7月25日は「最高気温記念日」です。夏の暑さがいよいよ本番を迎えるこの時期に、なんともタイムリーな記念日ですね。
由来になっているのは、1933年7月25日に山形市で観測された40.8℃という記録です。この数字は、実に74年ものあいだ日本一の座を守り続けました。
ただ、記事によっては「日本記録は40.9℃」「41.1℃」と書かれていることがあります。どれが正しいのでしょうか。じつは記録はその後も何度か塗り替えられていて、現在の日本記録はさらに上を行きます。
この記事では、最高気温記念日の由来から、記録がどう更新されてきたか、よく混同される「日本最高気温の日」との違いまで、まとめて整理します。
最高気温記念日とは?7月25日に決まった由来
最高気温記念日は、1933年7月25日に山形県山形市で日本の最高気温記録が生まれたことにちなんだ記念日です。日付そのものが、その観測日に由来しています。
1933年7月25日は火曜日でした。この日の山形の15時の観測値は40.6℃で、その日の最高気温として記録されたのは、これをさらに0.2℃上回る40.8℃です。記念日の名前の「最高気温」は、気象の用語では一日のうちでもっとも高くなった気温(日最高気温)を指します。
1933年7月25日、山形市で40.8℃を観測した
この日、山形地方気象台が記録した最高気温は40.8℃でした。昭和8年のことです。
ただ、1933年の時点ではまだ「山形地方気象台」という名前ではありませんでした。当時の観測を担っていたのは県が運営する測候所で、国の機関に移されたのは1939年のことです。観測場所は1910年から現在地のままなので、40.8℃はいまの気象台と同じ場所で測られた値ということになります。
当時としては桁外れの数字でした。日本で40℃を超えた例は、1927年に愛媛県宇和島で観測された40.2℃が先にあります。40.8℃はそれを上回り、日本の最高記録となりました。
山形は東北地方にあり、どちらかといえば涼しいイメージを持つ方も多いかもしれません。その山形が日本一暑い場所として記録に残ったことに、意外さを感じる方も多いようです。
なぜ山形でそこまで気温が上がったのか
原因はフェーン現象です。山を越えた空気が、乾いた高温の風になって吹き下りる現象をいいます。
この日は日本海に台風があり、日本列島には南寄りの強い風が吹き込んでいました。その風が新潟県側から飯豊山地を越え、山形盆地へと下りてきたのです。
山を越える前と後で、空気の状態は大きく変わります。当日15時の観測値を比べると、その差は歴然でした。
山越えで空気はこう変わった
- 風上の新潟:気温33.0℃/湿度55%
- 風下の山形:気温40.6℃/湿度26%
同じ空気が山を越えただけで、気温が7℃以上も上がり、湿度は半分以下に下がっています。フェーン現象の威力がよくわかる記録といえるでしょう。
盆地という地形も重なりました。山形盆地は熱がこもりやすく、風の通り抜けも起こりにくい地形です。条件がいくつも噛み合って、記録的な高温が生まれました。

40.8℃の記録は74年間破られなかった
山形の40.8℃は、2007年まで日本記録として残り続けました。ここまで長く破られなかった記録は、気象の分野でもそう多くありません。
1933年と2007年のあいだに、気温を測るしくみは大きく変わりました。気象庁の地域気象観測システム(アメダス)が動き出したのは1974年11月で、いまでは全国約840か所で気温が自動で観測されています。1933年の時点では、こうした自動観測の網はまだありませんでした。
2007年に熊谷市・多治見市が40.9℃で更新
記録が動いたのは2007年8月16日でした。埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市が、同じ日に40.9℃を観測したのです。
熊谷の値は熊谷地方気象台で、多治見の値はアメダスの観測地点で測られたものです。人が常駐する気象台と自動で観測する地点という、性格の違う2か所が同じ日に同じ40.9℃で並び、記録を分け合う形になりました。
更新幅はわずか0.1℃。それでも74年ぶりの記録更新として、当時は大きく報じられました。
この年をきっかけに、日本の夏の暑さは新しい段階に入っていきます。
現在の日本記録は41.8℃
2007年以降、記録の更新ペースは一気に速まりました。2013年に高知県四万十市が41.0℃、2018年には熊谷市が41.1℃を記録しています。
そして2025年、記録は立て続けに塗り替えられました。7月30日に兵庫県丹波市柏原が41.2℃を観測すると、そのわずか6日後の8月5日、群馬県伊勢崎市が41.8℃を記録したのです。
2026年7月現在、日本の観測史上最高気温は2025年8月5日に群馬県伊勢崎市で記録された41.8℃です。山形の40.8℃から数えると、1℃の上昇に92年かかった計算になります。
74年間動かなかった記録が、近年はほぼ数年おきに更新されています。この変化そのものが、日本の夏の姿を映しているといえるかもしれません。
日本の歴代最高気温ランキング
気象庁の観測記録をもとにした上位の顔ぶれは、次のとおりです。
| 順位 | 気温 | 観測地点 | 観測日 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 41.8℃ | 群馬県 伊勢崎 | 2025年8月5日 |
| 2位 | 41.4℃ | 静岡県 静岡 | 2025年8月6日 |
| 2位 | 41.4℃ | 埼玉県 鳩山 | 2025年8月5日 |
| 4位 | 41.2℃ | 群馬県 桐生 | 2025年8月5日 |
| 4位 | 41.2℃ | 兵庫県 丹波(柏原) | 2025年7月30日 |
| 6位 | 41.1℃ | 埼玉県 熊谷 | 2018年7月23日 |
| 6位 | 41.1℃ | 静岡県 浜松 | 2020年8月17日 |
| 6位 | 41.1℃ | 静岡県 佐久間(浜松市天竜区) | 2026年7月23日 |
| 参考 | 40.8℃ | 山形県 山形 | 1933年7月25日 |
上位のほとんどが2010年代以降の記録です。長く1位だった山形の40.8℃は、今ではランキングの上位から少し離れた位置になりました。
「最高気温記念日」と「日本最高気温の日」の違い
この2つは名前が似ていますが、由来になった出来事が異なります。混同しやすいので整理しておきましょう。
取り違えやすいのは、名前だけではありません。日付も7月23日と7月25日のわずか2日違いで、どちらも夏の盛りに並んでいます。さらに日本最高気温の日は、記念日をまとめたサイトによって挙げる日付がまちまちです。7月23日と8月17日の2日を載せるところもあれば、8月5日を載せるところもあります。8月17日は、2020年に静岡県浜松市で熊谷と並ぶ41.1℃が観測された日です。
7月23日・8月5日にも似た記念日がある
「日本最高気温の日」は、記録が更新されるたびに日付が語られてきた記念日です。
もともとは2007年8月16日の40.9℃にちなむ形で扱われ、2013年に高知県四万十市が41.0℃を記録すると8月12日が、2018年に熊谷市が41.1℃を記録すると7月23日が、それぞれ「日本最高気温の日」として紹介されるようになりました。
つまり記録が塗り替わるたびに、語られる日付も移り変わってきたわけです。一方の最高気温記念日は、7月25日で固定されています。
記念日が複数ある理由を整理
それぞれの位置づけを表にまとめました。
| 記念日 | 日付 | 由来 |
|---|---|---|
| 最高気温記念日 | 7月25日 | 1933年に山形市で40.8℃(当時の日本記録) |
| 日本最高気温の日 | 7月23日ほか | その時点の日本記録が生まれた日。更新のたびに変わる |
最高気温記念日は「歴史上の出来事を記念する日」、日本最高気温の日は「そのときの最新記録を指す日」と考えると、区別しやすくなります。
山形の記録はすでに日本一ではありません。それでも7月25日が記念日として残っているのは、40.8℃が74年という長さで君臨した象徴的な記録だからです。
猛暑日・真夏日・酷暑日の違いをおさらい
気温の話題でよく出てくる言葉ですが、気象庁が予報用語として定めた時期はそれぞれ異なります。
気象庁は、天気予報や気象情報で使う言葉を「予報用語」としてまとめ、一語ずつ意味と使い方を示しています。夏日や猛暑日のように、日最高気温が何℃以上かで線を引く言葉も、この予報用語のなかで定められています。予報用語は一度決めたら動かないものではなく、必要に応じて新しい言葉が加わり、使い方も見直されてきました。
気象庁が定める正式な区分
気象庁が定義しているのは、次の区分です。
| 呼び方 | 基準 |
|---|---|
| 夏日 | 日最高気温が25℃以上 |
| 真夏日 | 日最高気温が30℃以上 |
| 猛暑日 | 日最高気温が35℃以上 |
| 酷暑日 | 日最高気温が40℃以上 |
| 熱帯夜 | 夜間の最低気温が25℃以上 |
熱帯夜の「夜間」が何時から何時までかははっきり決められていないため、気象台が公開する統計の表では、一日の最低気温が25℃以上の日を熱帯夜として数え、本来の定義とは異なると注記している例があります。
「猛暑日」は2007年に正式な予報用語として追加されました。ちょうど熊谷市と多治見市が記録を更新した年です。
「酷暑日」はいつから使われるようになったか
「酷暑日」は、日最高気温が40℃以上の日を指す言葉です。気象庁は2026年4月17日に、この名称を予報用語として使うと発表しました。
それ以前は、日本気象協会が2022年から40℃以上の日の呼び名として使っていた言葉です。気象庁はアンケートで広く意見を集め、もっとも多くの支持を得た「酷暑日」を名称に選びました。
7月25日はほかにも記念日がある
7月25日は、最高気温記念日のほかにもいくつかの記念日が重なっています。どれも夏らしい顔ぶれです。
暑さの記念日と並んで語られることが多いのが「かき氷の日」。その由来には、じつは山形の40.8℃が関わっています。

さらに、同じ7月25日には「知覚過敏の日」もあります。冷たいものがしみる季節ならではの記念日です。

かき氷の日と知覚過敏の日は、どちらも決めた団体がはっきりしている記念日です。かき氷の日は日本かき氷協会が、知覚過敏の日は知覚過敏向けの歯みがき剤を扱うメーカーが制定しました。気象の記録から広まり、特定の制定団体を持たない最高気温記念日とは、日付が重なっていても成り立ちが異なります。
暦の上では、7月25日は二十四節気の「大暑」の期間にあたります。一年でもっとも暑さが厳しいとされる時期です。

記録にちなんで生まれた記念日という点では、8月30日の「冒険家の日」も同じ成り立ちです。山・海・川で打ち立てられた三つの記録が、偶然この日付に重なっています。

気象の記録から生まれた記念日は、夏だけのものではありません。9月26日の「台風襲来の日」は、1950年代に大型台風が3度も同じ日に日本を襲ったことにちなむ日です。

最高気温記念日によくある質問
- 最高気温記念日は誰が制定したの?
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特定の制定団体はありません。1933年7月25日に山形市で40.8℃が観測されたという気象史の出来事にちなみ、「今日は何の日」として広まった記念日です。
- 山形の40.8℃は今も残っている記録ですか?
-
日本一の記録ではなくなりましたが、観測記録そのものは残っています。現在の歴代ランキングでは、2007年以降の記録が上位を占め、40.8℃は上位10位に入っていません。
- 日本で一番暑い街はどこですか?
-
歴代最高気温という点では、2025年8月5日に41.8℃を記録した群馬県伊勢崎市です。ただし「暑い街」の指標は年ごとの平均気温や猛暑日の日数など複数あり、埼玉県熊谷市や岐阜県多治見市もたびたび候補に挙がります。
- 世界の最高気温は何℃ですか?
-
世界気象機関が公式記録として認めているのは、1913年にアメリカ・カリフォルニア州のデスバレーで観測された56.7℃です。日本の記録とは15℃近い開きがあります。
- 7月25日と8月では、どちらが暑いのですか?
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統計的には8月上旬から中旬に最高気温が出やすい傾向があります。実際、歴代ランキングの上位も8月の記録が多くを占めています。
まとめ
最高気温記念日は7月25日。1933年に山形市で観測された40.8℃という記録が由来です。
この記録は74年ものあいだ日本一であり続けました。その後2007年に熊谷市・多治見市が塗り替え、2025年には群馬県伊勢崎市の41.8℃が新たな日本記録となっています。
名前の似た「日本最高気温の日」は、記録の更新に合わせて日付が移り変わってきた記念日です。7月25日で固定されている最高気温記念日とは、由来が異なります。
数字の移り変わりを追うと、日本の夏がどう変わってきたかが見えてきます。7月25日は、暑さとの付き合い方を考え直すきっかけの日にしてみてはいかがでしょう。
