暑さがやわらぐ8月の終わりに、カレンダーで「ジェラートの日」という記念日を見かけて、何の日だろうと気になった方も多いのではないでしょうか。イタリア生まれの冷たいお菓子として親しまれていますが、その記念日がなぜ夏の終わりに置かれているのかまでは、あまり知られていません。
この記事では、ジェラートの日の日付と由来、アイスクリームとの具体的な違い、ジェラートがイタリアで根づくまでの歴史、そして当日の楽しみ方までをまとめます。3月にある「ヨーロッパのジェラートの日」との関係も整理しました。
先に結論をお伝えすると、ジェラートの日は8月27日です。1953年のこの日に映画『ローマの休日』がアメリカで公開されたことにちなみ、2014年に日本ジェラート協会が制定しました。語呂合わせではなく、一本の映画が日付の理由になっている記念日です。
ジェラートの日は8月27日|毎年同じ日付
ジェラートの日は毎年8月27日です。お盆や二十四節気のように年によって日付が動くことはなく、いつの年も8月27日に固定されています。
日付が動かないのは、由来がはっきりしたできごとの日だからです。1953年8月27日、アメリカで映画『ローマの休日』が公開されました。作中でジェラートが印象的に描かれたことから、その公開日がそのまま記念日になっています。
記念日としての基本情報をまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 8月27日(毎年固定) |
| 読み方 | じぇらーとのひ |
| 由来 | 1953年8月27日に映画『ローマの休日』がアメリカで公開されたこと |
| 制定 | 日本ジェラート協会(2014年) |
| 認定 | 日本記念日協会 |
| 由来の型 | 語呂合わせではなく、実際のできごとにちなむ |
ジェラートの日は8月27日。1953年のこの日にアメリカで公開された映画『ローマの休日』にちなみ、2014年に日本ジェラート協会が定めた記念日です。
食べ物の記念日は「い(1)い(1)にく(29)」のように数字を読み替えた語呂合わせ型が多いのですが、ジェラートの日はそこに当てはまりません。8にも27にも数字の意味を探す必要はなく、1953年8月27日という一日そのものが理由になっています。
なぜ8月27日?『ローマの休日』が公開された日
『ローマの休日』は、王女アンと新聞記者ジョーがローマの街をめぐる一日を描いた作品です。オードリー・ヘプバーンの出世作として知られ、公開から70年以上を経た今も名前を挙げられ続けています。
1953年8月27日、アメリカで初公開
『ローマの休日』が最初に公開されたのは、1953年8月27日のアメリカでした。日本での公開はその翌年にあたる1954年です。つまりジェラートの日が示しているのは、日本の観客が初めてこの映画に出会った日ではなく、作品が世界に出た最初の日ということになります。
日本の団体が定めた記念日でありながら、日付の根拠がアメリカでの公開日に置かれている点は、少し意外に感じられるかもしれません。作品が生まれた瞬間そのものを記念日にした、と考えると筋が通ります。
スペイン階段で描かれた「あの場面」
この映画には、王女アンがローマのスペイン階段に腰かけて冷たいお菓子を口に運ぶ場面があります。短いシーンですが、映画の代表的な一場面として語り継がれ、ジェラートという食べ物をあわせて世界に印象づけました。
ローマ観光の定番であるスペイン階段と、街角のジェラート。この組み合わせが「イタリアといえば」というイメージを広く定着させた、という見方は今も語られています。記念日が映画の公開日に置かれているのも、この場面の影響を抜きにしては説明できません。
なお現在のスペイン階段では、階段に座って飲食する行為が条例で規制されています。映画のとおりに真似することはできないので、現地を訪れる際は注意が必要です。

制定したのは日本ジェラート協会
ジェラートの日を制定したのは、日本ジェラート協会です。2014年に定められ、日本記念日協会に認定されています。ジェラートのおいしさと魅力をより多くの人に知ってもらうことが、記念日を設けた趣旨とされています。
特定の商品ではなく「ジェラート」というカテゴリー全体の記念日になっているところが特徴です。同じように、業界団体や企業が自社商品の発売日をカテゴリー全体の記念日として設けた例は、ほかの食べ物の記念日にも見られます。
できごとの日付をそのまま記念日にする型は、由来をたどりやすいという利点があります。同じ8月下旬には、発売日が記念日になった食べ物の日もあります。

ジェラートとアイスクリームは何が違う?
ジェラートの日を知ると、あらためて気になるのが「アイスクリームと何が違うのか」という点です。どちらも凍らせた乳製品のお菓子ですが、乳脂肪分・空気の量・食べごろの温度という三つの軸で、はっきりした傾向の違いがあります。
乳脂肪分は控えめなレシピが多い
日本で「アイスクリーム」と表示するには、乳脂肪分が8%以上必要です。これに対してジェラートは、4〜7%程度に抑えたレシピが一般的とされています。脂肪分が少ないぶん口の中に膜が残りにくく、後味が軽く感じられます。
果物や野菜、ナッツなど素材の味がまっすぐ出やすいのも、脂肪分が控えめであることと関係しています。ジェラート店に色とりどりのフレーバーが並ぶのは、素材の風味が乳脂肪に隠れにくいからです。
ただし、脂肪分が低いことは「太りにくい」を意味しません。砂糖の量や一皿の分量は商品ごとに違うため、カロリーの多い少ないは表示を見て判断してください。
混ぜ込む空気の量(オーバーラン)が少ない
凍らせながら混ぜる工程で、生地にはどうしても空気が入ります。この空気の割合を示す指標がオーバーランです。数値が大きいほど空気を多く含み、軽くふんわりした食感になります。
一般的なアイスクリームのオーバーランは60〜100%程度とされ、ジェラートは20〜40%程度と控えめです。同じ大きさのカップに盛っても、ジェラートのほうがずっしり密度が高く、なめらかで濃厚に感じられます。
ジェラート店でヘラ状の道具を使って盛りつけているのは、この密度の高さゆえです。丸いディッシャーですくうより、練るように重ねるほうが向いています。
食べごろの温度が高め
市販のアイスクリーム類は、品質を保つためにマイナス18℃以下で保存するのが基本です。一方でジェラートの食べごろは、マイナス8〜10℃前後とされています。10℃近い差があります。
この温度差は味の感じ方に直結します。冷たすぎると舌の感覚が鈍り、甘みや香りを拾いにくくなります。少し高めの温度で提供されるジェラートは、素材の風味が立ちやすいのです。
専門店のショーケースがふたを開けたまま並んでいるのも、この温度帯を保つための工夫です。冷凍庫でカチカチに凍らせたままでは、本来の口どけになりません。
日本の「種類別」表示ではどう分類される?
日本では、冷凍のお菓子は乳固形分と乳脂肪分の量によって四つに区分され、パッケージの「種類別」欄に表示されます。区分は次のとおりです。
| 種類別 | 乳固形分 | うち乳脂肪分 |
|---|---|---|
| アイスクリーム | 15%以上 | 8%以上 |
| アイスミルク | 10%以上 | 3%以上 |
| ラクトアイス | 3%以上 | 規定なし |
| 氷菓 | 上記に当てはまらないもの | - |
この区分に照らすと、日本で売られているジェラートの多くは「アイスミルク」に分類されます。果汁を主体にしたシャーベット系のフレーバーであれば「氷菓」になることもあります。
ちなみに、同じ乳製品の冷たいお菓子でも、氷菓に分類される商品には別の楽しみ方が根づいています。夏の定番として親しまれてきた商品にも、それぞれ記念日があります。

ジェラートの歴史|語源とイタリアに根づくまで
ジェラートは近年生まれた新しいお菓子ではありません。冷たい甘味そのものの歴史は古く、その延長線上に今のジェラートがあります。
語源はイタリア語の「凍った」
ジェラート(gelato)は、イタリア語で「凍らせる」を意味する動詞 gelare から生まれた言葉です。もとの意味はそのまま「凍ったもの」で、特定の製法や配合を指す名前ではありません。
イタリアでは、ジェラートを売る店を「ジェラテリア」と呼びます。街角のジェラテリアが日常の風景として溶け込んでいるのは、これが特別なごちそうではなく、暮らしの中の甘味として続いてきたからです。
ルネサンス期のフィレンツェで広まったという説
今の形に近いジェラートの起源については、16世紀のフィレンツェで、メディチ家に仕えた人物が乳を使った冷たい菓子を考案したという説がよく知られています。ただしこの話には諸説あり、記録によって伝えられ方が異なります。
また、イタリアからフランスの宮廷へ、婚姻を通じて冷菓の技術が伝わったとする説も語られています。いずれも確定した一つの経緯として語れるものではなく、複数の説が併存しているのが実情です。
確かなのは、氷や雪に甘味を合わせて食べる習慣そのものは古代から各地にあり、そこに乳やクリームを加える工夫が重なって今のジェラートに近づいていった、という大きな流れです。
日本で身近になるまで
日本で冷たい乳菓子が売られはじめたのは明治時代です。1869年(明治2年)に横浜の馬車道で「あいすくりん」が販売されたのが最初とされ、現在も馬車道には発祥を伝える記念碑があります。
ジェラートという呼び名が日本の街に定着したのは、イタリア料理店やカフェが広く親しまれるようになってからです。専門店が各地に増え、地元の果物や牛乳を使ったご当地フレーバーも珍しくなくなりました。
夏の冷たい甘味という点では、日本には長く親しまれてきた別の系統もあります。同じ「冷たいものを食べる日」でも、由来のたどり方はまったく異なります。

8月27日の楽しみ方|おうちでおいしく味わうコツ
ジェラートの日に専門店へ出かけるのもよいのですが、市販のカップやテイクアウトでも、ちょっとした手順で味わいは変わります。難しい道具はいりません。
冷凍庫から出して少し待つ
家庭用冷凍庫の庫内はおおむねマイナス18℃前後です。ジェラートの食べごろとされるマイナス8〜10℃前後とは差があるため、出してすぐだと硬く、香りも立ちにくくなります。
室温に数分置くか、冷蔵室に移して10分ほど待つと、スプーンがすっと入る状態になります。表面が溶けはじめる手前が目安です。
ただし、いったん溶けたものを冷凍庫で凍らせ直すのは避けてください。氷の粒が大きくなって食感が損なわれるうえ、衛生面でも望ましくありません。
味の組み合わせは欲張りすぎない
ジェラート店では複数のフレーバーを選べることが多く、つい多く盛りたくなります。ただ、種類を増やすほど味は混ざり合い、それぞれの輪郭がぼやけます。
組み合わせのコツは、方向性の違うものを並べることです。
- ミルク系とフルーツ系を1つずつ合わせる
- 濃厚な味は最後に回して、軽い味から食べる
- ナッツやチョコなど香りの強いものは1種類までにする
- 迷ったら、その店の看板フレーバーを軸にする
2〜3種類までにとどめると、それぞれの素材の違いを味わえます。記念日にあえて食べ比べてみるのも、この日らしい楽しみ方です。

買って帰るとき・保存するとき
持ち帰りの際は、保冷剤やドライアイスを付けてもらい、寄り道せずに帰るのが基本です。8月下旬はまだ気温が高く、短時間でも表面が溶けはじめます。
家に着いたらすぐ冷凍庫へ。扉の開け閉めで温度が上下しやすいドアポケットではなく、庫内の奥に置くほうが状態を保てます。
ジェラートにまつわる世界の記念日
ジェラートに関する記念日は、8月27日だけではありません。国や団体が異なれば、日付も趣旨も変わります。
3月24日「ヨーロッパ職人ジェラートの日」
ヨーロッパには、3月24日に定められた「ヨーロッパ職人ジェラートの日」があります。2012年7月5日、欧州議会が賛成387票で成立させたもので、食品を対象に欧州議会が公式に定めた日としては唯一とされています。
職人がその場で作る「アルティジャナーレ」のジェラート文化と、その技術を守り伝えることが趣旨です。毎年その年のテーマとなるフレーバーが選ばれ、ヨーロッパ各地のジェラテリアで一斉に提供されます。
| 項目 | 日本のジェラートの日 | ヨーロッパ職人ジェラートの日 |
|---|---|---|
| 日付 | 8月27日 | 3月24日 |
| 制定 | 日本ジェラート協会(2014年) | 欧州議会(2012年決議) |
| 由来 | 映画『ローマの休日』の公開日 | 職人によるジェラート文化の保護と普及 |
| 特徴 | ジェラート全般の魅力を伝える | 年ごとのテーマフレーバーが決まる |
同じジェラートの記念日でも、日本は「映画を通じた親しみ」から、ヨーロッパは「職人技の継承」から出発しています。成り立ちが違うので、どちらが本家という話ではありません。
5月9日「アイスクリームの日」との違い
日本には5月9日の「アイスクリームの日」もあります。1869年(明治2年)5月9日に横浜でアイスクリームが製造・販売されたことにちなみ、1964年に東京アイスクリーム協会(現・日本アイスクリーム協会)が記念日として定めました。
先に触れた馬車道の「あいすくりん」が、そのまま記念日になっているわけです。ジェラートの日が夏の終わりの8月27日にあるのに対し、アイスクリームの日は夏の入り口にあたる5月にあります。どちらも実際のできごとの日付にちなむ記念日ですが、一方は日本にアイスクリームが登場した日、もう一方は映画が公開された日と、さかのぼる先はまったく違います。
8月27日はほかにも記念日がある
8月27日には「男はつらいよの日」もあります。1969年8月27日に映画『男はつらいよ』の第1作が公開されたことにちなむ記念日で、こちらも映画の公開日が由来です。同じ一日に、映画由来の記念日が二つ並んでいることになります。
8月下旬は、夏の終わりと秋の入り口が重なる時期です。近い日付の記念日をたどっていくと、暦の上での季節の移り変わりが見えてきます。

8月下旬の食べ物の記念日としては、29日の焼肉の日も同じ流れのなかにあります。こちらは「や・きに・く」と読む語呂合わせが由来です。

よくある質問
- ジェラートの日は何月何日ですか?
-
8月27日です。毎年同じ日付で、年によって動くことはありません。1953年8月27日に映画『ローマの休日』がアメリカで公開されたことにちなみます。
- ジェラートの日は誰が制定したのですか?
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日本ジェラート協会が2014年に制定し、日本記念日協会に認定されています。ジェラートのおいしさと魅力をより多くの人に知ってもらうことが趣旨とされています。
- ジェラートとアイスクリームはどう違いますか?
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乳脂肪分・空気の量・食べごろの温度に傾向の違いがあります。ジェラートは乳脂肪分が4〜7%程度と控えめで、混ぜ込む空気(オーバーラン)も20〜40%程度と少なく、マイナス8〜10℃前後で食べるのが向いているとされます。密度が高くなめらかで、素材の風味が立ちやすいのが特徴です。
- パッケージの「種類別」欄にジェラートと書いてありません。なぜですか?
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「ジェラート」は日本の表示区分の名前ではないためです。冷凍のお菓子は乳固形分と乳脂肪分の量でアイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・氷菓の四つに分けられ、日本で売られるジェラートの多くはアイスミルクに、果汁主体のものは氷菓に分類されます。
- ヨーロッパにもジェラートの日があると聞きました。
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3月24日の「ヨーロッパ職人ジェラートの日」です。2012年7月5日に欧州議会が賛成387票で成立させた日で、職人がその場で作るジェラート文化を守り伝えることを趣旨としています。日本の8月27日とは制定者も由来も別のものです。
- ジェラートはアイスクリームよりヘルシーですか?
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乳脂肪分が控えめなレシピが多いのは事実ですが、それだけでカロリーの多少は決まりません。砂糖の量や一皿の分量は商品ごとに異なります。数値を比べたいときは、パッケージの栄養成分表示を確認してください。
- 8月27日はほかに何の日ですか?
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「男はつらいよの日」があります。1969年8月27日に映画『男はつらいよ』の第1作が公開されたことにちなむ記念日です。ジェラートの日と同じく、映画の公開日が由来になっています。
まとめ
ジェラートの日は8月27日。1953年のこの日に映画『ローマの休日』がアメリカで公開されたことにちなみ、2014年に日本ジェラート協会が制定した記念日です。語呂合わせではなく、一本の映画の公開日がそのまま日付になっています。
アイスクリームとの違いは、乳脂肪分・空気の量・食べごろの温度という三つの軸で整理できます。密度が高くなめらかで、素材の風味が立ちやすいのがジェラートの持ち味です。日本の表示区分では多くがアイスミルクにあたる、という点も知っておくとパッケージが読みやすくなります。
ヨーロッパには3月24日の「ヨーロッパ職人ジェラートの日」があり、こちらは職人技の継承が趣旨です。同じジェラートでも、記念日の成り立ちは国によって違います。
8月27日はジェラートの日。冷凍庫から出して数分待ち、香りが立つ温度で味わう——それだけで、いつもの一杯がこの日らしい時間になります。
