60日に1度、1年でわずか6回。己巳(つちのとみ)の日は、そのくらい間隔の空く吉日です。2026年は2月24日が最初で、最後は12月21日。6回のうち1回を見送ると、年内に使える機会はそれだけ減ります。
選ばれるのは、おもにお金にまつわる区切りです。新しい財布を下ろす、口座をつくる、弁財天をまつる神社へお参りするといった予定を、この日に合わせる人がいます。読み方や「巳の日」との違いもふくめて、日付と意味をそろえて押さえておくと、当日をあわてずに迎えられます。
己巳の日とは?読み方と意味をやさしく解説
己巳の日(つちのとみのひ)は、暦の上で「金運アップにつながる吉日」とされる日のことです。数ある縁起のよい日のなかでも、お金にまつわる願いごとと相性がよいとされ、財布の使い始めなどの目安にする人もいます。
まずは読み方と、なぜ縁起がよいとされるのかを順番に見ていきましょう。難しそうな言葉ですが、仕組みを知るととてもシンプルです。
祝日や記念日のように国が定めた日ではありません。決まった行事や作法もなく、何をするかは一人ひとりに任されています。神社の縁日として出かける人もいれば、家の中の小さな区切りにする人もいて、過ごし方の幅が広い日です。
「つちのとみのひ」の読み方
己巳の日は「つちのとみのひ」と読みます。「己(つちのと)」と「巳(み)」という2つの言葉が組み合わさった呼び方です。
「きしのひ」「おのれみのひ」などと読まれることもありますが、暦の世界では「つちのとみのひ」と呼ぶのが一般的です。
「己」を「つちのと」と読むのは、十干を五行(木・火・土・金・水)に当てはめ、それぞれを兄(え)と弟(と)に分けた呼び方によります。土の兄が「つちのえ(戊)」、土の弟が「つちのと(己)」で、甲を「きのえ」、乙を「きのと」と読むのと同じ並びです。
音読みなら「己巳」は「きし」で、辞典にも「きし」の読みで項目が立っています。「きしのひ」という言い方が出てくるのはこのためで、誤りというより別の読み方が並んでいる状態です。
十干「己」と十二支「巳」が重なる日
昔の日本では、日付を「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」を組み合わせて数える習わしがありました。十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類、十二支は子・丑・寅…でおなじみの12種類です。
このうち、十干の「己」と十二支の「巳」がちょうど重なる日が「己巳の日」です。10と12の組み合わせなので、同じ並びが巡ってくるのは60日に一度だけ。だからこそ特別な日として大切にされてきました。
10と12の最小公倍数は60なので、組み合わせは全部で60通りあります。甲子(きのえね)を1番目として順に並べると、己巳は6番目。この60通りが日ごとに繰り返され、一巡するとまた甲子に戻ります。
弁財天・白蛇との関係(金運の由来)
己巳の日が金運と結びつけられる背景には、巳(へび)にまつわる言い伝えがあります。へびは脱皮をくり返して成長することから、再生や生命力の象徴とされてきました。
とりわけ白いへびは、七福神のひとり弁財天(べんざいてん)の使いとされています。弁財天は財運や芸事をつかさどる神さまといわれ、その縁日が「巳の日」にあたります。こうした信仰から、己巳の日は「お金や芸ごとに縁のある日」として親しまれるようになりました。

白いへびを見ると縁起がいい、と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。あれも弁財天さまの使いという考え方から来ているんですね。
己巳の日は2026年いつ?日付一覧
2026年の己巳の日は、全部で6回あります。約2か月に1回のペースで巡ってくる計算です。まずはカレンダーで日付を確認しておきましょう。
2026年の6回は、2月24日の火曜日から12月21日の月曜日まで。1回目と6回目のあいだは、ちょうど300日あります。上半期に3回、下半期に3回と、きれいに半分ずつ分かれる年です。
一方で、1月・3月・5月・7月・9月・11月には1日もありません。毎月めぐってくる吉日とは感覚が違うので、「来る月と来ない月がある」と先に知っておくと、予定が立てやすくなります。


2026年の己巳の日カレンダー(全6回)
2026年の己巳の日は、次の6日間です。前後の予定と合わせて、無理のない範囲で意識してみてください。
| 回 | 日付 | 曜日 |
|---|---|---|
| 1回目 | 2月24日 | 火曜日 |
| 2回目 | 4月25日 | 土曜日 |
| 3回目 | 6月24日 | 水曜日 |
| 4回目 | 8月23日 | 日曜日 |
| 5回目 | 10月22日 | 木曜日 |
| 6回目 | 12月21日 | 月曜日 |
6回の間隔は、いつも60日ちょうどです。60を7で割ると余りが4になるため、次の己巳の日の曜日は前回から4つ先へずれます。火曜日、土曜日、水曜日、日曜日と表の並びが動いているのは、このためです。
なお、この6日間のなかには、凶日とされる不成就日と同じ日になる回もあります。吉日と凶日が並んだ日をどう受け止めるかは、暦の系統によって説明が分かれるところです。不成就日の側から見た考え方は、次の記事で整理しています。


大安や仏滅などの六曜は、干支とはまったく別の仕組みで決まります。そのため、己巳の日が仏滅と重なることもあります。由来も数え方も違うので、どちらを重く見るかは人によって分かれます。


60日に1度しか来ない理由
己巳の日が年に6回ほどしかないのは、十干と十二支の組み合わせの仕組みによるものです。前のセクションでふれたとおり、10種類の十干と12種類の十二支がそろって同じ並びに戻るまでには60日かかります。
1年は約365日なので、60で割るとおよそ6回。これが「2026年の己巳の日は6回」という数につながっています。次に同じ日が来るまで2か月ほど待つことになるため、貴重な吉日として扱われているわけです。
厳密にいえば、365日は60で割り切れません。そのため年によっては7回になることもあり、直近では2024年がそうでした。1月6日と12月31日の両方が己巳の日にあたり、年をまたぐ手前でもう1回入った形です。
己巳の日と巳の日の違い
「己巳の日」と「巳の日」は、名前が似ていて混同しやすい言葉です。違いをひとことでいえば、巳の日のなかでも特に縁起がよいとされるのが己巳の日、という関係になります。
紛らわしいのは名前だけではありません。「己」「已」「巳」の3字は形がよく似ていて、書き分けに迷いやすい字でもあります。掲示や手書きのメモで見かけたとき、どちらの日を指しているのか判断しづらいのはこのためです。
見分ける手がかりは、頭に「己(つちのと)」が付いているかどうかの一点だけです。付いていなければ、より頻度の高い巳の日を指していると考えて差し支えありません。
巳の日との関係と頻度の違い
巳の日は、十二支の「巳」が巡ってくる日のことで、12日に一度やってきます。1年ではおよそ30回ほどあり、こちらも弁財天の縁日として知られる吉日です。
一方の己巳の日は、その巳の日のなかでも十干の「己」が重なった日だけを指します。そのため、頻度は60日に一度とぐっと少なくなります。巳の日という大きなくくりの中に、特別な己巳の日が含まれているとイメージするとわかりやすいでしょう。
2026年でいえば、最初の巳の日は1月7日です。そこから12日おきに並び、5回目にあたる2月24日が、この年最初の己巳の日になります。同じ「巳」の日でも、そのなかの一部だけが己巳の日だという関係は、日付で追うとつかみやすくなります。
どちらがより縁起がよいとされるか
一般には、己巳の日のほうがより金運に恵まれる日とされています。十干の「己」が、土や蓄えと結びつくと考えられてきたためです。「己」に通じる土の性質が、財を育てるイメージと重ねられてきました。
巳の日と己巳の日の関係
巳の日…12日に1度。1年に約30回。弁財天の縁日。
己巳の日…60日に1度。1年に約6回。巳の日のなかでも特に金運がよいとされる。
とはいえ、どちらもおめでたい日であることに変わりはありません。回数の少ない己巳の日を区切りにしつつ、巳の日も合わせて意識すると、暦を楽しむ機会が増えます。
己巳の日にやるといいこと
己巳の日には、お金にまつわることを始めるとよいとされています。あくまで昔からの言い伝えにもとづく目安ですが、暮らしの区切りとして取り入れると気持ちが引き締まります。代表的なものを紹介します。
挙がるのは、あらためてお金をかける行動ではありません。もともと予定していたことの日取りを、この日に寄せるだけで足ります。新しく買い足したり、高いものを選び直したりする必要はありません。
金額の大小も関係ありません。数百円を貯金箱に入れるだけでも区切りになりますし、何もしないまま過ぎた回があっても、次の回で仕切り直せます。
財布の使い始め・お金にまつわること
己巳の日によく挙げられるのが、新しい財布を使い始めることです。金運がよいとされる日に下ろすことで、お金にまつわる新しいスタートを気持ちよく切れる、という考え方が古くから親しまれてきました。
このほか、次のような行動も縁起がよいとされています。
- 銀行口座の開設や、新しく貯金を始めること
- お金にまつわる契約や手続きのスタート
- 宝くじの購入や、お守りを新調すること
いずれも「お金の新しい区切りに選ぶ日」という位置づけです。必ず金運が上がると約束するものではない点だけ、頭の片隅に置いておきましょう。
弁財天さまへのお参り・銭洗い
巳の日・己巳の日は弁財天の縁日にあたるため、弁財天をまつる神社やお寺へお参りする人もいます。日ごろの感謝を伝え、これからの暮らしへの願いを込める日として選ばれています。
また、湧き水でお金を清める「銭洗い」ができる場所も各地にあります。清めたお金は使うことで世の中を巡り、また自分のもとへ戻ってくる、という受け取り方をする人もいます。お参りの際は、その場所の作法に従いましょう。
銭洗いをしたあとは、水気をよくふき取ってから財布に戻します。硬貨も紙幣もぬれたままだと傷みやすく、ほかのお札に色移りすることもあります。ざるや柄杓を使う場所では、洗う量を欲張らず数枚に絞ったほうが扱いやすくなります。
※注意:避けたいとされること
金運に縁のある日とされる一方で、お金を大きく失う行動は控えるとよいといわれます。具体的には、無理な大きい出費や、勢いだけのギャンブルなどです。
己巳の日のように暦をもとにした「縁起のよい日」は、ほかにもいくつかあります。あわせて知っておくと、年間の区切りがつけやすくなります。






己巳の日を支えてきた弁財天信仰と「巳待」
巳が金運と結びついた背景には、弁財天という神さまが日本でたどってきた道のりがあります。もとから財産の神だったわけではなく、日本に伝わってきたあとで役割が少しずつ変わっていきました。その変化の跡は、「弁才天」「弁財天」という二通りの書き方にいまも残っています。
祈り方も、いまの「吉日に何かを始める」という感覚とはかなり違う形が伝わっています。弁財天をまつるお堂が池のほとりや島に多いのも、この神さまの成り立ちと無関係ではありません。
弁財天はもとインドの川の神さま
弁財天は、サンスクリット語の「サラスヴァティー」を訳した名前です。サラスヴァティーは「水を持つもの」を意味する言葉で、古代インドでは川の名でもありました。仏教に取り入れられたのちの『金光明最勝王経』では、この経を説く人・聞く人に知恵や長寿、財産を授ける神として説かれています。
日本では、このうち財産にかかわる面がとくに信仰され、「才」を「財」に替えた「弁財天」の表記が広まりました。七福神の一員に数えられるようになったのも、この流れの上にあります。へびと結びつけられた理由については、水に縁のある生きものだからという説明のほか、日本の宇賀神(うがじん)と同じ神とみなされたからという見方も辞典には記されています。
己巳の日に弁財天を待つ「巳待」
「巳待(みまち)」は、己巳の日に人が寄り合って行った弁財天のまつりです。辞典の説明によれば、巳の刻(午前9時から11時ごろ、正刻は午前10時)に弁財天を待って祈ると、その姿が現れ、拝んだ者は福を授かるとされました。
日を決めて集まる習わしは、巳待だけではありません。庚申の日の夜を眠らずに過ごす庚申待、甲子の日の甲子待など、暦の特定の日に人が集まる講が各地にありました。日付そのものが、集合の合図になっていたわけです。
いまは集まって祈る形をとることはほとんどありませんが、「その日を待つ」という感覚は残っています。新しいものを使い始める日をこの日まで取っておく、という過ごし方は、その名残ともいえます。
己巳の日に関するよくある質問(FAQ)
- 己巳の日は何と読みますか?
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「つちのとみのひ」と読みます。十干の「己(つちのと)」と十二支の「巳(み)」を組み合わせた呼び方です。
- 2026年の己巳の日はいつですか?
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2月24日・4月25日・6月24日・8月23日・10月22日・12月21日の全6回です。約2か月に1回のペースで巡ってきます。
- 己巳の日と巳の日はどう違いますか?
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巳の日は12日に1度(年約30回)巡る日です。そのなかで十干の「己」が重なった日が己巳の日で、60日に1度(年約6回)しかありません。己巳の日のほうが特に金運がよいとされています。
- 己巳の日には何をするといいですか?
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新しい財布の使い始めや貯金のスタート、弁財天をまつる神社・お寺へのお参りなど、お金にまつわることを始めるとよいとされています。
- 2027年の己巳の日はいつですか?
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2月19日・4月20日・6月19日・8月18日・10月17日・12月16日の6回です。2026年の日付より5日ほど早い並びになり、回数は同じ6回です。
まとめ|己巳の日を暮らしの区切りに
己巳の日(つちのとみのひ)は、十干の「己」と十二支の「巳」が重なる、60日に1度の吉日です。弁財天の使いとされる白蛇との縁から、金運アップにつながる日として親しまれてきました。
2026年は2月24日・4月25日・6月24日・8月23日・10月22日・12月21日の6回。財布の使い始めやお参りの目安にするなど、お金と向き合う区切りとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
要点を並べておきます。
- 読み方は「つちのとみのひ」。音読みの「きし」から「きしのひ」と呼ばれることもある
- 12日ごとにめぐる巳の日のうち、十干の「己」が重なった回だけが己巳の日
- 2026年は上半期に3回・下半期に3回。1月・3月・5月・7月・9月・11月には1日もない
- 弁財天はもとインドの川の神で、日本で財産の神として信仰された
- かつては己巳の日の巳の刻に、弁財天を待つ「巳待」という集まりがあった
縁起のよい日は、暮らしに小さな張り合いをくれるもの。気負いすぎず、自分のペースで楽しむのがいちばんです。





















