夏休みが終わるころ、テレビやスーパーの掲示板で「防災の日」という言葉を見かけます。避難訓練の案内が回ってきたり、防災グッズの売り場ができたりする時期です。ただ、なぜ9月1日なのか説明できる人は多くありません。
この記事では、防災の日の日付と由来、防災週間との関係、当日に国や自治体・学校で行われることを整理します。あわせて家庭でできる点検の手順と、混同しやすい防災関連の記念日の違いまでまとめました。
結論から言うと、防災の日は毎年9月1日です。関東大震災が起きた日であり、暦の上では台風を警戒する二百十日にもあたります。1959年の伊勢湾台風の被害が、制定の直接のきっかけになりました。
防災の日は9月1日で固定。2026年は火曜日です。8月30日から9月5日までの1週間が「防災週間」にあたります。
防災の日は毎年9月1日|2026年は9月1日(火)
防災の日は毎年9月1日です。お彼岸や十五夜のように年ごとに前後することはなく、いつの年も9月1日と決まっています。2026年は火曜日にあたり、多くの学校では新学期が始まって間もない時期と重なります。
この日付は偶然決まったものではありません。歴史上の大きな災害と、暦のうえでの警戒日が同じ9月1日に重なっていたことが背景にあります。由来は次の章で詳しく見ていきます。
祝日ではないので学校や会社は休みにならない
防災の日は国民の祝日ではありません。「国民の祝日に関する法律」に定めがなく、1960年の閣議了解によって設けられた記念日という位置づけです。そのため学校や会社が休みになることはなく、平常どおりの一日となります。
むしろ、休みにならないからこそ意味がある日ともいえます。学校や職場に人が集まっている状態でこそ、避難訓練や安否確認の手順を実際に動かして確かめられるためです。9月1日前後に訓練が集中するのは、こうした事情もあります。
防災の日を含む8月30日〜9月5日が「防災週間」
9月1日の防災の日を挟む1週間は「防災週間」と呼ばれます。期間は8月30日から9月5日までの7日間で、こちらも毎年同じ日付です。2026年は8月30日(日)から9月5日(土)にあたります。
| 名称 | 期間 | 2026年の曜日 |
|---|---|---|
| 防災の日 | 9月1日 | 火曜日 |
| 防災週間 | 8月30日〜9月5日 | 日曜日〜土曜日 |
週の始まりと終わりが土日にかかりやすいのは、家庭での備蓄点検や地域の防災訓練に参加しやすいようにという配慮でもあります。1日だけでは手が回らない準備を、1週間かけて進める設計になっているわけです。

防災の日の由来|3つの出来事が9月1日に重なった
防災の日が9月1日になった理由は1つではありません。関東大震災という過去の大災害、伊勢湾台風という制定直前の被害、そして二百十日という暦の警戒日。この3つが同じ日付の上で重なったことが決め手になりました。
1923年9月1日の関東大震災
1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分、相模湾を震源とするマグニチュード7.9の地震が発生しました。これが関東大震災です。死者・行方不明者はおよそ10万5千人にのぼり、日本の災害史でも突出した規模の被害となりました。
被害を大きくしたのは、揺れそのものよりも直後に広がった火災でした。ちょうど昼食の支度をする時間帯だったこと、当時の家屋が木造中心だったこと、さらに台風の影響で風が強かったことが重なり、東京や横浜の市街地が広い範囲で焼失しています。
この日を記念日として選んだのは、追悼の意味とともに「同じことを繰り返さない」という意識を毎年よみがえらせるためです。防災の日の根っこにある考え方は、ここにあります。
1959年の伊勢湾台風が制定の直接のきっかけ
関東大震災から37年後、防災の日が生まれる直接の引き金になったのが伊勢湾台風です。1959年(昭和34年)9月26日に紀伊半島へ上陸し、愛知県・三重県を中心に甚大な被害をもたらしました。
被害の規模は、死者・行方不明者が5,000人を超え、全半壊・流失した家屋はおよそ15万戸、浸水家屋は36万戸を上回りました。戦後の自然災害としては最大級の被害です。高潮によって湾岸の低地が長期間水に浸かり、復旧に時間がかかったことも特徴でした。
この災害を受けて、地震や風水害に対する心構えを国民全体で育てる必要があるという議論が起こります。そして翌1960年(昭和35年)6月の閣議了解によって、9月1日が防災の日と定められました。
二百十日|立春から210日目の「台風を警戒する日」
もう1つの理由が、暦の側にあります。9月1日ごろは「二百十日(にひゃくとおか)」という雑節にあたるのです。雑節とは、二十四節気とは別に日本で独自に設けられた季節の目印を指します。
二百十日は立春から数えて210日目の日です。2026年の立春は2月4日だったため、そこから210日目にあたる9月1日が二百十日になります。年によって8月31日になることもありますが、9月1日前後で動く範囲です。
この時期は稲が開花・結実を迎える大事な時期であると同時に、台風が本州に近づきやすい季節でもあります。農家にとっては一年の収穫を左右する分かれ目にあたるため、古くから「荒れやすい日」として警戒されてきました。

防災週間が加わるまでの流れ
防災の日は1日だけの記念日として始まりましたが、後から1週間の枠組みが加わりました。全国的に防災の普及行事を展開するには、1日では足りないという判断があったためです。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1923年(大正12年) | 9月1日に関東大震災が発生 |
| 1959年(昭和34年) | 9月26日に伊勢湾台風が上陸し戦後最大級の被害 |
| 1960年(昭和35年) | 閣議了解により9月1日を「防災の日」に制定 |
| 1982年(昭和57年) | 閣議了解で防災の日を含む1週間を「防災週間」とすることを決定 |
| 1983年(昭和58年) | 中央防災会議で防災週間を8月30日〜9月5日と決定 |
制定から20年以上を経て週間の形が整い、現在の姿になったことがわかります。日付だけを見ると単なる語呂や記念日に見えますが、実際には災害の記憶を制度として残そうとした積み重ねの結果です。
防災の日に国・自治体・学校で行われること
防災の日と防災週間には、規模の違う訓練が同時に走ります。国レベルの総合訓練から、自治体の避難訓練、学校の引き渡し訓練、企業の安否確認まで、それぞれの立場で「動けるかどうか」を確かめる日です。
政府の総合防災訓練
9月1日を中心に、政府による総合防災訓練が実施されます。首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模災害を想定し、閣僚の参集や緊急災害対策本部の設置、関係機関との情報伝達などを実際の手順どおりに動かすものです。
ニュースで首相官邸に閣僚が集まる映像が流れるのは、この訓練の一場面です。想定するシナリオは年ごとに変わり、その時点で懸念されている災害が反映されます。
自治体の避難訓練とハザードマップの配布
市区町村では、防災週間に合わせて地域の避難訓練が組まれます。町内会や自主防災組織が主体となり、避難所までの経路を実際に歩く、避難所を開設して受け入れ手順を確認する、といった内容が中心です。
あわせて、ハザードマップの配布や防災展示、起震車による地震体験なども行われます。自分の住む地域でどんな災害が想定されているかを知る機会として、参加しておく価値があります。開催日程は自治体の広報紙やウェブサイトで告知されます。
学校の引き渡し訓練と企業の安否確認訓練
学校では、始業式の直後にあたるこの時期に避難訓練を行うところが多くあります。特徴的なのが「引き渡し訓練」で、災害時に児童・生徒を保護者へ直接引き渡す手順を確かめるものです。誰が迎えに来るのか、来られない場合はどうするのかを事前に決めておく作業になります。
企業では、安否確認システムの一斉テストが行われます。全社員に確認メールを送り、返信率と所要時間を測る形式が一般的です。事業継続計画(BCP)の見直しをこの時期に合わせる会社もあります。
家庭で防災の日にやること5つ
家庭でできることは、新しく買い足すことより「今あるものを点検する」ことです。備蓄は置いたきりだと期限が切れ、持ち出し袋は季節が変わると中身が合わなくなります。年に一度、日付を決めて見直すための日として使うのが実用的です。
水と食料の残量、賞味期限を1つずつ見ます。期限が近いものは普段の食事に回し、その分を買い足す「ローリングストック」にすると無駄が出ません。カセットボンベや電池も忘れずに確認します。
9月は暑さと台風が残り、これから冷え込みに向かう時期です。衣類やタオル、常備薬の予備、モバイルバッテリーの充電状態を見直します。家族構成が変わっていれば、必要なものも変わっているはずです。
背の高い家具の固定具がゆるんでいないか、寝室の枕元に倒れてくるものがないかを見ます。そのうえで、玄関から避難場所まで実際に歩いてみます。地図で見るのと歩くのとでは、わかることが違います。
離れているときに災害が起きた場合、どこで落ち合うかを決めておきます。携帯電話がつながらない前提で、災害用伝言ダイヤル「171」や災害用伝言板「web171」の使い方を家族で共有しておくと確実です。
自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っていないかを見ます。国土交通省の「重ねるハザードマップ」や自治体の配布資料で確認できます。想定が変わっている場合もあるため、一度見たきりにしないことが大切です。
5つすべてを1日でやり切る必要はありません。防災週間は7日間あるので、平日に1つ、休日に残りをまとめて、といった配分でも十分です。
- 飲料水:1人あたり1日3リットル
- 食料:加熱せずに食べられるものを中心に、最低3日分
- 大規模災害に備える場合は1週間分が望ましいとされる
- トイレ用品・カセットボンベ・電池・常備薬も同じ日数分
これらは内閣府や消防庁が示している一般的な目安です。家族の人数や住まいの条件によって必要量は変わるため、自宅の状況に合わせて調整してください。

災害への備えとあわせて見直しておきたいのが、急な病気やけがへの備えです。9月9日の救急の日と、それを含む1週間の救急医療週間には、応急手当の講習や相談窓口を確認する機会が全国で増えます。

防災の日と間違えやすい記念日の違い
防災に関する記念日は9月1日だけではありません。名前が似ているものが複数あり、由来も対象とする災害も別です。混同しやすいものを整理しておきます。
| 名称 | 日付 | 由来となった災害・出来事 |
|---|---|---|
| 防災の日 | 9月1日 | 関東大震災(1923年)・伊勢湾台風(1959年) |
| 防災用品点検の日 | 3月1日・6月1日・9月1日・12月1日 | 季節の変わり目に点検する目的で設けられた |
| 津波防災の日・世界津波の日 | 11月5日 | 安政南海地震(1854年)の「稲むらの火」 |
| 防災とボランティアの日 | 1月17日 | 阪神・淡路大震災(1995年) |
| 火山防災の日 | 8月26日 | 浅間山に日本初の火山観測所が設置された日(1911年) |
防災用品点検の日は年4回ある
防災用品点検の日は、3月1日・6月1日・9月1日・12月1日の年4回です。9月1日が防災の日と重なるため、この日だけを覚えている人も少なくありません。3か月ごとに備蓄や消火器を点検するという発想でつくられた日で、防災アドバイザーの山村武彦氏が提唱しました。
防災の日が「災害の記憶を受け継ぐ日」だとすれば、防災用品点検の日は「モノの状態を確かめる日」です。役割が違うので、両方あっても重複にはなりません。
津波防災の日・世界津波の日は11月5日
11月5日は津波防災の日です。1854年(安政元年)の安政南海地震のとき、和歌山県で稲むらに火を放って村人を高台へ導いたという「稲むらの火」の逸話にちなんでいます。2011年に津波対策推進法によって定められました。
2015年には国連総会の決議で、同じ11月5日が「世界津波の日」に定められています。日本発の記念日が国際的な枠組みに広がった例です。
防災とボランティアの日は1月17日、火山防災の日は8月26日
1月17日は防災とボランティアの日です。1995年の阪神・淡路大震災で全国から多くのボランティアが駆けつけたことを受けて設けられました。1月15日から21日までが「防災とボランティア週間」にあたります。
8月26日は火山防災の日で、比較的新しい記念日です。1911年に浅間山へ日本で初めての火山観測所が設置された日にちなんでおり、活動火山対策特別措置法の改正によって定められました。
9月1日のほかの記念日と9月の行事
9月1日は防災の日と防災用品点検の日のほか、キウイの日、マテ茶の日、だしの日などが重なっています。二百十日という雑節も同じ日にあたるため、暦の面から見ても節目の多い一日です。
9月は防災の日から始まり、重陽の節句、敬老の日、十五夜、秋のお彼岸と行事が続きます。月全体の流れをつかんでおくと、防災の日が「夏から秋へ切り替わる区切り」に置かれていることが見えてきます。

暦の側から9月を眺めるなら、二十四節気や風物詩をまとめた記事もあわせてご覧ください。白露や秋分がいつなのかを知っておくと、季節の進み方が具体的につかめます。


なお、防災週間が始まる直前の8月31日は野菜の日です。夏の終わりから9月頭にかけては記念日が続くので、あわせて覚えておくとカレンダーが読みやすくなります。

よくある質問
- 防災の日は何月何日ですか?
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毎年9月1日です。年によって動くことはありません。2026年の9月1日は火曜日にあたります。
- なぜ9月1日が防災の日になったのですか?
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1923年9月1日に関東大震災が起きた日であること、9月1日ごろが台風を警戒する二百十日にあたることが理由です。1959年の伊勢湾台風で戦後最大級の被害が出たことが直接のきっかけとなり、翌1960年の閣議了解で定められました。
- 防災の日は祝日で学校は休みになりますか?
-
国民の祝日ではないため、学校も会社も休みにはなりません。むしろ人が集まっている日だからこそ、避難訓練や引き渡し訓練が行いやすいという面があります。
- 防災週間はいつからいつまでですか?
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8月30日から9月5日までの7日間です。1982年の閣議了解で防災の日を含む1週間と決まり、翌1983年の中央防災会議でこの日付が定められました。
- 二百十日とは何ですか?
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立春から数えて210日目にあたる雑節です。2026年は9月1日でした。稲の開花期と台風シーズンが重なるため、古くから農家が警戒してきた日とされています。
- 防災の日に家庭では何をすればよいですか?
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備蓄の期限確認、非常持ち出し袋の入れ替え、家具の固定と避難経路の確認、家族の集合場所と連絡手段の取り決め、ハザードマップの確認の5つが基本です。新しく買い足すより、今あるものを点検するほうが優先されます。
- 防災の日と防災用品点検の日は違うのですか?
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別の記念日です。防災用品点検の日は3月1日・6月1日・9月1日・12月1日の年4回あり、備蓄品や消火器の状態を3か月ごとに確かめることを目的としています。9月1日だけが防災の日と重なります。
まとめ
防災の日は毎年9月1日、防災週間は8月30日から9月5日までです。関東大震災の日であること、二百十日という台風の警戒日であること、そして伊勢湾台風の被害を受けて制定されたこと。3つの背景が重なって、この日付が選ばれました。
国や自治体が訓練を行う一方で、家庭でできることは点検が中心です。備蓄の期限、持ち出し袋の中身、家具の固定、家族の連絡手段、ハザードマップ。この5つを1年に一度見直す日として使えば、記念日が実際の備えにつながります。
9月1日は防災の日。日付が固定されているぶん、毎年の点検日として決めてしまうのがいちばん続けやすい方法です。今年は水と電池の期限から確かめてみてはいかがでしょうか。
