カレンダーやニュースで「即席ラーメン記念日」という言葉を見かけて、何の日だったかなと気になった方も多いのではないでしょうか。棚に一袋は置いてあるインスタントラーメンですが、それがいつ生まれたのかまでは意外と知られていません。
この記事では、即席ラーメン記念日の日付と由来、記念日のもとになったチキンラーメン誕生のいきさつ、9月18日「カップヌードルの日」や7月11日「ラーメンの日」との違いまでをまとめます。当日の楽しみ方や、8月25日に重なるほかの記念日も整理しました。
先に結論をお伝えすると、即席ラーメン記念日は8月25日です。1958年(昭和33年)のこの日に、日清食品が世界初の即席麺「チキンラーメン」を発売したことにちなみます。語呂合わせではなく、実際のできごとが日付になった記念日です。
即席ラーメン記念日は8月25日|毎年同じ日付
即席ラーメン記念日は毎年8月25日です。二十四節気やお盆のように年によって日付が動くことはなく、いつの年も8月25日に固定されています。
日付が動かないのは、由来がはっきりしたできごとの日だからです。1958年8月25日、日清食品が「チキンラーメン」を売り出しました。世界で初めての即席麺とされる商品で、その発売日がそのまま記念日になっています。
記念日としての基本情報をまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 8月25日(毎年固定) |
| 由来 | 1958年8月25日に「チキンラーメン」が発売されたこと |
| 制定 | 日清食品株式会社 |
| 別の呼び方 | チキンラーメン誕生の日 |
| 由来の型 | 語呂合わせではなく、実際のできごとにちなむ |
即席ラーメン記念日は8月25日。1958年(昭和33年)に世界初の即席麺「チキンラーメン」が発売された日にちなむ記念日です。
制定したのは日清食品
即席ラーメン記念日を制定したのは、チキンラーメンを開発・発売した日清食品株式会社です。自社商品の発売日を、商品名ではなく「即席ラーメン」というカテゴリー全体の記念日として設けているところが、この日の特徴といえます。
食べ物の記念日には、「い(1)い(1)にく(29)」のように数字を読み替えた語呂合わせ型が多くあります。それに対して即席ラーメン記念日は、発売という一度きりのできごとを日付にした型です。同じ食べ物の記念日でも、由来のたどり方がまったく違います。
そのため「なぜ8月なのか」「なぜ25日なのか」に、数字の意味を探しても答えは見つかりません。1958年8月25日という一日そのものが理由、と考えるとすっきりします。
「チキンラーメン誕生の日」と同じ日
8月25日は「チキンラーメン誕生の日」と紹介されることもあります。名前は違いますが、どちらも1958年8月25日の発売を指しているので、別々の記念日が2つあるわけではありません。
呼び名が2通りあるのは、視点の違いによるものです。「チキンラーメン誕生の日」は一つの商品が生まれた日として、「即席ラーメン記念日」は即席麺という食べ物そのものが世に出た日として、同じ日付を言い表しています。
8月25日になった由来|1958年に世界を変えた一袋
記念日のもとになったチキンラーメンは、日清食品の創業者・安藤百福(あんどう ももふく)が開発しました。会社の大きな研究所ではなく、自宅の裏庭に建てた小屋での作業から生まれた商品です。
ここでは、発売にいたるまでの流れを3つの場面に分けて追いかけます。着想のきっかけ、開発の日々、そして技術上の突破口の順です。
きっかけは戦後の屋台に並ぶ行列
着想のきっかけとして語られているのが、戦後まもない大阪の街で見た光景です。寒空の下、屋台のラーメンを求めて長い行列ができていた。その様子から、日本人がどれだけ麺を求めているかを実感したと伝えられています。
食糧が足りない時代です。行列の一杯は、単なる好みの問題ではなく、温かいものを腹に入れたいという切実さと結びついていました。手軽に、いつでも家で食べられる麺があれば――という発想が、そこから育っていきます。
安藤百福が開発にあたって自分に課した条件は、よく5つにまとめられます。順に見ると、当時としてどれほど難しい注文だったかが分かります。
- おいしくて、飽きがこないこと
- 家庭の常備食として保存がきくこと
- 手間をかけずに調理できること
- 手ごろな値段で買えること
- 衛生的で安全であること
この5つは、どれか一つを立てると別のどれかが崩れる関係にあります。保存性を上げようとすれば味が落ち、味を追えば手間と値段がふくらむ。その全部を同時に満たす方法を探すところから、開発は始まりました。

自宅裏庭の小屋で1年間ひとりで研究
開発の舞台になったのは、大阪府池田市にあった安藤百福の自宅です。その裏庭に、10平方メートルほどの小さな研究小屋を建てました。畳にすれば6畳ほど、家庭の一室ほどの広さです。
この小屋にこもり、およそ1年をほぼひとりで研究に費やしたと伝えられています。中華麺をゆでて干し、味をしみ込ませ、湯で戻す。試しては失敗し、また粉に戻る作業のくり返しでした。
難所は「味をつけた麺を、乾かして、湯で元どおりに戻す」という工程にありました。麺に味をしみ込ませると乾きにくくなり、無理に乾かせば湯を注いでも戻らない。この堂々巡りを抜ける方法が、なかなか見つかりません。
天ぷらがヒントになった「瞬間油熱乾燥法」
行き詰まりを抜ける糸口になったのが、台所の光景だったと語られています。妻が天ぷらを揚げるのを見ていて、衣の水分が抜けて細かい穴が空くことに気づいた、という有名なエピソードです。
味をつけた麺を高温の油に通せば、水分が一気に飛んで乾く。同時に、水分が抜けた跡が無数の小さな穴になり、そこへ湯が入り込んで麺が戻る。この考え方が「瞬間油熱乾燥法」と呼ばれる技術になりました。
乾燥と復元という相反する要求が、一つの工程で同時に満たされたことになります。5つの条件のうち「保存がきく」「手間がかからない」の2つを、この技術がまとめて解決しました。
そして1958年8月25日、チキンラーメンが発売されます。屋台の行列を見てから10年あまり、小屋にこもってからおよそ1年後のことでした。
発売当時のチキンラーメンはどんな商品だった?
今のチキンラーメンは、スーパーの棚に当たり前に並ぶ定番商品です。しかし1958年の発売当時は、見たことのない食べ物でした。ここでは値段・呼ばれ方・「世界初」の扱いの3点から、当時の姿を確かめます。
うどん1玉6円の時代に35円という価格
発売当時のチキンラーメンは、85グラム入りで35円でした。当時のうどん1玉が6円ほどだったと伝えられているので、麺の値段としてはおよそ6倍にあたります。
| 項目 | 発売当時(1958年) |
|---|---|
| 商品名 | チキンラーメン |
| 内容量 | 85グラム |
| 価格 | 35円 |
| 比較 | うどん1玉が6円ほどの時代 |
| 調理法 | どんぶりに入れて湯を注ぐだけ |
数字だけを見れば、決して安い買い物ではありません。それでも売れたのは、値段に見合う手軽さがあったからです。鍋も、だしも、具の下ごしらえもいらず、湯さえあれば一杯になる。その価値が価格差を上回りました。
ちなみに、当時の袋には今のような粉末スープは入っていません。麺そのものに味がついていて、湯を注げばスープになる仕組みでした。「味付き麺」という発想が、そのまま調理の手軽さにつながっています。
「魔法のラーメン」と呼ばれた理由
発売当初、チキンラーメンは「魔法のラーメン」と呼ばれました。乾いた麺に湯を注ぐと、数分でラーメンになる。その様子が、当時の人たちには手品のように映ったためです。
今の感覚では想像しにくいかもしれませんが、それまで麺は「ゆでるもの」でした。乾麺を戻すにも鍋と火が要ります。火を使わず、湯を注ぐだけで麺が戻るという体験が、まったく新しいものだったわけです。
この驚きは日本にとどまりませんでした。世界ラーメン協会(WINA)の発表によると、2025年の即席麺の世界総需要は1242億1000万食で、2年続けて過去最高を更新しています。日本国内は59億5000万食でした。
1人あたりの年間消費食数(2024年実績)で見ると、上位はベトナム80.7食、韓国79.2食、タイ58.1食と続き、日本は47.6食で7位です。発祥の地が消費量では上位を譲っているところに、この食べ物の広がり方があらわれています。
「世界初」をめぐっては別の説もある
チキンラーメンは「世界初の即席麺」として紹介されるのが一般的です。ただし、これより前にも湯で戻して食べる中華麺が売られていたという指摘があり、「世界初」の線引きには議論があります。
1950年代半ばには、味をつけて乾かした中華麺が各地で作られていたとする説があります。何をもって「即席麺」と呼ぶか――味付きであることか、油で揚げてあることか、袋詰めで広く流通したことか――で、答えが変わってくるわけです。
その上で、チキンラーメンが節目として扱われる理由ははっきりしています。瞬間油熱乾燥法という技術で長期保存と復元を両立させ、全国規模の商品として即席麺という市場そのものを立ち上げた点です。記念日も、この日を起点として設けられています。
先行するものがなかったかどうかと、食べ物の歴史がどこで変わったかは、別の話として読むのがよさそうです。
即席ラーメンにまつわる他の記念日
ラーメンや即席麺に関する記念日は、8月25日のほかにもいくつかあります。由来の型が違うので、並べて見ると覚えやすくなります。
| 記念日 | 日付 | 由来 |
|---|---|---|
| 即席ラーメン記念日 | 8月25日 | 1958年のチキンラーメン発売 |
| カップヌードルの日 | 9月18日 | 1971年のカップヌードル発売 |
| ラーメンの日 | 7月11日 | レンゲと箸に見立てた数字の形など |
9月18日「カップヌードルの日」
9月18日は「カップヌードルの日」です。1971年(昭和46年)のこの日に、日清食品が世界初のカップ麺「カップヌードル」を発売したことにちなみます。即席ラーメン記念日と同じく、発売日がそのまま記念日になった型です。
チキンラーメンから13年後の商品です。袋麺はどんぶりと湯が要りますが、カップ麺は容器そのものが器になります。フォークがあれば、机の上でも屋外でも食べられる形になりました。
8月25日が「即席麺が生まれた日」なら、9月18日は「即席麺が持ち歩けるようになった日」です。2つ合わせて覚えると、この食べ物がどう広がったかの流れが見えてきます。
7月11日「ラーメンの日」との違い
ラーメン全般を対象にした記念日としては、7月11日の「ラーメンの日」があります。こちらは即席麺に限らず、店で食べる一杯も含めたラーメン文化そのものを対象にした日です。
由来の型も異なります。7月11日は「7」をレンゲ、「11」を箸に見立てた数字の形など、見立てと語呂によって選ばれた日付です。実際のできごとから決まった8月25日とは、成り立ちが対照的といえます。
7月11日は見立てから生まれた日、8月25日はできごとから生まれた日。同じラーメンの記念日でも、日付の決まり方が逆向きです。

麺という切り口では、同じ8月にもう一つ記念日があります。米を原料にした麺の日で、小麦の麺とは原料からたどる歴史が違います。

8月25日はほかにもこんな記念日がある
8月25日には、即席ラーメン記念日のほかにもいくつかの記念日が重なっています。由来のたどり方がそれぞれ違うのがおもしろいところです。
| 記念日 | 由来 |
|---|---|
| 東京国際空港開港記念日 | 1931年8月25日に羽田の東京飛行場が開港したこと |
| 川柳発祥の日 | 1757年8月25日に柄井川柳が最初の万句合を興行したこと |
| サマークリスマス | ラジオ番組から生まれた、夏に楽しむクリスマスの日 |
| パラスポーツの日 | 障がいのある人のスポーツへの理解を広げる日 |
空港の開港と川柳の興行は、どちらも実際のできごとが日付になった型で、即席ラーメン記念日と同じ成り立ちです。一日のなかに、200年以上へだてた出来事が同居していることになります。
前日の8月24日は「愛酒の日」です。こちらは歌人・若山牧水の誕生日が由来で、人物にちなんで日付が決まった型にあたります。8月下旬は、成り立ちの違う記念日が日ごとに続く時期です。

8月にはこのほかにも食べ物や暮らしにまつわる記念日が並びます。月ごとの行事とあわせて眺めると、夏の後半の過ごし方が整理しやすくなります。

即席ラーメン記念日の楽しみ方
特別な行事があるわけではない記念日なので、過ごし方は自由です。とはいえ、せっかくの日にちなんだ楽しみ方はいくつかあります。食べる・見に行く・備えを見直すの3方向で紹介します。
いつもの一袋をひと工夫して食べる
いちばん手軽なのは、家にある一袋をいつもと違う食べ方にしてみることです。手を加える幅が広いのが即席麺の持ち味で、少し足すだけで印象が変わります。
定番の工夫としては、次のようなものがあります。
- 卵を落とす。半熟にすると麺にからみ、まろやかになる
- もやしやキャベツ、ねぎを加えて、かさと歯ざわりを足す
- ごま油やラー油を数滴たらして、香りを立てる
- 湯の量を減らして混ぜそば風にする
- 残ったスープにごはんを入れて締めにする
野菜を足すときは、火の通りにくいものを先に鍋へ入れておくと、麺と同時にちょうどよく仕上がります。袋の表示どおりの時間を基準にして、そこから逆算するのが失敗しにくい方法です。
湯を注ぐだけで一杯になるという当時の驚きを味わい直したいなら、あえて何も足さずに食べてみるのも一案です。1958年の人たちが体験したのは、この最小限の形でした。

発明の現場を記念館で見る
もう一歩踏み込むなら、開発の舞台を訪ねる方法があります。大阪府池田市の「カップヌードルミュージアム 大阪池田(安藤百福発明記念館 大阪池田)」には、チキンラーメンが生まれた研究小屋が復元展示されています。
小屋の実物大を前にすると、10平方メートルという広さが数字以上に実感できます。特別な設備が並んでいるわけではない場所から、世界中に広がる食べ物が出てきたことになります。
館内には、小麦粉をこねるところから即席麺づくりを体験できるプログラムもあります。夏休みの終わりごろの時期にあたるため、開館日や体験の予約状況は事前に公式サイトで確認しておくと安心です。
ローリングストックを見直す日にする
即席麺は保存がきく食品なので、非常用の備えとして家に置いている方も多いはずです。8月25日を、その中身を点検する日にあてる使い方もあります。
備蓄食品の管理でよく紹介されるのが「ローリングストック」という考え方です。手順は次の3つに整理できます。
- ふだん食べるものを少し多めに買っておく
- 賞味期限の近いものから日常の食事で消費する
- 減った分を買い足して、常に一定量を保つ
特別な非常食を用意しなくても、いつも食べているものを回していけば備えになります。食べ慣れた味であることは、いざというときの安心にもつながります。
9月1日の防災の日が近いこともあり、8月末は点検の時期として区切りがよいタイミングです。棚の奥の期限を見て、切れそうなものを記念日の一杯にする。そんな過ごし方もできます。
なお、湯が使えない状況では水でも戻せる商品がありますが、戻し時間は湯の場合より長くかかります。パッケージの表示を確認しておくと、いざというときに迷いません。
お湯を注ぐだけで一杯になる食品は、ラーメンだけではありません。同じ「インスタント」の系譜には、8月11日の記念日を持つ飲みものもあります。

よくある質問
- 即席ラーメン記念日は何月何日ですか?
-
8月25日です。1958年(昭和33年)8月25日に日清食品が「チキンラーメン」を発売したことにちなみ、同社が制定しました。毎年同じ日付で、年によって動くことはありません。
- 「チキンラーメン誕生の日」とは別の記念日ですか?
-
同じ日を指す別の呼び名です。どちらも1958年8月25日の発売にちなむもので、記念日が2つあるわけではありません。商品に注目した呼び方か、即席麺というカテゴリーに注目した呼び方かの違いです。
- 発売当時のチキンラーメンはいくらでしたか?
-
85グラム入りで35円でした。当時のうどん1玉が6円ほどだったと伝えられており、麺としては高価な部類でしたが、湯を注ぐだけで食べられる手軽さが支持されて広まりました。
- チキンラーメンはどこで開発されたのですか?
-
大阪府池田市にあった安藤百福の自宅の裏庭です。10平方メートルほどの研究小屋を建て、およそ1年をほぼひとりで研究に費やしたと伝えられています。小屋は現在、カップヌードルミュージアム 大阪池田に復元展示されています。
- 7月11日の「ラーメンの日」とはどう違うのですか?
-
対象と由来の型が違います。7月11日はラーメン文化全般を対象にした記念日で、「7」をレンゲ、「11」を箸に見立てた数字の形などが由来です。8月25日は即席麺が対象で、発売という実際のできごとが日付になっています。
- 8月25日はほかに何の日ですか?
-
東京国際空港開港記念日、川柳発祥の日、サマークリスマス、パラスポーツの日などがあります。東京国際空港開港記念日は1931年に羽田の東京飛行場が開港したこと、川柳発祥の日は1757年に柄井川柳が最初の万句合を興行したことが由来です。
まとめ
即席ラーメン記念日は8月25日です。1958年(昭和33年)のこの日に日清食品が「チキンラーメン」を発売したことにちなみ、同社が制定しました。語呂合わせではなく、実際のできごとが日付になった記念日です。
商品を生んだのは、創業者の安藤百福です。大阪府池田市の自宅裏庭に建てた10平方メートルほどの小屋で、およそ1年をひとりで研究に費やしました。天ぷらを揚げる様子から着想した瞬間油熱乾燥法によって、保存と復元という相反する条件が同時に満たされます。
85グラム35円という、うどん1玉6円の時代には高価な商品でしたが、湯を注ぐだけで一杯になる手軽さから「魔法のラーメン」と呼ばれて広まりました。世界ラーメン協会によれば、2025年の即席麺の世界総需要は1242億1000万食にのぼります。
9月18日の「カップヌードルの日」は1971年のカップヌードル発売にちなむ日、7月11日の「ラーメンの日」は見立てと語呂から決まった日です。由来の型で並べると、それぞれの位置づけが整理できます。
8月25日は、湯を注ぐだけの一杯が世に出た日。棚の一袋をいつもと違う食べ方にしたり、備蓄の期限を見直したりと、身近なところから記念日にちなめる一日です。
