「ありがとう」と言いそびれたまま、何日も経ってしまう。近い相手ほど、そういうことが起こりやすいものです。
そんな気持ちを思い出すための記念日が、8月10日の「ハートの日」です。日付の理由は「ハー(8)ト(10)」という語呂合わせ。ただ、この日を調べると少し戸惑うかもしれません。同じ8月10日に、性格の違う「ハートの日」が三つも並んでいるからです。
この記事では、まず三つの違いを整理して、どれを探していたのかがすぐ分かるようにします。そのうえで、感謝を伝える「ハートの日」の成り立ち、1985年から続く「健康ハートの日」の背景、9月29日の「世界ハートの日」との違い、そして当日の過ごし方までをまとめました。
ハートの日は8月10日|由来は「ハー・ト」の語呂合わせ
ハートの日は、毎年8月10日です。「ハー(8)ト(10)」と読む語呂合わせから決められました。日付が数字の読みで固定されているので、曜日に関係なく毎年同じ日にやってきます。
「ハー(8)ト(10)」だから8月10日
8を「ハー」、10を「ト」と読むと「ハート」になります。8を「ハチ」ではなく「ハー」と伸ばして読むのは、数字を英語読みの「エイト」ではなく日本語の音として崩す発想です。同じ日には「ハッ(8)ト(10)」で帽子(ハット)の日もあり、8の読み替えの幅がそのまま記念日の数になっています。
もうひとつ、8月10日を「810」とひと続きの数字として見る読み方もあります。こちらは後で触れる「健康ハートの日」が採っている考え方で、同じ日付から同じ言葉を導きながら、途中の理屈が少しだけ違います。
8月10日には「ハートの日」が三つある
ここが混乱しやすいところです。8月10日には、名前も由来も似ているのに、制定した団体も目的もまったく違う記念日が三つ並んでいます。
| 記念日名 | 制定 | 目的 |
|---|---|---|
| ハートの日 | キャリアデザイン・インターナショナル(2010年) | 感謝の気持ちを伝え、良好な人間関係を築く |
| 健康ハートの日 | 日本心臓財団・厚生省(1985年) | 夏に心臓の健康へ目を向け、冬に備える |
| 夏の恋を熱くするラブラブハートの日 | ハピ婚相談所 | 恋人どうしが気持ちを確かめ合う |
ハートという言葉が「心(気持ち)」と「心臓」の両方を指すことが、この重なりを生んでいます。日本語では区別しにくい二つの意味が、同じ語呂合わせに同居している形です。単に「ハートの日」と呼ぶ場合は、一つめの感謝を伝える記念日を指すのが一般的です。
ハートの日は8月10日。「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせで、家庭や職場で感謝の気持ちを伝えることを目的に2010年に定められた記念日です。
ハートの日(2010年制定)|伝えられていない気持ちを伝える日
三つのうち、いちばん新しいのがこの「ハートの日」です。健康でも恋愛でもなく、日常の人間関係に向けられた記念日という点に特徴があります。
制定したのはキャリアデザイン・インターナショナル
提唱したのは、東京都港区西新橋に本社を置くキャリアデザイン・インターナショナル株式会社です。人材や研修の分野で活動する会社が、家庭や職場での関係づくりを呼びかけるために設けました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記念日名 | ハートの日 |
| 日付 | 8月10日(毎年) |
| 制定 | キャリアデザイン・インターナショナル株式会社(東京都港区) |
| 制定年 | 2010年 |
| 日付の由来 | 「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせ |
| 登録 | 一般社団法人 日本記念日協会に認定・登録 |
記念日にあわせた企画も続けられています。伝えられなかった気持ちのエピソードを募る「ハートの日大賞」のような取り組みがその一例です。会社の宣伝というより、気持ちを言葉にする場をつくるという性格の強い活動になっています。
「ありがとう」「ごめんね」を言葉にする日
この記念日が伝えることを勧めているのは、特別な言葉ではありません。挙げられているのは「ありがとう」「ごめんね」「会いたいね」「元気ですか?」といった、ごく短いひとことです。
どれも難しい言葉ではないのに、いざとなると口に出しにくい。しかも相手が近いほど、言わなくても分かるだろうという前提が働いて、そのまま流れていきます。この記念日が想定しているのは、まさにそこで止まっている気持ちです。
家庭や職場でお互いに気持ちを伝え、支え合うことで良好な関係を築く。それが「ハートの日」に掲げられた目的です。恋人へのメッセージに限定されていない点が、同じ日の「ラブラブハートの日」との違いになります。

気持ちを伝えることをテーマにした記念日は、前日の8月9日にもあります。言葉ではなく体温で伝える、という切り口の日です。

日本記念日協会の「認定・登録」とは何か
ハートの日は、一般社団法人日本記念日協会によって認定・登録された記念日です。この協会は民間の団体で、企業や団体から申請された記念日を審査し、登録する仕組みを持っています。
つまり記念日は、国が決めるものばかりではありません。申請して認められれば、企業でも個人でも記念日を持てます。8月10日にいくつもの記念日が重なるのは、日付の取り合いを禁じる決まりがないためです。同じ日に別の記念日があっても、それぞれ独立して登録されます。
登録された記念日は協会が公開しており、カレンダーや「今日は何の日」といった情報の元になっています。ハートの日が広まった背景にも、この仕組みがあります。
健康ハートの日(1985年制定)|夏に始まった心臓の啓発
もうひとつの8月10日が「健康ハートの日」です。こちらは三つのなかでいちばん歴史が古く、公的な色合いも強い記念日になっています。
日本心臓財団の創立15周年に厚生省と共同で制定
健康ハートの日が定められたのは1985年(昭和60年)です。公益財団法人日本心臓財団の創立15周年を記念して、同財団と厚生省(現在の厚生労働省)が共同で制定しました。
日付の理由は、8月10日を「810」と読むと「ハート」になるから。覚えやすさを優先した語呂合わせという点は、ほかの記念日と変わりません。ただし制定した顔ぶれを見ると、財団と国の機関が並んでおり、企業が申請する記念日とは成り立ちがかなり違うことが分かります。
各地の自治体が毎年この日にあわせて告知を出しているのも、そうした経緯によるものです。都道府県のサイトで「8月10日は健康ハートの日です」という案内を見かけるのは、そのためです。
冬に多い病気なのに、なぜ夏の記念日なのか
この記念日でいちばん興味深いのが、日付の置き方です。心臓や血管にかかわる病気は冬に多いとされているのに、記念日は真夏に置かれています。
これは意図的なものです。冬に呼びかけるのでは間に合わないため、夏のうちにキャンペーンを行い、多発する季節に備えてもらう。そういう狙いで8月が選ばれたと説明されています。語呂合わせが8月10日しか作れなかったという事情もありますが、結果として「早めに意識する日」という位置づけが生まれました。
記念日の日付は、その物事がいちばん盛んな時期に置かれるとはかぎりません。あえて手前に置くという発想は、行事の暦を眺めるうえでも覚えておくと面白い視点です。
現在は4団体共催のプロジェクトに
健康ハートの日は、現在は「健康ハートの日」プロジェクトとして続いています。共催しているのは、日本心臓財団・日本循環器学会・日本循環器協会・日本AED財団の4団体です。
8月10日を中心に、全国各地とオンラインでさまざまな催しが開かれます。内容は年によって変わりますが、近年は次のような取り組みが行われています。
- 「全国でPUSH!」プロジェクト…胸骨圧迫とAEDの使い方を学べる救命講習を各地・オンラインで開催
- 共催イベント事業…地域の医療機関や自治体が企画する講演会などを公募して支援
- 健康ハートライトアップ…全国の建物をハートカラーに照らし、写真コンテストも実施
- キャラクターとの連携…啓発アンバサダーを立てた資材の制作・配布
救命講習のように、医療の知識がない人でも参加できる催しが中心です。開催の有無や会場は年ごとに変わるため、参加したい場合は日本心臓財団や日本循環器協会の告知を確認するのが確実です。
世界ハートの日は9月29日|8月10日とは別の記念日
「ハートの日」を調べていると、9月29日という別の日付が出てくることがあります。こちらは「世界ハートの日(World Heart Day)」で、8月10日の記念日とはまったく別のものです。
世界ハートの日を定めているのは、世界心臓連合(World Heart Federation)です。世界各国の心臓関連団体が加盟する国際組織で、記念日も国境を越えた枠組みとして運営されています。日本語で「ハートの日」と略されることがあるため、8月10日と取り違えられやすいのです。
| 比較 | ハートの日 | 世界ハートの日 |
|---|---|---|
| 日付 | 8月10日 | 9月29日 |
| 制定 | 日本の企業(日本記念日協会に登録) | 世界心臓連合 |
| 範囲 | 日本国内 | 世界各国 |
| 日付の理由 | 「ハー・ト」の語呂合わせ | 語呂合わせではない |
日付の決め方にも違いが出ています。8月10日は日本語の数字の読みから生まれた日付なので、そもそも海外では成立しません。語呂合わせ由来の記念日が日本に多いのは、こうした言語の事情によるものです。9月の記念日として探していた場合は、世界ハートの日のほうを確認してみてください。
「世界〜の日」と名のつく記念日は、日本語の語呂合わせとは別のところから生まれています。8月10日の2日後にも、海外での呼びかけから始まった「世界〜の日」があります。

ハートの日の過ごし方|相手別の伝え方
ハートの日にすべきことは決まっていません。ただ、この記念日の趣旨に沿うなら、やることはひとつです。ふだん言えていない短い言葉を、誰かひとりに向けて口に出してみる。それだけで足ります。

家族へ|近すぎて言えていない一言
いちばん言いそびれやすいのが家族です。毎日顔を合わせているぶん、あらためて言うのが気恥ずかしくなります。
そういうときは、場面をひとつに絞ると言いやすくなります。「洗濯物、いつもありがとう」「昨日は言い方がきつかった、ごめん」というように、何に対しての言葉なのかをはっきりさせる。漠然とした感謝より、具体的なひとことのほうが相手にも届きます。
職場の同僚へ|業務連絡に一行だけ足す
職場では、改まった場を作るほうがかえって難しいものです。チャットやメールの業務連絡に一行足す形なら、相手にも構えさせずに済みます。
「先日の資料、助かりました」程度の短さで十分です。ハートの日はこの記念日の趣旨として職場の関係づくりも想定しているので、仕事のやりとりに乗せること自体が的を外していません。
遠くにいる友人へ|用事のない連絡を送る
連絡が途切れている相手ほど、用事がないと送りにくくなります。ハートの日は、その口実として使える日です。
この記念日が挙げている言葉に「会いたいね」「元気ですか?」が並んでいるのは、そうした相手を想定しているからでしょう。返事を期待しないつもりで送ると、こちらも気楽になります。
- 相手はひとりに絞る…全員に送ろうとすると文面が薄くなる
- 何に対する言葉かを添える…「ありがとう」だけより具体的に伝わる
- 長く書かない…数行で終わるほうが相手も返しやすい
- 記念日の名前を出してもいい…「今日はハートの日らしいので」と前置きすると切り出しやすい
8月10日はほかにもこんな記念日
8月10日は、ハートの日以外にも記念日が重なる日です。語呂合わせ由来のものと、史実にちなむものが混ざっています。
- 帽子(ハット)の日…「ハッ(8)ト(10)」の語呂合わせ。全日本帽子協会が制定
- 道の日…1920年のこの日に日本初の近代的な道路整備計画が始まったことから、建設省が1986年に制定
- 宿の日…「や(8)ど(10)」の読みにちなむ記念日
- 焼き鳥の日…「や(8)きと(10)り」の語呂合わせ
8を「ハー」「ハッ」「や」と読み分けるだけで、これだけ違う記念日が並びます。日本語の数字の読み方の幅が、そのまま8月10日の顔ぶれになっている形です。
同じ日の記念日のうち、由来をたどると意外な歴史が出てくるのが焼き鳥の日です。

8月全体の行事やイベントを見渡したいときは、こちらもあわせてどうぞ。

よくある質問
- ハートの日は毎年8月10日で変わりませんか
-
変わりません。「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせで日付が決まっているため、曜日に関係なく毎年8月10日です。
- ハートの日と健康ハートの日は同じ記念日ですか
-
別の記念日です。日付は同じ8月10日ですが、ハートの日は2010年にキャリアデザイン・インターナショナルが感謝を伝える日として制定したもの、健康ハートの日は1985年に日本心臓財団と厚生省が心臓の健康を呼びかけるために制定したものです。
- ハートの日は祝日ですか。休みになりますか
-
祝日ではありません。日本記念日協会という民間団体に登録された記念日で、国が法律で定める祝日とは仕組みが違います。学校や会社が休みになることはありません。
- 世界ハートの日は8月10日ではないのですか
-
世界ハートの日は9月29日です。世界心臓連合が定めた国際的な記念日で、8月10日の記念日とは別のものです。8月10日という日付は日本語の語呂合わせから生まれているため、海外では成立しません。
- なぜ8月10日に記念日がいくつも重なっているのですか
-
日付が重複してはいけないという決まりがないためです。加えて8は「ハー」「ハッ」「や」と何通りにも読めるので、語呂合わせを作りやすい数字でもあります。その結果、帽子の日や宿の日、焼き鳥の日なども同じ日に並んでいます。
- 健康ハートの日のイベントには誰でも参加できますか
-
救命講習や講演会など、医療の知識がなくても参加できる催しが中心です。ただし開催地や内容は年によって変わります。参加を考えている場合は、日本心臓財団や日本循環器協会が出している開催案内を確認してください。
まとめ|8月10日は気持ちを言葉にしてみる日
ハートの日は毎年8月10日。「ハー(8)ト(10)」の語呂合わせから生まれた記念日で、キャリアデザイン・インターナショナルが2010年に制定し、日本記念日協会に登録されています。家庭や職場で感謝の気持ちを伝え、良好な関係を築くことがその目的です。
同じ8月10日には「健康ハートの日」もあります。こちらは1985年に日本心臓財団と厚生省が制定したもので、冬に多い病気に夏のうちから備えてもらうという狙いで日付が置かれました。現在は4団体のプロジェクトとして各地で催しが開かれています。
さらに9月29日には、世界心臓連合による「世界ハートの日」があります。名前は似ていますが、成り立ちも範囲も別のものです。ハートという言葉が「心」と「心臓」の両方を指すことが、この紛らわしさを生んでいます。
8月10日は、言いそびれていた短い言葉をひとつだけ思い出す日。「ありがとう」でも「元気ですか?」でも構いません。相手をひとりに絞って送ってみる。この記念日は、それだけで十分に果たせます。
