については、こちらでまとめています。

秋のお彼岸にすること
お彼岸に必ずやらなければならない決まりごとは、実はありません。一般的には、お墓参り・仏壇のお手入れ・彼岸会への参加の3つが中心になります。
大切なのは形式よりも、ご先祖に手を合わせる時間をつくることです。できる範囲で構いません。
何をどこまで行うかは、宗派や地域、家ごとの習わしでまちまちです。浄土真宗本願寺派は公式サイトで、お彼岸を仏の教えを聞く大切な機会として紹介しています。地域によっては、彼岸入りの日に「入り団子」、彼岸明けの日に「明け団子」と呼ぶ団子を仏壇に供える家もあります。

お墓参りに行く
お彼岸のもっとも代表的な過ごし方です。墓石を洗い、雑草を抜き、花と線香を供えて手を合わせます。
持ち物としては、次のものをそろえておくと安心です。
- お花(菊やりんどうなど、季節の花)
- 線香・ろうそく・ライター
- お供え物(おはぎ、果物、故人の好物など)
- 数珠
- 掃除道具(スポンジ・雑巾・軍手・ごみ袋)
- 手桶とひしゃく(霊園に備え付けがない場合)
お供えした食べ物は、そのまま置いて帰らないのが基本です。カラスや小動物に荒らされる原因になりますので、手を合わせたあとは持ち帰りましょう。
なお、お墓が遠方にあって行けない年もあります。その場合は自宅の仏壇に手を合わせるだけでも十分です。
仏壇・仏具を掃除してお供えをする
彼岸入りの前までに、仏壇まわりを整えておくと気持ちよく期間を迎えられます。ほこりを払い、花立てや香炉を洗い、仏花を新しくしておきましょう。
お供えの基本は、五供(ごくう)と呼ばれる5つです。
五供(ごくう)とは
- 香(こう)…線香やお香
- 花(か)…仏花
- 灯燭(とうしょく)…ろうそくの灯り
- 浄水(じょうすい)…清らかな水
- 飲食(おんじき)…ごはんやお供え物
宗派によって作法は少しずつ異なります。迷ったときは、菩提寺や年長のご家族に確認すると確実です。
彼岸会(ひがんえ)に参加する
お彼岸の期間中、寺院では「彼岸会」という法要が営まれます。読経や法話を通じてご先祖を供養する行事で、檀家でなくても参加できる寺院も少なくありません。
日程は寺院ごとに異なり、中日に合わせて行われることが多いようです。参加を考えているなら、事前に問い合わせておくと安心でしょう。
ちなみに彼岸会の始まりは、806年(大同元年)に朝廷が諸国の国分寺で読経を行わせた記録にさかのぼるとされています。1200年以上受け継がれてきた行事というわけです。
秋のお彼岸に「おはぎ」を供える理由|ぼたもちとの違い
秋のお彼岸におはぎを供えるのは、小豆の赤い色に邪気を払う力があると考えられてきたためとされます。加えて、砂糖が貴重だった時代の甘い餅は、ご先祖への最上のもてなしでもありました。
秋は小豆の収穫期にあたります。とれたての小豆を使ったお供えには、実りへの感謝という意味も重なっているのです。
店頭におはぎが並びはじめると秋の訪れを感じる、という方も多いのではないでしょうか。

おはぎとぼたもちは基本的に同じ食べ物
おはぎとぼたもちは、材料も作り方もほとんど変わりません。もち米とうるち米を混ぜて炊き、軽くついてから、あんこやきなこで包んだ和菓子です。
違うのは呼び名。春と秋で名前が変わるという、日本らしい季節感の表れといえます。
季節ごとの呼び名は、夏と冬の分も伝わっています。臼と杵で搗く餅と違って音を立てずに作れるため、隣の家にはいつ搗いたのか分かりません。この「搗き知らず」を「着き知らず」に掛けて夏は「夜船(よふね)」、月の光が差さない「月知らず」に掛けて冬は「北窓(きたまど)」と呼ぶ、言葉遊びから生まれた名前です。
名前が違うのは萩と牡丹に由来する
秋の「おはぎ」は、秋の七草のひとつである萩(はぎ)の花にちなむとされます。小豆の粒を、赤紫の小さな萩の花に見立てた呼び名です。
いっぽう春の「ぼたもち」は、春に咲く牡丹(ぼたん)の花が由来。大ぶりな牡丹に合わせて、丸く大きめに作るのが本来の形といわれます。
つぶあん・こしあんの違いには諸説ある
「おはぎはつぶあん、ぼたもちはこしあん」という説明を見かけることがあります。秋は収穫したばかりの小豆で皮がやわらかいためつぶあんに、春は保存して皮が硬くなった小豆を使うためこしあんにする、という理由づけです。
ただしこの区別は全国共通のものではありません。地域や店によって呼び分けはさまざまで、季節に関係なく一年中「おはぎ」と呼ぶ地域もあります。
厳密な決まりととらえず、季節の言葉として楽しむのがよさそうです。
お墓参りはいつ行く?お供えとマナー
お墓参りの日は、7日間のうちいつでも構いません。中日の秋分の日に行く方が多いものの、いつ行かなければならないという決まりはないためです。
混雑を避けたいなら、彼岸入り直後の平日や、朝の早い時間帯が狙い目になります。
菩提寺の境内にお墓がある家なら、寺院の彼岸会に出る日に合わせて墓前へ回ると、一度の外出で法要とお参りを済ませられます。
都立青山霊園は彼岸の期間に臨時駐車場を設け、名古屋市は八事霊園周辺の交通規制を、お盆や年末と並んで彼岸の時期にも知らせています。車で向かう日は、行き先の霊園や自治体からお知らせが出ていないか、前もって見ておきます。
訪問先へのお供えの選び方
実家や親戚宅を訪ねる場合、手土産としてお供えを持参するのが一般的です。日持ちのする和菓子や焼き菓子、果物、故人の好物などが選ばれます。
金額は3,000円から5,000円ほどが目安とされます。掛け紙(のし紙)は黒白または双銀の結び切りで、表書きは「御供」「御仏前」とするのが通例です。
お供えのお菓子選びの考え方は、お盆の場合とほぼ共通です。のしの書き方や渡し方はこちらで詳しくご紹介しています。

初彼岸・喪中の場合の考え方
四十九日の忌明け後、はじめて迎えるお彼岸を「初彼岸」と呼びます。特別な決まりごとはありませんが、僧侶を招いて法要を営んだり、親族が集まって供養したりする家庭もあります。
お彼岸そのものは、忌み事ではありません。喪中であっても通常どおりお参りして問題ないとされています。
ただし四十九日を迎える前は、お墓ではなく自宅の後飾り祭壇に手を合わせるのが一般的です。判断に迷うときは菩提寺に相談してみてください。
お彼岸に「この日でなければ」という決まりはありません。7日間のうち都合のよい日に、心を込めて手を合わせることがいちばん大切です。
仏壇に供えた品を下げる目安や、彼岸明けに間に合わなかった年の考え方は、お彼岸の期間そのものを扱った記事で取り上げています。

お彼岸と重なる9月の行事
2027年の9月は、お彼岸の前後に季節の行事が集まります。敬老の日、十五夜、そして彼岸花の見ごろ。秋の入り口らしい景色が続く月です。
2027年の十五夜は9月15日(水)で、彼岸入りの5日前にあたります。お月見を先に済ませてから彼岸入りを迎える、という順番になる年です。
お彼岸のころに赤く咲く彼岸花は、その名のとおり秋の彼岸に合わせて開花します。田んぼのあぜ道を彩る光景は、9月ならではの風物詩といえるでしょう。

暦の雑節にあたる「社日(しゃにち)」も、毎年お彼岸の前後に巡ってきます。秋分にもっとも近い戊(つちのえ)の日と決められているためで、生まれた土地の守り神である産土神(うぶすながみ)をまつり、秋は実りに感謝する日とされてきました。
大阪の四天王寺では、春と秋の彼岸の中日に「日想観(じっそうかん)」が営まれます。西門の先に立つ石鳥居の向こうへ沈んでいく夕日を拝み、極楽浄土の姿を心に思い描く法要です。
9月の行事を一覧で確認したい方は、こちらもあわせてどうぞ。

秋のお彼岸のよくある質問
- お彼岸に土いじりをしてはいけないというのは本当ですか?
-
宗教的な禁止事項ではありません。「彼岸に土を動かすと祟りがある」といった言い伝えは各地にありますが、農作業を休んで墓参りに専念するための戒めだったとする見方もあります。気になる場合は、彼岸明けを待って庭仕事を始めるとよいでしょう。
- お彼岸に引っ越しや結婚式をしてもいいですか?
-
問題ないとされています。お彼岸は忌み事ではなく、仏教の修行期間にあたるためです。ただし親族がお墓参りの予定を入れている場合もありますので、日程は早めに相談しておくと安心です。
- お彼岸のお墓参りは、いつまでに行けばよいですか?
-
2027年の秋のお彼岸なら、9月26日(日)の彼岸明けまでが目安です。都合がつかず期間内に行けなくても差し支えありません。後日あらためてお参りすれば十分です。
- おはぎは手作りでないといけませんか?
-
市販のもので構いません。かつては家庭で作るのが一般的でしたが、現在は和菓子店やスーパーで購入する家庭がほとんどです。故人が好きだった和菓子を選ぶのもよい供養になります。
- お墓が遠くて行けません。どうすればよいですか?
-
自宅の仏壇に手を合わせるだけでも供養になります。仏壇がない場合は、故人の写真を前に静かに思い出す時間を持つのもひとつの形です。近年は霊園の墓参り代行サービスを利用する方もいます。
まとめ|2027年の秋のお彼岸は9月20日から26日まで
2027年の秋のお彼岸は、9月20日(月)の彼岸入りから9月26日(日)の彼岸明けまでの7日間です。中日は秋分の日にあたる9月23日(木)になります。
この記事の要点を、あらためて整理しておきましょう。
- お彼岸は秋分の日を中日とする前後3日ずつ、計7日間
- 太陽が真西に沈む日は、西方浄土がもっとも近づく日とされてきた
- することはお墓参り・仏壇の手入れ・彼岸会への参加が中心
- おはぎとぼたもちは同じ食べ物で、萩と牡丹が呼び名の由来
- お墓参りの日に決まりはなく、期間中の都合のよい日でよい
2027年は彼岸入りの9月20日(月)が敬老の日で、18日(土)からの3連休がお彼岸の始まりと重なります。暑さがやわらぐこの時期、少し早めに家族と日程を相談してみてはいかがでしょう。
ご先祖に手を合わせる7日間は、慌ただしい日々をいったん止めて、自分の来し方を静かに振り返る時間でもあります。真西に沈む夕日を眺めながら、ゆっくり過ごしてみてください。
