「京都三大祭り」という言葉は聞いたことがあっても、どの祭りを指すのか、すぐに3つ挙げられる人は意外と少ないものです。答えは葵祭・祇園祭・時代祭の3つ。いずれも京都を代表する伝統行事で、春・夏・秋とちょうど季節をめぐるように開催されます。
この記事では、3つの祭りの日程や主催神社、見どころを季節順にやさしく整理しました。「なぜこの3つなのか」「それぞれ何が違うのか」も、表を使って一目でわかるようにまとめています。
葵祭は5月15日、祇園祭は7月の1か月間、時代祭は10月22日。曜日ではなく日付で決まるため、押さえておきたいのは行列の出発時刻と、雨のときの扱いのほうです。

京都旅行の計画にも、ちょっとした豆知識にも役立ちますよ。まずは3つの名前から覚えていきましょう。
京都三大祭りとは?まず3つの祭りを覚えよう
京都三大祭りとは、葵祭(あおいまつり)・祇園祭(ぎおんまつり)・時代祭(じだいまつり)の3つを指します。それぞれ主催する神社も歴史も異なりますが、共通しているのは「平安時代以来の京都の文化を今に伝える格式高い祭り」であることです。
三大祭りという呼び名は、どこかの機関が制度として定めた区分ではなく、格式と規模から定着した言い方です。3つに共通するのは、装束をまとった人々が長い距離を進む「行列」を中心に据えている点で、踊りや花火が主役になる祭りとは組み立てそのものが違います。


葵祭・祇園祭・時代祭の3つ(季節順の早見表)
覚え方のコツは「季節順」です。春の葵祭から始まり、夏の祇園祭、秋の時代祭へと続きます。下の表で開催月をセットにして覚えると忘れにくくなります。
| 祭り | 開催時期 | 季節 |
|---|---|---|
| 葵祭 | 5月15日 | 春 |
| 祇園祭 | 7月1日〜31日 | 夏 |
| 時代祭 | 10月22日 | 秋 |
表を見ると、葵祭と時代祭は1日で完結する祭り、祇園祭だけが1か月続く祭りだとわかります。祇園祭のハイライトである山鉾巡行も7月17日と24日に決まっているので、見に行く日を選ぶときはこの2日を軸にすると迷いません。3つとも日付が動かないため、来年以降の予定も同じ日付のまま組み立てられます。
なぜこの3つが「三大祭り」と呼ばれるのか
3つに共通するのは、長い歴史と京都ならではの格式です。葵祭は約1400年前から続くとされる最古の祭礼、祇園祭は1000年以上の歴史を誇る八坂神社の祭礼、時代祭は平安神宮の創建を記念して始まった祭りです。
いずれも華やかな「行列」が大きな見どころで、平安絵巻のような装束や、京都の歴史そのものを再現する演出が楽しめます。この格式と規模、そして見ごたえのある行列が、三大祭りと呼ばれる理由といえます。
もうひとつ、祇園祭は大阪の天神祭、東京の神田祭と並べて「日本三大祭り」に挙げられる祭りでもあります。京都三大祭りが市内の3つを指す呼び方なのに対し、こちらは全国の規模で並べた呼び方で、同じ祇園祭が両方に入る形です。並べる範囲を京都に限るか全国に広げるかで、隣に並ぶ祭りの顔ぶれが変わります。
行列を支えているのは、神社の神職だけではありません。祇園祭の山鉾は町ごとの保存会が、時代祭の行列は京都市民の組織が担い、装束や道具を代々受け継いできました。人手と資金の続く限り毎年同じ形で再現される、その継続そのものが「三大」と呼ばれる土台になっています。
その神田祭も、江戸のころから三つで数えられてきた祭りのひとつです。


葵祭(5月15日)|平安絵巻の王朝行列
葵祭は、毎年5月15日に行われる京都三大祭りの先陣を切る春の祭りです。約1400年前から続くとされ、日本でもっとも古い祭りのひとつに数えられます。正式には「賀茂祭(かもさい)」といいます。
賀茂祭という名のとおり、これは下鴨神社と上賀茂神社に共通する例祭です。5月15日に街で見られるのは行列の「路頭の儀」で、その日には両神社の境内でも神事が営まれます。つまり沿道で目にするのは、一日がかりの祭礼のうちの一場面ということになります。
日程と主催神社(下鴨・上賀茂神社)
葵祭は、下鴨神社(賀茂御祖神社)と上賀茂神社(賀茂別雷神社)の例祭です。メインとなる行列は5月15日に行われ、京都御所を出発して下鴨神社、上賀茂神社へと進みます。
行列は京都御所の建礼門前を午前10時30分に出発し、下鴨神社に午前11時40分ごろ、上賀茂神社には午後3時30分ごろ到着します(京都市観光協会)。進む距離は約8キロで、馬36頭・牛4頭を含む500余名が半日かけて都大路を移動する計算です。同じ行列を、御所・下鴨・上賀茂と時間をずらして見られるのが葵祭の組み立てです。
見どころ:王朝行列とフタバアオイ
最大の見どころは「路頭の儀」と呼ばれる王朝行列です。平安時代の貴族の装束に身を包んだ約500人の行列が、まるで動く平安絵巻のようにゆっくりと進みます。
名前の由来となった「フタバアオイ」の葉が、参加者の衣装や牛車に飾られているのも特徴です。みやびな雰囲気をじっくり味わいたい人にぴったりの祭りといえます。
フタバアオイは、下鴨神社と上賀茂神社の神紋にも用いられている植物です。行列では葉を桂の枝と組み合わせて冠や牛車に挿すため、遠目には緑の飾りが列全体をつないでいるように見えます。装束の色数が多いなかで、この緑がそろっているところに目を向けると、行列のまとまりが感じ取れます。
雨のときの扱いもはっきり決まっています。5月15日が雨天や荒天の場合、行列は翌16日に順延され、16日も荒天なら中止です。実施か順延かは前日の午後6時ごろに決まり、京都市観光協会などから発表されます。
葵祭のポイント:日本最古級の祭礼で、見どころは平安装束の王朝行列。華やかさよりも、優雅で落ち着いた「みやびさ」を楽しむ祭りです。
葵祭のある5月は、全国でも大きな祭りが重なる月にあたります。


祇園祭(7月1日〜31日)|1か月続く山鉾の祭
祇園祭は、八坂神社の祭礼として7月の1か月間にわたって行われる、京都の夏を代表する祭りです。1000年以上の歴史を持ち、日本三大祭りのひとつにも数えられます。
祇園祭は、山鉾町の人々が担う山鉾行事と、八坂神社の神輿が動く神事の二本立てで進みます。前祭の巡行と同じ7月17日には神輿が八坂神社を出て四条の御旅所へ移り(神幸祭)、後祭の巡行と同じ24日に神社へ戻ります(還幸祭)。山鉾巡行と神輿渡御が同じ日付でセットになっている点をつかむと、1か月の日程表が読みやすくなります。


日程の流れと山鉾巡行(前祭・後祭)
祇園祭は7月1日の「吉符入(きっぷいり)」に始まり、7月31日の「疫神社夏越祭」まで、さまざまな神事が続きます。なかでもハイライトが「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」で、これは2回に分けて行われます。
7月17日に行われ、23基の山鉾が市内を巡ります。先に行われるため「前祭」と呼ばれます。
7月24日に行われ、11基の山鉾が巡行します。前祭と後祭を合わせて34基の山鉾が登場します。
山鉾の数は、前祭23基と後祭11基を合わせて34基です(祇園祭山鉾連合会)。長く33基の時代が続きましたが、2022年(令和4年)に後祭の鷹山が196年ぶりに巡行へ復帰し、現在の34基になりました。案内によって基数の表記が違うことがあるのは、この復帰の前後で数が変わったためです。
巡行の出発地点は前祭が四条烏丸、後祭が烏丸御池で、進む向きも逆になります。巡行の順番は毎年7月2日のくじ取り式で決まりますが、鷹山のように順番があらかじめ固定された「くじ取らず」の山鉾もあります。同じ祭りでも2回の巡行は道筋も顔ぶれも違うため、日程を選ぶときは「どちらの巡行を見るか」から決めることになります。
見どころ:宵山と34基の山鉾
巡行前夜の「宵山(よいやま)」も大きな見どころです。山鉾に提灯がともり、祇園囃子の音色が街に響くなか、多くの露店でにぎわいます。
そして祭りのハイライトが、前祭23基・後祭11基の山鉾が市内を進む山鉾巡行です。豪華な装飾を施した山鉾は「動く美術館」とも呼ばれ、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
宵山にあたるのは巡行前の3日間で、前祭が7月14日から16日、後祭が7月21日から23日です。提灯に火が入るのは日が暮れてからで、山鉾の立つ通りを歩きながら、各町の会所に並ぶ懸装品を見て回る時間帯になります。後祭は巡行する山鉾が11基と少ないぶん、宵山の範囲も狭く、前祭より落ち着いた雰囲気で歩けます。
時代祭(10月22日)|京都の歴史を歩く大行列
時代祭は、毎年10月22日に行われる平安神宮の祭りです。三大祭りのなかではもっとも新しく、1895年(明治28年)に平安神宮が創建されたのを記念して始まりました。
行列の並びには決まりがあり、新しい時代から古い時代へさかのぼる順で進みます。先頭は幕末の維新の列で、江戸、安土桃山と後ろへ行くほど時代をさかのぼり、最後尾に近いのが平安遷都のころの延暦時代です。歴史年表を後ろのページからめくっていく順番だと考えると、目の前を通る列が今どの時代なのかをつかみやすくなります。
日程と平安神宮の由来
10月22日は、桓武天皇が794年に平安京へ都を移したとされる日にちなんでいます。平安神宮は、この平安遷都1100年を記念して創建された神社です。時代祭は、その歴史を市民の力で祝うために生まれました。
当日は午前9時に平安神宮の御鳳輦(ごほうれん)が京都御苑へ向かい、午前10時30分から建礼門前で行在所祭が営まれます。時代風俗行列が建礼門前を出発するのは正午で、丸太町通から烏丸通・御池通・河原町通・三条通を経て、午後2時30分ごろ平安神宮に到着します(平安神宮)。10月22日が雨天や荒天のときは翌23日に順延され、23日も荒天であれば中止です。
見どころ:8つの時代・2000名の行列
最大の見どころは、京都の歴史を再現する大行列です。明治維新から延暦時代までの8つの時代を、それぞれの装束に身を包んだ総勢約2000名が練り歩きます。
時代衣装は綿密な時代考証に基づいて作られており、まるで歴史絵巻をさかのぼって眺めているような気分になれます。京都の1000年以上の歴史を、目の前で一度に味わえる祭りです。
行列は全部で20の列に分かれ、長さは約2キロに及びます(平安神宮)。ひとつの場所で先頭から最後尾までを見送るには2時間ほどかかる計算で、途中から見始めても十分に見応えがあります。同じ京都の装束でも、時代が変われば色づかいも髪型も変わることが、続けて眺めているとはっきりわかります。
神輿をぶつけ合う祭りと聞くと、静かに進む時代祭とは別世界のように感じます。その「けんか祭り」と呼ばれる秋祭りが、兵庫でも同じ10月に開かれています。


3つの祭りの違いを一覧で比較
3つの祭りは、開催時期だけでなく主催する神社や祭りのテーマも異なります。下の表で違いを整理すると、それぞれの個性が見えてきます。
違いは、見る側の動き方にも表れます。葵祭と時代祭は、決まった時刻に決まった道を進む行列を沿道で待つ祭りです。祇園祭は、宵山に山鉾の立つ町を歩く楽しみ方と、巡行の日に沿道で待つ楽しみ方が同じ祭りのなかに並んでいます。予定を組むときも、前者は行列の時刻に合わせる形、後者は滞在できる時間帯に合わせる形になります。
主催神社・歴史・テーマの違い早見表
| 祭り | 時期 | 主催神社 | 見どころ・テーマ |
|---|---|---|---|
| 葵祭 | 5月15日 | 下鴨神社・上賀茂神社 | 平安貴族の王朝行列(みやび) |
| 祇園祭 | 7月1〜31日 | 八坂神社 | 34基の山鉾巡行(豪華・にぎやか) |
| 時代祭 | 10月22日 | 平安神宮 | 8時代・2000名の歴史行列 |
祭りごとに舞台となる場所も違います。葵祭は京都御所から下鴨神社を経て上賀茂神社へと北へ進み、祇園祭は四条烏丸から御池通にかけての中心部、時代祭は京都御所と岡崎の平安神宮を結ぶ道筋が舞台です。同じ市内でも南北にかなり離れているため、宿や移動の起点は、その年に見る祭りの舞台に寄せておくと当日の移動が短くて済みます。
季節の違いは服装にも直結します。5月と10月の行列は日中に長時間立って待つ場面が多く、日差しと冷え込みの両方に備えが要ります。7月の祇園祭は宵山が夜、巡行が昼と時間帯が分かれるため、暑さ対策を軸に組み立てることになります。どの祭りも歩く距離が長くなりやすいので、履き慣れた靴を選んでおくと最後まで楽に見られます。
覚え方のコツ:「春は優雅な葵祭、夏はにぎやかな祇園祭、秋は歴史の時代祭」と、季節とイメージをセットにすると覚えやすくなります。
東北にも有名な「三大祭り」があり、京都とはまた違ったにぎやかさが楽しめます。あわせて知っておくと、日本の祭り文化への理解がぐっと深まります。


京都三大祭りのよくある質問(FAQ)
- 京都三大祭りはどれですか?
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5月の葵祭、7月の祇園祭、10月の時代祭の3つです。いずれも京都を代表する伝統行事で、春・夏・秋と季節をめぐるように開催されます。
- 一番歴史が古いのはどの祭りですか?
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葵祭です。約1400年前から続くとされ、日本でもっとも古い祭りのひとつに数えられます。一方、時代祭は1895年に始まった、三大祭りのなかでは新しい祭りです。
- 祇園祭の山鉾巡行はいつ行われますか?
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前祭が7月17日、後祭が7月24日に行われます。前祭で23基、後祭で11基、合わせて34基の山鉾が登場します。
- 京都四大祭りという言葉もありますか?
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三大祭りに「五山送り火(8月16日)」を加えて「京都四大行事」と呼ぶこともあります。送り火は祭りというより夏のお盆の伝統行事です。
- 祇園祭は宵山と山鉾巡行のどちらが混み合いますか?
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どちらも人出は多いのですが、混み方の性格が違います。宵山は夜の時間帯に人が集まり、山鉾の立つ通りを歩く形なので、行きたい方向へ進みにくくなります。山鉾巡行は昼間に沿道へ人が並ぶ形で、立ち位置さえ決めれば動かずに見られます。町の空気を味わいたいなら宵山、じっくり見たいなら巡行が向いています。
- 時代祭の行列は京都御所と平安神宮のどちらで見るとわかりやすいですか?
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行列は正午に京都御所を出発し、午後2時30分ごろ平安神宮に到着します。時代順に並んだ列を最初から追いたいなら御所側、午後から合流したいなら平安神宮側と、自分の予定の空き時間で選ぶのが分かりやすい方法です。先頭から最後尾までの通過に2時間ほどかかるため、全部を見るつもりなら待つ時間も見込んでおきます。
- 葵祭の行列を落ち着いて見るには、どのあたりを選べばよいですか?
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葵祭の行列は午前10時30分に京都御所を出て、下鴨神社を経て上賀茂神社まで約8キロを進みます。出発地点の京都御苑には見物の人が集まりますが、行列は午後まで動き続けるので、下鴨神社より北の区間を選べば同じ行列を別の時間帯に見られます。移動の時間を計算に入れて、待つ場所を後半にずらすという選び方です。
まとめ:京都三大祭りは季節をめぐる京都の風物詩
京都三大祭りは、春の葵祭・夏の祇園祭・秋の時代祭の3つです。それぞれ主催する神社も歴史も異なりますが、いずれも京都の長い歴史と文化を今に伝える、格式高い行事です。
日程と行列の要点を、もう一度短く並べておきます。
- 葵祭:5月15日。午前10時30分に京都御所を出発し、下鴨神社を経て上賀茂神社まで約8キロを進む
- 祇園祭:7月1日〜31日。山鉾巡行は前祭が17日(23基)、後祭が24日(11基)。2022年の鷹山復帰で現在は計34基
- 時代祭:10月22日。正午に京都御所を出発し、20列・約2キロの行列が午後2時30分ごろ平安神宮へ
- 葵祭と時代祭は荒天なら翌日へ順延。3つとも曜日ではなく日付で決まる
この記事のまとめ:葵祭(5月15日・下鴨上賀茂神社)は優雅な王朝行列、祇園祭(7月・八坂神社)は34基の山鉾巡行、時代祭(10月22日・平安神宮)は8時代の歴史行列。季節とセットで覚えるのがコツです。
3つの祭りはそれぞれ違った魅力を持っています。優雅さを味わいたいなら葵祭、にぎやかさを楽しみたいなら祇園祭、歴史好きなら時代祭。京都を訪れる際は、季節に合わせてお気に入りの祭りを見つけてみてはいかがでしょうか。
祭りの形は土地ごとに大きく変わります。京都の三大祭りが行列で歴史をたどる祭りだとすれば、大阪・岸和田のだんじり祭は、4トン近い山車が走りながら向きを変える一瞬に人が集まる祭りです。























