8月の終わりが近づくと、焼肉店の前に「焼肉の日」ののぼりが立っているのを見かけます。夏の疲れがたまってくるころに置かれた記念日ですが、なぜその日付なのか、誰が決めたのかまでは意外と知られていません。
この記事では、焼肉の日の日付と由来、8月末に置かれた理由、毎月29日の「肉の日」や11月29日の「いい肉の日」との違い、そして日本で焼肉が広まるまでの歩みまでをまとめます。当日の楽しみ方も最後に紹介します。
先に結論をお伝えすると、焼肉の日は8月29日です。「や(8)・きに(2)・く(9)」と読める語呂合わせにちなみ、1993年に事業協同組合・全国焼肉協会が制定しました。日付は毎年動きません。
焼肉の日は8月29日|由来は「や・きに・く」の語呂合わせ
焼肉の日は毎年8月29日です。お盆や二十四節気のように年ごとに日付が変わることはなく、いつの年も8月29日と決まっています。
2026年の焼肉の日は8月29日(土曜日)
2026年の8月29日は土曜日にあたります。翌2027年は日曜日と、曜日は年によって移っていきますが、日付そのものは動きません。夏休みの終わりごろと重なる年が多く、家族で食卓を囲みやすいタイミングでもあります。
記念日としての基本情報を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 8月29日(毎年固定) |
| 読み方 | やきにくのひ |
| 由来 | 「や(8)・きに(2)・く(9)」の語呂合わせ |
| 制定 | 事業協同組合 全国焼肉協会(1993年) |
| 趣旨 | 夏の疲れが出る時期に焼肉でスタミナをつけてもらうこと |
| 由来の型 | 数字を読み替える語呂合わせ型 |
「や(8)・きに(2)・く(9)」と読む
8月29日という並びを、月の「8」を「や」、日の「2」を「に」、「9」を「く」と読み替えると「やきにく」になります。数字を音で拾っていく、記念日ではおなじみの決め方です。
おもしろいのは、月と日をまたいで一語を作っている点です。「い(1)い(1)にく(29)」の11月29日のように月日を分けて読むものが多いなか、焼肉の日は8月の「8」から読み始めて29日で言葉が完成します。だから8月29日でなければ成り立ちません。
焼肉の日は8月29日。「や・きに・く」と読める語呂合わせが由来で、1993年に全国焼肉協会が制定した記念日です。
制定したのは全国焼肉協会
焼肉の日を定めたのは、焼肉店が加盟する事業協同組合・全国焼肉協会です。1993年に制定されました。焼肉店の業界団体が、自分たちの業種の記念日として立ち上げた形になります。
農林水産省も食育の話題として8月29日の焼肉の日を取り上げており、業界内だけの記念日にとどまらず、広く知られる日になっています。夏の終わりの食のトピックとして、ニュースや広告で名前を見かける機会も多いはずです。

なぜ8月末なの?「夏バテ防止」という制定の願い
語呂合わせが成り立つ日付は理屈のうえでほかにもありえますが、8月29日が選ばれた背景には、この時期ならではの事情があります。夏の疲れがたまるころにしっかり食べてほしい、という趣旨です。
夏の疲れが出やすい時期に置かれている
8月の末は、暑さのピークを越えつつも、ひと夏ぶんの疲れが体に残っている時期にあたります。冷たい飲み物や麺類が続いて、食事が単調になりがちな時期でもあります。
そこで焼肉を食べてスタミナをつけ、夏バテを防いでほしい——というのが、全国焼肉協会が示している制定の趣旨です。焼肉を食べれば夏バテが治る、という意味ではありません。あくまで「疲れが出る時期に、しっかり食べる日を作ろう」という呼びかけとして受け取るのが正しい読み方でしょう。
季節の節目に食べ物の記念日を置く発想は、日本の暦文化と相性がよいものです。8月29日は二十四節気でいえば処暑(8月23日ごろ)の期間にあたり、暑さが少しずつやわらいでいく境目にあたります。
土用の丑の日・天ぷらの日と並べて語られることも
夏に「精のつくものを食べる日」といえば、まず土用の丑の日(うなぎ)が浮かびます。これに7月23日の天ぷらの日を加え、焼肉の日と合わせて夏バテ防止の記念日として紹介されることがあります。
三つとも、暑さのなかで食欲が落ちる時期に置かれている点が共通しています。土用の丑の日は年によって日付が動きますが、天ぷらの日と焼肉の日は日付が固定です。夏の食の記念日を並べると、7月下旬から8月末までがひとつづきの流れになっているのがわかります。
当日はキャンペーンが集中する
8月29日とその前後は、焼肉チェーンや精肉店、スーパーで割引や限定メニューが集まる日でもあります。全国焼肉協会も、加盟店を巻き込んだ催しを毎年展開しています。
内容は年ごとに変わるので、狙っているお店があるなら公式サイトやSNSで当日の告知を確認するのが確実です。人気店は予約が埋まりやすい日でもあります。
「肉の日」「いい肉の日」との違いを整理する
肉に関する記念日は複数あり、混同されがちです。結論から言えば、日付・制定した団体・対象がそれぞれ違います。まず一覧で見比べてみましょう。
| 記念日 | 日付 | 由来 | 制定 |
|---|---|---|---|
| 焼肉の日 | 8月29日 | や(8)・きに(2)・く(9) | 全国焼肉協会 |
| 肉の日 | 毎月29日 | に(2)・く(9) | 都道府県食肉消費者対策協議会 |
| 肉の日 | 2月9日 | に(2)・く(9) | 公式な制定主体は無く、通称として定着 |
| いい肉の日 | 11月29日 | いい(11)・にく(29) | より良き宮崎牛づくり対策協議会 |
| 焼き鳥の日 | 8月10日 | や(8)・きと(10)・り | 株式会社鮒忠 |
毎月29日の「肉の日」は月に一度めぐってくる
もっとも身近なのが、毎月29日の「肉の日」です。「に(2)・く(9)」の語呂合わせで、都道府県食肉消費者対策協議会が定めています。スーパーの精肉売り場でセールを見かけるのは、たいていこの日です。
年12回あるため特別感は薄いものの、買い物のタイミングとしては覚えておく価値があります。8月29日は、この毎月の「肉の日」と焼肉の日が重なる日でもあります。
2月9日の「肉の日」は年に一度
2月9日も「に(2)・く(9)」と読めることから肉の日とされています。こちらは月日を組み合わせた年に一度の日で、毎月29日より大きく扱われることもあります。
同じ「肉の日」という名前でも、毎月29日を指す場合と2月9日を指す場合があるわけです。話が食い違うときは、どちらのことを言っているのかを確かめるとすっきりします。
11月29日の「いい肉の日」は宮崎県発
11月29日の「いい肉の日」は、「いい(11)にく(29)」と読む語呂合わせです。宮崎県のより良き宮崎牛づくり対策協議会が制定しており、宮崎牛のPRを目的として生まれました。
焼肉の日が「焼肉という食べ方」の記念日なのに対し、いい肉の日は「良質な牛肉そのもの」に光を当てた記念日です。似た語感でも、出発点がまったく違います。
8月10日の「焼き鳥の日」とも別もの
同じ8月には、10日に「焼き鳥の日」もあります。「や(8)・きと(10)・り」と読む語呂合わせで、こちらは鶏肉が主役です。読み方の作り方は焼肉の日とよく似ていますが、制定した団体も由来のエピソードも別です。

日本で焼肉が広まるまでの歩み
いまでは外食の定番となった焼肉ですが、店として広まったのは戦後のことです。家庭にまで浸透するまでには、いくつかの転機がありました。
戦後に生まれた焼肉店
日本の焼肉店の草創期は戦後にさかのぼります。1946年に東京で「明月館」、大阪で「食道園」が開業したことが、業界史でしばしば起点として挙げられます。当時の店の多くは在日コリアンの人々によって開かれ、内臓肉を焼く「ホルモン焼き」から始まりました。
朝鮮半島の食文化と日本の食材事情が出会うなかで形づくられた食べ方だといえます。網や鉄板で自分で焼きながら食べるスタイルは、この時期に根づいていきました。
1968年「焼肉のたれ」で家庭の食卓へ
焼肉を家庭へ広げる後押しとなったのが、市販の焼肉のたれです。1968年にエバラ食品工業が発売した商品が、その代表として知られています。
それまで自分で調味料を合わせる必要があった味付けが、一本のボトルで再現できるようになりました。ホットプレートの普及とも重なり、焼肉は「店で食べるもの」から「家でもできるもの」へと変わっていきます。
1979年「無煙ロースター」で客層が広がった
もうひとつの転機が、店内の煙とにおいの問題を解決した無煙ロースターです。1979年に厨房機器メーカーのシンポが開発したものが知られています。
煙が抑えられたことで、服ににおいがつくのを気にしていた層も足を運びやすくなりました。家族連れや女性客が増え、焼肉店は「一部の人の店」から「みんなで行く店」へと姿を変えます。1990年代に焼肉ブームが起こり、その最中の1993年に焼肉の日が制定された、という流れです。
焼肉の日の楽しみ方|おうち焼肉のコツ
せっかくの記念日なので、家で焼くならひと工夫したいところです。順番とにおい対策を押さえるだけで、仕上がりも後片づけもぐっと楽になります。

焼く順番で味の混ざり方が変わる
脂やたれの少ないものから焼くのが基本です。塩味のタン塩やハラミを先に、たれに漬けたカルビや味の濃いものを後に回すと、網や鉄板が汚れにくく、前の肉の味が次の肉に移りにくくなります。
ホルモンは脂が多く煙が出やすいので、終盤に持ってくると扱いやすくなります。野菜は肉の合間に挟むと、油を吸って焦げつきを防ぐ役割も果たしてくれます。
においと煙を抑えるちょっとした工夫
家で焼くときに気になるのが、部屋に残るにおいです。換気扇を回すだけでなく、キッチンの窓を少し開けて空気の通り道を作ると、煙が抜けやすくなります。
- 換気扇の近くにホットプレートを置き、空気の流れに乗せて煙を逃がす
- 窓を1か所だけ細く開け、換気扇へ向かう風の道を作る
- カーテンや布製品は事前に別の部屋へ移しておく
- 焼く前に上着や制服をリビングから出しておく
- 食後すぐにプレートの脂をふき取り、しばらく換気を続ける
プレートに残った脂は冷えると固まって落としにくくなります。粗熱が取れたところでふき取っておくと、片づけの手間が半分ほどに感じられるはずです。
お店で楽しむなら告知の確認を
外食で楽しむ場合は、8月29日は混み合う日だと考えておくのが無難です。割引や限定メニューを打ち出す店が多く、夕方以降は席が埋まりやすくなります。
8月29日はほかにもある記念日
8月29日には、焼肉の日以外にもいくつかの記念日が重なっています。由来を並べてみると、食べ物とはまったく違う分野の日が並んでいて面白いところです。
- 文化財保護法施行記念日:1950年8月29日に文化財保護法が施行されたことにちなむ日です。前年の法隆寺金堂の火災が、法律が生まれるきっかけになったとされています。
- ケーブルカーの日:1918年8月29日、奈良県の生駒山に日本初のケーブルカーが開業したことにちなみます。
- ベルばらの日:1974年8月29日、宝塚歌劇団が『ベルサイユのばら』を初演した日です。
語呂合わせから生まれた焼肉の日と、実際のできごとにちなむ記念日が同じ日に同居しています。記念日の作られ方には大きく二つの型があることが、この日を見るとよくわかります。
8月にはほかにも、日付ごとにさまざまな行事や記念日が並んでいます。月全体の流れは次の記事にまとめています。

8月下旬に集まっている食べ物の記念日としては、27日のジェラートの日もあります。夏の終わりの食卓を彩る日が、この時期には続きます。

よくある質問
- 焼肉の日は何月何日ですか?
-
8月29日です。毎年同じ日付で、年によって動くことはありません。「や(8)・きに(2)・く(9)」と読める語呂合わせが由来です。
- 焼肉の日は誰が制定したのですか?
-
焼肉店が加盟する事業協同組合・全国焼肉協会が、1993年に制定しました。夏の疲れが出る時期に焼肉を食べてスタミナをつけてほしい、というのが趣旨とされています。
- 毎月29日の「肉の日」とは違うのですか?
-
別の記念日です。毎月29日の「肉の日」は都道府県食肉消費者対策協議会が定めたもので、肉全般が対象です。焼肉の日は全国焼肉協会が定めた8月29日だけの記念日で、焼肉という食べ方に焦点があります。なお8月29日は、両方が重なる日にあたります。
- 「いい肉の日」との違いは何ですか?
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いい肉の日は11月29日で、「いい(11)にく(29)」の語呂合わせから宮崎県のより良き宮崎牛づくり対策協議会が制定しました。宮崎牛のPRが出発点であり、焼肉の日とは日付も制定団体も目的も異なります。
- なぜ8月末に置かれているのですか?
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夏の疲れがたまる時期にしっかり食べてほしい、という願いが込められているためです。8月の終わりは暑さのピークを越えつつも体に疲れが残りやすく、食事が単調になりがちな時期にあたります。
- 8月10日の「焼き鳥の日」と関係はありますか?
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直接の関係はありません。どちらも語呂合わせから生まれた8月の記念日ですが、制定した団体も由来のいきさつも別々です。焼き鳥の日は「や(8)・きと(10)・り」と読む語呂合わせによるものです。
- 8月29日はほかに何の日ですか?
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文化財保護法施行記念日、ケーブルカーの日、ベルばらの日などがあります。いずれも実際のできごとが起きた日にちなむ記念日で、語呂合わせ型の焼肉の日とは成り立ちが異なります。
まとめ
焼肉の日は8月29日。「や(8)・きに(2)・く(9)」と読める語呂合わせにちなみ、1993年に事業協同組合・全国焼肉協会が制定した記念日です。月と日をまたいで一語を作っているため、この日付でなければ成立しません。
8月末に置かれたのは、夏の疲れが出やすい時期にしっかり食べてほしいという趣旨からです。毎月29日の「肉の日」や11月29日の「いい肉の日」とは、制定団体も対象も異なります。名前が似ていても中身は別ものだと押さえておくと、混同せずにすみます。
8月29日は焼肉の日。夏の終わりの一日を、家でも店でも、いつもよりゆっくり食卓を囲む口実にしてみてはいかがでしょうか。
