世界狂犬病デーは9月28日|由来はパスツールと飼い主にできること

当ページのリンクには広告が含まれています。
world-rabies-day

カレンダーやニュースで「世界狂犬病デー」という言葉を見かけて、どんな日なのか気になった人もいるのではないでしょうか。日本では長いあいだ狂犬病が発生していないため、名前は聞いたことがあっても、身近な話題として考える機会はあまりありません。

この記事では、世界狂犬病デーの日付と由来、9月28日が選ばれた理由をまとめました。日本が狂犬病のない国になった経緯や、犬の飼い主に義務づけられていること、この日に家庭でできることもあわせて紹介します。

世界狂犬病デーは毎年9月28日です。狂犬病のワクチンを開発したフランスの科学者ルイ・パスツールの命日にちなみ、2008年から世界各国で狂犬病を知ってもらうための取り組みが行われています。

目次

世界狂犬病デーは9月28日|2026年は月曜日

世界狂犬病デーは、毎年9月28日に固定されている国際的な記念日です。英語では「World Rabies Day」といい、2026年の9月28日は月曜日にあたります。人と動物の両方で狂犬病の被害を減らし、予防の方法を広く知ってもらうことを目的としています。

項目内容
日付毎年9月28日(固定)
英語名World Rabies Day
始まった年2007年(9月28日に行われるようになったのは2008年から)
かかわる機関世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局(WOAH、旧OIE)、世界狂犬病対策連合(GARC)など
日付の由来ルイ・パスツールの命日(1895年9月28日)
祝日かどうか日本の祝日ではない

WHOや国際獣疫事務局などが2007年に始めた

世界狂犬病デーのきっかけは、狂犬病の根絶を目指す国際的な団体「世界狂犬病対策連合(GARC)」の活動です。厚生労働省の案内によると、2007年に世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局、EUの合同会議で世界狂犬病デーが定められました。

国際獣疫事務局は、動物の病気を扱う国際機関です。以前は「OIE」と呼ばれていましたが、いまは「WOAH(世界動物保健機関)」という略称を使っています。人の病気を扱うWHOと、動物の病気を扱うWOAHが一緒に旗を振っているのが、この記念日の大きな特徴です。

9月28日はルイ・パスツールの命日

9月28日という日付は、フランスの科学者ルイ・パスツールが1895年に亡くなった日に由来します。パスツールは、牛乳などの殺菌法「低温殺菌(パスチャライゼーション)」に名前を残したことでも知られる人物です。

パスツールは狂犬病のワクチンの開発に取り組み、1885年、狂犬病の犬に咬まれた少年に初めて接種しました。少年は発病せずに助かり、この出来事は狂犬病の予防が大きく前進するきっかけになりました。狂犬病と向き合った先人の業績をしのぶ意味も、この日付には込められています。

2026年のテーマは「Stronger Together」

世界狂犬病デーには、毎年テーマが掲げられます。2026年のテーマは「Stronger Together(ともに、より強く)」です。国や自治体、医療や獣医療の関係者、学校、地域の人々が力を合わせてこそ、狂犬病をなくせるというメッセージが込められています。

人の医療と動物の医療、さらに環境の分野まで連携して健康を守る考え方は「ワンヘルス(One Health)」と呼ばれます。動物から人にうつる狂犬病は、まさにこの考え方が欠かせない病気です。近年のテーマにも、協力や連携を呼びかける言葉が繰り返し選ばれています。

そもそも狂犬病とは?世界ではいまも身近な感染症

狂犬病は、狂犬病ウイルスによって起こる感染症です。日本では遠い病気に感じられますが、世界に目を向けると、いまも多くの人が命を落としている病気です。ここでは、世界狂犬病デーを理解するうえで知っておきたい基本だけを紹介します。

犬だけでなく、すべての哺乳類が感染する

名前に「犬」が入っているため、犬だけの病気だと思われがちです。しかし狂犬病は、人を含むすべての哺乳類に感染します。犬のほか、猫、キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリなども感染源になることがあります。

主な感染経路は、ウイルスを持つ動物に咬まれたり、引っかかれたりすることです。厚生労働省は、狂犬病はいったん発症するとほぼ100%死亡する病気だと説明しています。だからこそ、発症させないための予防がなによりも大切にされてきました。

世界では年間約5万9千人が亡くなっている

WHOなどの推計では、狂犬病による死者は世界で年間約5万9千人にのぼります。その多くはアジアとアフリカで起きており、人への感染の大部分は犬に咬まれたことが原因です。犠牲者には子どもが多いことも、世界的な課題とされています。

こうした状況を変えるため、WHO、WOAH、国連食糧農業機関(FAO)、GARCは「Zero by 30」という世界戦略を掲げています。2030年までに、犬が媒介する狂犬病による人の死亡をゼロにするという目標です。世界狂犬病デーは、この目標に向けた取り組みを知ってもらう場にもなっています。

犬から人への感染を防ぐいちばんの近道は、犬にワクチンを打つことだとされています。犬の間で流行が止まれば、人が咬まれて感染する機会も大きく減るためです。

日本はなぜ「狂犬病のない国」になれたのか

日本では、1957年を最後に国内で狂犬病の動物が確認されていません。このように狂犬病が発生していない国や地域は「清浄国・清浄地域」と呼ばれます。世界的に見ると、これはかなり珍しいことです。

飼い主と散歩する犬と、首輪につけた小さな札が穏やかな日差しの中で描かれたイメージ

1950年の狂犬病予防法と、わずか7年での撲滅

戦前から戦後にかけて、日本でも狂犬病は流行していました。多くの犬が発病し、人の死者も出ていたのです。そこで1950年に「狂犬病予防法」が施行され、犬の登録、予防注射、野犬の抑留が徹底されるようになりました。

その効果は大きく、1956年の人と犬での発生、1957年の猫での発生を最後に、国内の狂犬病はなくなりました。法律の施行からわずか7年ほどで撲滅できたことになります。犬の飼い主に義務づけられている登録や予防注射は、この時代から続く対策です。

狂犬病のない国・地域はごくわずか

動物検疫所(農林水産省)の案内では、日本が指定している狂犬病の清浄地域は、日本のほかにアイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6地域です。島国や島の地域が多いのは、動物の出入りを管理しやすいためと考えられます。

裏を返せば、それ以外の多くの国や地域では、いまも狂犬病が発生しているか、発生の可能性が否定できないということです。日本でも、海外から犬や猫を連れてくるときには、空港や港の動物検疫所で厳しい検査が行われています。

1970年・2006年・2020年の輸入感染例

国内での発生はなくても、海外で感染した人が帰国後や来日後に発症した例はあります。1970年にはネパールで犬に咬まれた人が、2006年にはフィリピンで犬に咬まれた2人が、帰国後に発症して亡くなりました。

2020年には、フィリピンから来日した人が発症し、14年ぶりの輸入感染例として報じられました。いずれも国内で感染が広がったわけではありません。それでも、海外との行き来がある限り、狂犬病が日本と無関係にはならないことを示す出来事でした。

犬の飼い主に義務づけられている3つのこと

狂犬病予防法では、生後91日以上の犬の飼い主に次の3つを義務づけています。どれも、日本が狂犬病のない状態を保つための基本的なしくみです。

犬の飼い主の3つの義務
  • 市区町村に犬を登録する(生涯に1回)
  • 毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせる
  • 交付された鑑札と注射済票を犬に着けておく

犬の登録(生涯に1回)

犬を飼い始めたら、住んでいる市区町村に登録します。登録は犬1頭につき生涯に1回で、登録すると「鑑札」という札が交付されます。引っ越したときや、飼い主が変わったとき、犬が亡くなったときには届け出が必要です。

2022年6月からは、ペットショップなどで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務づけられました。マイクロチップの情報を登録すると、参加している市区町村では鑑札の交付を受けたものとみなされます。手続きの扱いは自治体によって違うので、住んでいる地域の案内を確かめておきましょう。

年1回の予防注射(4月〜6月が注射月間)

狂犬病の予防注射は、毎年1回受けさせる決まりです。原則として4月から6月に受けることになっており、この期間は「狂犬病予防注射月間」とされています。多くの自治体では、登録している飼い主に春ごろ案内のはがきを送り、公園や公民館などで集合注射を行っています。

集合注射に行けなかった場合でも、動物病院で個別に受けられます。注射を受けたら「注射済証」を市区町村に提出し、「注射済票」を受け取ります。動物病院によっては手続きを代行してくれるところもあります。

鑑札と注射済票を着ける|注射率は約7割

交付された鑑札と注射済票は、首輪などに着けておくことが義務です。迷子になったときに飼い主を探す手がかりになり、予防注射を済ませた犬であることもひと目でわかります。登録や予防注射を怠ると、20万円以下の罰金の対象になります。

ただ、実際の予防注射の実施率は、登録されている犬のうち約7割にとどまっています。登録していない犬はこの数字に含まれない点にも注意が必要です。狂犬病のない状態が長く続いたことで、注射の必要性が実感しにくくなっている面もあるのかもしれません。

世界狂犬病デーにできること

世界狂犬病デーだからといって、特別な行事に参加する必要はありません。身の回りの小さな確認や、家族との会話でも十分に意味があります。犬を飼っている人も飼っていない人も取り入れやすいことを3つ紹介します。

(1) 愛犬の注射済票と鑑札を確かめる

犬を飼っている人は、この日を点検日にしてみましょう。首輪に今年度の注射済票が着いているか、鑑札がなくなっていないかを確かめます。注射済票は年度ごとに色や形が変わることが多く、古い札のままになっていないかも見ておくと安心です。

今年の予防注射をまだ受けていなかったと気づいたら、6月を過ぎていても動物病院に相談できます。引っ越しの届け出を忘れていた場合も、あわせて市区町村に確認しておきましょう。9月下旬は、春の注射月間から半年近くたち、見直しにちょうどよい時期です。

(2) 海外旅行の前に渡航先の状況を調べる

秋は海外旅行にも出かけやすい季節です。行き先で狂犬病が発生しているかどうかは、厚生労働省の検疫所のサイト「FORTH」などで調べられます。旅行先では、かわいく見えても犬や猫、野生動物にむやみに近づいたり触ったりしないことが基本です。

厚生労働省は、海外で動物に咬まれたときは、傷口を石けんと水でよく洗い、できるだけ早く現地の医療機関を受診するよう呼びかけています。帰国したときには、空港や港の検疫所に相談しましょう。

長期の滞在や、動物と接する仕事で渡航する場合は、出発前に予防接種を受けることも選択肢になります。接種できる医療機関や日程は限られるので、早めにトラベルクリニックなどへ相談しておくと安心です。

(3) 家族や子どもと話題にする

「狂犬病ってどんな病気?」「なぜ日本にはないの?」という話題は、子どもと一緒に考えるのにも向いています。知らない犬に急に手を出さない、飼い主に「触ってもいいですか」と聞いてから触る、といった動物との接し方を伝えるきっかけにもなります。

パスツールの伝記を読んでみるのもよいでしょう。ワクチンや殺菌の歴史をたどると、私たちが当たり前に受けている予防の仕組みが、多くの研究の積み重ねで生まれたことがわかります。動物にまつわる国際的な記念日はほかにもあり、生き物と人のかかわりを考える入り口になります。

9月28日はほかにもある記念日

9月28日には、世界狂犬病デーのほかにもいくつかの記念日があります。国際的な記念日から、身近な出来事や語呂合わせにちなむ日まで、性格の違う記念日が同じ日に並んでいます。

記念日由来
世界狂犬病デー狂犬病ワクチンを開発したルイ・パスツールの命日(1895年9月28日)から
パソコン記念日1979年9月28日に日本電気(NEC)が「PC-8001」を発売したことから
プライバシーデー1964年9月28日、小説『宴のあと』をめぐる裁判で、東京地裁が日本で初めてプライバシーの侵害を認める判決を出したことから
まけんグミの日じゃんけんの「グー(9)・チョキ(2)・パー(8)」の語呂合わせから

パソコン記念日の由来になったPC-8001は、国産パソコンが広まるきっかけになった機種として知られています。プライバシーデーは、三島由紀夫の小説『宴のあと』のモデルとされた元外務大臣が起こした裁判に由来します。どちらも、いまの情報社会につながる出来事です。

同じ9月28日には、じゃんけんの手を数字に見立てた「まけんグミの日」もあります。命日にちなむ国際的な記念日と、語呂合わせの記念日が同じ日に並ぶのも、記念日めぐりのおもしろいところです。

前日の9月27日は、国連の観光機関が定めた「世界観光の日」です。海外旅行の前に渡航先の情報を調べる、という点では、世界狂犬病デーとも通じるところがあります。

翌日の9月29日は、「く(9)る・ふく(29)」の語呂合わせにちなむ「招き猫の日」です。福を招く縁起物として親しまれてきた招き猫の由来や、いつから作られてきたのかをまとめています。

世界狂犬病デーについてよくある質問

世界狂犬病デーはなぜ9月28日なのですか?

狂犬病のワクチンを開発したフランスの科学者、ルイ・パスツールの命日(1895年9月28日)にちなんでいます。

世界狂犬病デーは日本の祝日ですか?

祝日ではありません。国際的な啓発の日で、学校や会社が休みになることはありません。厚生労働省や自治体が、ホームページなどで狂犬病の予防を呼びかけています。

日本には狂犬病がないのに、なぜ犬の予防注射が必要なのですか?

海外から狂犬病が入ってきたときに、国内で広がるのを防ぐためです。周りの国や地域では狂犬病が発生しており、犬の予防注射は日本が狂犬病のない状態を保つための備えになっています。狂犬病予防法で、飼い主に年1回の注射が義務づけられています。

猫にも狂犬病の予防注射は必要ですか?

猫も狂犬病に感染しますが、日本の法律で予防注射が義務づけられているのは犬だけです。猫を連れて海外へ行く、海外から連れて帰るといった場合には、検疫の手続きで予防注射が必要になることがあります。

2026年の世界狂犬病デーのテーマは何ですか?

2026年のテーマは「Stronger Together(ともに、より強く)」です。国や地域、人と動物の医療の関係者が協力することで、狂犬病をなくそうと呼びかけています。

まとめ

世界狂犬病デーは毎年9月28日です。狂犬病ワクチンを開発したルイ・パスツールの命日にちなみ、2008年から世界各国で狂犬病の予防を呼びかける取り組みが行われています。2026年のテーマは「Stronger Together」です。

世界ではいまも年間約5万9千人が狂犬病で亡くなっています。日本は1950年の狂犬病予防法をきっかけに、1957年までに狂犬病をなくしました。その状態を保っているのが、犬の登録、年1回の予防注射、鑑札と注射済票の装着という飼い主の3つの義務です。

世界狂犬病デーは、狂犬病のない日本の暮らしが当たり前ではないことを思い出す日です。愛犬の注射済票を確かめたり、海外旅行の前に渡航先の情報を調べたりして、できることから始めてみてください。

9月にはほかにも、由来をたどると背景が見えてくる行事や記念日が並んでいます。あわせてご覧ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次