7月23日と、毎月23日。天ぷらの日として知られる日付はこの2つで、1年で数えると12回めぐってきます。同じ23日でも、7月だけは二十四節気の大暑と重なる特別な日付です。カレンダーの隅に小さく印刷された記念日名から、暑さの盛りに揚げものを食べるという食卓の習わしまでが、ひとつづきにつながっています。
カレンダーで「天ぷらの日」という言葉を見かけて、いつのことだろうと気になった方も多いのではないでしょうか。実はこの記念日、7月23日と毎月23日の2つが存在します。
この記事では、天ぷらの日がいつなのか、なぜその日に定められたのか、そして天ぷらそのものの名前の由来までを、やさしく解説します。読み終わるころには、暑い季節に天ぷらを食べる意味がすっきりと分かります。
天ぷらの日はいつ?7月23日と毎月23日の2つがある
天ぷらの日は、毎年7月23日と、毎月23日の両方を指します。もともと7月23日に定められた記念日が、後から毎月23日へと広がったという流れです。
2つの日付は、性格が少し違います。7月23日は二十四節気の大暑にちなんだ年に一度の日で、毎月23日は日付の数字だけを受け継いだ月ごとの記念日です。2026年の7月23日は木曜日にあたり、この日から大暑の期間が始まります。どちらか一方が正式というものではなく、7月23日が先にあり、毎月23日が後から広がったという順序で覚えておくと整理しやすくなります。
まずは、それぞれの日付がどうやって決まったのかを見ていきましょう。
なぜ7月23日なのか(大暑との関係)
7月23日が選ばれた理由は、この日が二十四節気の「大暑(たいしょ)」にあたるからです。大暑は一年で最も暑さが厳しくなるとされる時期で、年によって前後しますが7月23日ごろに巡ってきます。
一年で最も暑い日に、あえて揚げたての天ぷらを食べて夏の暑さを乗り切ろう。そんな願いから、大暑の日が天ぷらの日として定められました。

暑い日に熱い天ぷら…と思いきや、昔から「暑いときこそしっかり食べて元気に」という考え方があったんですね。
気をつけたいのは、大暑そのものは毎年7月23日とは限らない点です。大暑は太陽の位置で決まるため、2024年と2025年は7月22日、2026年は7月23日というように1日ほど前後します。
大暑は一日を指すだけでなく、次の立秋(8月7日ごろ)の前日までのおよそ15日間を表す期間の名前でもあります。2026年でいえば7月23日から8月6日までがその期間です。暑中見舞いを出す時期とも重なるので、夏の折り返しを示す目印として覚えておくと使い勝手のいい日付になります。
毎月23日も天ぷらの日になった理由
その後、天ぷらは精のつく食べものとして見直されるようになりました。そこで、7月23日だけでなく毎月23日も天ぷらの日として親しまれるようになったのです。
7月の記念日が「23日」だったことから、毎月の23日へと自然に広がったと考えられています。おかげで、季節を問わず一年中「今日は天ぷらの日」と楽しめるようになりました。
毎月23日の天ぷらの日には、数字の読みを当てはめた語呂合わせがありません。7月23日という日付が先にあり、その数字だけが月ごとに繰り返される形になったからです。数字の読みに意味を持たせて日付を決める記念日とは、成り立ちの順序が逆になっています。
毎月あるおかげで、7月を逃しても年内に何度でも巡ってきます。旬の食材は月ごとに入れ替わるので、春はたけのこや菜の花、秋はきのこやさつまいも、冬はれんこんと、同じ天ぷらでも中身が変わっていきます。月替わりで種を選ぶ楽しみは、毎月23日ならではのものです。
天ぷらの日の由来|大暑と夏バテ防止の願い
天ぷらの日の背景には、暑さに負けずに元気で過ごしたいという昔の人の願いが込められています。ここでは、その由来をもう少し掘り下げてみましょう。
天ぷらの日は、制定した団体や制定年がはっきり伝わっているタイプの記念日ではありません。夏を元気に越すための食べ方と、大暑という暦の節目が結びついて広まった記念日です。企業が販売促進のために届け出て生まれた記念日とは、成り立ちが異なります。決まりごとが少ないぶん、家庭ごとの好きな食べ方で楽しめる日ともいえます。
一年で最も暑い「大暑」に食べる意味
大暑は、暑さがピークを迎える時期です。汗をたくさんかき、食欲も落ちやすくなります。そんなときこそ、しっかり食べて体力を保とうという発想が、天ぷらの日の土台にあります。
天ぷらは、油で揚げることで香ばしさと食べごたえが生まれます。食欲が落ちがちな暑い日でも、揚げたてのサクッとした食感なら箸が進む、という点も理にかなっています。
暑い時期に精のつくものを食べるという考え方は、天ぷらの日に限ったものではありません。夏の土用にうなぎを食べる習慣や、「暑気払い」という言葉が今も使われていることからも分かるように、暑さで落ちた体力を食事で補うという発想は各地の年中行事に根づいています。
揚げものは水分が抜けて香ばしさが立つぶん、少量でも満足感が出ます。そうめんや冷たい麺だけで食事を済ませがちな時期に、副菜として天ぷらを一品足すという使い方ができるのも、暑い季節と相性がいい理由のひとつです。
大暑ってどんな日? 二十四節気のひとつで、一年で最も暑さが厳しくなるころを指します。梅雨が明け、夏本番を迎える時期の目安になっています。


夏バテ防止の三大記念日として知られる
天ぷらの日は、7月20日ごろの「土用の丑の日」、8月29日の「焼き肉の日」とあわせて、夏バテ防止の三大記念日と呼ばれることがあります。いずれも、暑い季節にしっかり食べて元気を保とうという点で共通しています。
うなぎ、天ぷら、焼き肉。どれも食べごたえのある料理が並んでいるのは、偶然ではなさそうです。夏の暑さを乗り切るための、昔ながらの知恵といえるでしょう。
日付の決まり方は三者三様です。土用の丑の日は十二支の巡りで年ごとに動き、年によっては2回訪れます。いっぽう7月23日と8月29日は毎年同じ日付で、カレンダー上の位置が変わりません。同じ「夏バテ防止」でも、暦から決まる日と数字から決まる日が混じっているわけです。
三つを並べると、7月20日ごろ・7月23日・8月29日と、梅雨明けから残暑までを覆う配置になります。暑さのピークに向けて食べ、盛りを過ぎたころにもう一度食べる。夏の食卓の区切りとして眺めると、覚えやすい並びです。


三大記念日のもう一つ、8月29日の焼肉の日については別の記事でまとめています。「や・きに・く」と読む語呂合わせが日付の由来です。


そもそも天ぷらとは?名前の由来と歴史をやさしく解説
天ぷらの日を知ると、天ぷらそのものにも興味がわいてきます。ここでは、名前の由来と日本に広まった歴史を簡単に紹介します。
天ぷらという料理の輪郭は、時代や土地によってずいぶん違います。今では魚介や野菜に衣をつけて揚げたもの全般を指しますが、西日本には魚のすり身を揚げたものを「てんぷら」と呼ぶ地域があります。野菜だけを揚げたものを「精進揚げ」と呼び分ける言い方も残っており、名前の指す範囲は今も一様ではありません。
「天ぷら」という名前の語源
「天ぷら」という名前の語源には、いくつかの説があります。有力とされるのは、ポルトガル語やスペイン語に由来するという説です。
ポルトガル語で調理を意味する「tempero(テンペロ)」や、ラテン語で時間・季節を意味する言葉が元になったとされます。いずれの説も、外国語がもとになって「天ぷら」という言葉が生まれたという点は共通しています。



和食の代表のような天ぷらですが、名前のルーツは海の向こうにあるのかもしれないんですね。
ラテン語系の説としてよく挙げられるのが、カトリックで四季ごとに設けられた斎日「クアトゥオル・テンポラ」です。この期間は肉を控えて魚や野菜を食べる決まりがあり、食卓に揚げものが並んだことから、料理そのものの呼び名として残ったと考えられています。
二つの説のどちらかに決着したわけではなく、辞典や解説でも並べて紹介されるのが普通です。ただし、出発点が16世紀に日本を訪れた宣教師や商人の言葉である点は、どの説でも共通しています。和食の顔のような料理でありながら、名前だけは南蛮由来という珍しい成り立ちです。
いつ日本に広まったのか
天ぷらの調理法は、16世紀ごろにポルトガルなどの南蛮貿易を通じて日本へ伝わったとされています。その後、江戸時代に入ると、屋台料理として庶民の間に広まっていきました。
当時は、そばやすしと並ぶ手軽な食べ物でした。長い時間をかけて、今のような和食の定番へと育っていったのです。
江戸の屋台で揚げられていたのは、芝えびや穴子、いかといった江戸前の魚介です。串に刺して揚げたものを客が受け取り、屋台に置かれた丼の天つゆにつけて、立ったまま食べるのが江戸っ子の流儀でした。大根おろしを添える食べ方も、この時代から続いています。
値段は串1本で四文ほど。今でいう買い食いに近い感覚で、すし・そばと並んで「江戸の三味」に数えられました。大量の油を使うため火事を恐れて屋内では揚げず、屋外の屋台で商うのが通例だった点も、天ぷらが屋台料理として広まった背景にあります。


天ぷらの日をおいしく楽しむヒント
せっかくの天ぷらの日、いつもより少しだけ工夫して楽しんでみるのもおすすめです。暑い季節に食べるときのちょっとしたコツを紹介します。
暑い時期の揚げものは、台所に立つ時間そのものが負担になります。無理に揚げなくても、総菜売り場の天ぷらや天丼、そば店の一品でも記念日は十分に成り立ちます。作る日と買う日を分けておけば、毎月23日という頻度でも気負わずに続けられます。夏野菜が安く出回る時期なので、材料をそろえる負担が軽いのも7月23日ならではです。
夏に天ぷらを食べるときの工夫
暑い時期は、さっぱりと食べられる組み合わせを選ぶと、より箸が進みます。以下のような工夫を取り入れてみてください。
- 大根おろしを添えて、あっさりとした天つゆで食べる
- すだちやレモンをしぼって、爽やかな酸味を加える
- なす・ししとう・オクラなど、夏が旬の野菜を使う
- 冷たいそばやうどんと合わせて、天ぷらそば・天ぷらうどんにする
旬の夏野菜を選べば、季節感も楽しめて一石二鳥です。無理のない範囲で、その日の気分に合った食べ方を見つけてみましょう。
衣を薄めにして、天つゆではなく塩で食べるのも暑い日には向いています。抹茶塩やカレー粉を少し混ぜた塩を用意しておくと、途中で味に変化がついて最後の一品まで飽きずに食べられます。
夏バテ対策のヒント:暑い季節は、天ぷらだけでなく、ナッツなど手軽な食材も上手に取り入れると、食事にメリハリがつきます。


家で揚げるときの衣と油の温度
家で揚げるときは、衣の作り方で仕上がりが大きく変わります。冷たい水で溶き、粉が少し残るくらいで混ぜるのをやめると、軽い衣になります。混ぜるほど粘りが出て、油を吸った重たい衣になりやすいところです。
油の温度は、野菜なら170℃前後、魚介なら180℃前後が目安です。温度計がなければ、衣を一滴落として、いったん沈んですぐ浮き上がってくるくらいが見分け方になります。一度にたくさん入れると温度が下がるので、鍋の表面積の半分までを目安にすると失敗しにくくなります。
揚げ終わったら、網や斜めに立てかけられる皿に置いて油を切ります。平皿に重ねて置くと蒸気がこもり、せっかくの衣が湿ってしまいます。食べる直前に揚げるのが理想ですが、野菜を先に、魚介を後にすると、油の汚れが移らずに最後までおいしく揚がります。
7月23日に重なるほかの記念日
7月23日は、天ぷらの日だけの日付ではありません。同じ大暑を出発点にした記念日もあれば、まったく別の出来事を記録した日もあり、カレンダーの1日には複数の顔が同居しています。7月下旬は食べものの記念日が集中する時期でもあり、日付の決まり方を並べてみると、記念日という仕組みの成り立ちが見えてきます。天ぷらの日を調べていて別の記念日名が出てきたときも、由来をたどれば混同せずに整理できます。記念日は制定する側がそれぞれ独立して決めるものなので、同じ日付に何件重なっても差し支えはありません。
カシスの日も大暑にちなむ7月23日
同じ7月23日には「カシスの日」もあります。一般社団法人日本カシス協会が2006年に制定した記念日で、この日が大暑にあたることが多い点が日付の理由です。カシスは初夏に花をつけ、7月に実が黒く熟すため、旬と暦がちょうど重なります。
大暑を出発点にしている点は、天ぷらの日と共通しています。暑さのピークに合わせて、体力を保つ食べものを取り上げる。その考え方が、別々の団体に同じ日付を選ばせたことになります。旬と暦の重なりを日付にするという決め方は、農産物の記念日で広く見られるものです。


語呂合わせで決まる記念日との違い
食べものの記念日は、数字の読みから日付を決めているものが多数派です。たとえば8月5日の「親子丼の日」は、0・8・5を「お・や・こ」と読ませたものです。数字さえ合えば季節を選ばないので、一年のどこにでも置ける決め方といえます。
天ぷらの日は、この決まり方とは違います。二十四節気という暦の区切りが先にあり、そこへ日付が引き寄せられました。語呂合わせを探しても見つからない代わりに、「一年で最も暑い日だから」という理由がはっきり残っているわけです。
ちなみに7月23日には、1918年に富山で始まった米騒動にちなむ「米騒動の日」もあります。食べものにかかわる日付でも、こちらは歴史上の出来事を記録したものです。同じ一日でも、暦・語呂・出来事という三通りの決まり方が並んでいます。


天ぷらの日についてよくある質問
- 天ぷらの日は年に何回ありますか?
-
毎月23日が天ぷらの日とされているため、月に1回、年に12回あります。その中でも、大暑にあたる7月23日がとくに知られています。
- 天ぷらの日と土用の丑の日は同じものですか?
-
別の記念日です。どちらも暑い夏にしっかり食べて元気を保つという点は共通していますが、土用の丑の日はうなぎ、天ぷらの日は天ぷらと、食べる料理が異なります。
- なぜ23日が天ぷらの日になったのですか?
-
もともと7月23日ごろの「大暑」に由来します。その日付にちなんで、後から毎月23日も天ぷらの日として広まったとされています。
- 毎月23日には、天ぷらの日のほかにも記念日がありますか?
-
毎月23日は「ふみの日」「乳酸菌の日」「不眠の日」などとも重なっています。ふみの日は「ふ(2)み(3)」、不眠の日は「ふ(2)みん(3)」と、いずれも2と3の読みが日付の理由です。7月23日にかぎっては、旧暦の7月を文月と呼ぶことから「文月ふみの日」という呼び名も使われます。
- 「天麩羅」という漢字は誰が当てたのですか?
-
江戸後期の随筆『蜘蛛の糸巻』などに、戯作者の山東京伝が当てた字だという話が記されています。「麩」は小麦粉で作ったもの、「羅」は薄い織物を指し、衣をまとわせて揚げる料理の見た目に重ねた表記です。音に漢字を当てたものなので、字の意味から料理名が生まれたわけではありません。
まとめ|天ぷらの日は暑さを乗り切る昔ながらの知恵



次の23日は、旬の夏野菜で天ぷらを楽しんでみるのもいいですね。
天ぷらの日は、毎年7月23日と毎月23日の2つ。一年で最も暑い「大暑」に由来し、暑さに負けずしっかり食べて元気に過ごそうという願いが込められた記念日です。
- 年に一度の本家は7月23日で、月ごとの23日は後から数字を受け継いだもの
- 大暑は年によって7月22日になるが、天ぷらの日は23日で固定
- 土用の丑の日・焼き肉の日と並ぶ「夏バテ防止の三大記念日」の一つ
- 「天ぷら」の名は南蛮由来。江戸では串に刺して揚げる屋台の味だった
普段何気なく食べている天ぷらも、記念日の背景を知ると、また違った味わいに感じられるかもしれません。次の23日には、ぜひ揚げたての天ぷらを味わってみてください。
7月23日は暦のうえで最も暑さが厳しい日、毎月23日はその名残りです。天ぷらの日は、暑さに合わせて食べ方を変えてきた日本の食卓の記録でもあります。




















